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上旬
センチコガネ
雪隠黄金 昆虫/コウチュウ目/センチコガネ科/センチコガネ属 発生期/春~秋
在来種
特にアブラゼミ(油蝉)が姿を消した頃、9月中旬から10月にかけてハイカーの目に留まるようになる、黒光りした丸っこい甲虫(こうちゅう)。体長は2cm程度。便所を表す古語「雪隠(せっちん)」が訛(なま)ったこの名は、好んで動物の排泄物を食らう糞虫(ふんちゅう)であるため。糞、死骸、キノコなどを食す森の掃除屋である。と申せばたいへんイメージの悪い虫のように聞こえてしまうが、エナメルのように輝くその姿はじつに美しい。餌を探しているのか、森林の地表すれすれをふらふら飛んでいることが多い。
体色の変異が大きいオオセンチコガネ(大雪隠黄金)は特に昆虫採集の対象として人気が高く、ミドリセンチと俗称されるエメラルド光沢色の個体は確かに宝石のようである。
モクズガニ
藻屑蟹 甲殻類/エビ目/イワガニ科/モクズガニ属 見頃/9月~10月
食用在来種
スズメバチ
雀蜂 昆虫/ハチ目/スズメバチ科 成虫期/5月~11月 刺傷事故発生期/9月~10月
猛毒危険在来種駆除
秋口は「児童数十人がスズメバチに襲われて刺される」云々という事件が多発する。九月と十月は夏の猛暑が収まったことで荒地の草刈りを始めたり山へのハイキングなどに出かける人が多くなり、地中にも営巣するスズメバチの縄張りに人間が侵入してしまう機会がぐっと増える時期だが、ちょうどこの時期に重なって、スズメバチは冬に向けて子孫を残すことに必死で、たいへん神経質かつ攻撃的になっているからだ。スズメバチの巣に近づいてしまったらスズメバチの集団から猛攻を浴びかねないので、野山では慎重に行動したい。目ではハチを探し、耳は澄まして羽音を聞き取るよう、常に意識して敏感になっておくこと。
特に危険なのはオオスズメバチ(大雀蜂)とキイロスズメバチ(黄色雀蜂)の二種。オオスズメバチは山野に多く、キイロスズメバチは民家の軒下やエアコンの室外機周りなどにも巣を作り都市部にも進出を果たしている。神奈川県内では人家周辺にキイロスズメバチとコガタスズメバチ(小型雀蜂)が多いらしい。巣の半径5m以内に近づいてしまうとアウト。
スズメバチに刺されないために
そもそも森林に入らない。ハイキングに行かない。草刈りをしない。
黒っぽい色の服を着ない。天敵のクマ(熊)と間違えて襲ってくるとか。服や帽子は白色のものを着用すると良い。
香りを発さない。例えば、香水、整髪料、化粧、香料入りの洗剤、香料入りの柔軟剤などを使用しない。ハチが発するフェロモンと間違えられて襲われることがあるとか。甘ったるいジュースや清涼飲料水の香りはハチの好物と誤解されるおそれがある。
スズメバチに遭遇したら
ブーンと羽音を立ててスズメバチが近寄ってきたら、追い払うような素振り(ハチからしたら挑発されたと感じる行為)は絶対にせず、ただそっとその場から離れたい。慌ててじたばたと動いてはかえってスズメバチの攻撃性を煽(あお)るだけになってしまうので、そおっと、ゆっくりこそこそ逃げること。ハチは黒光りするものを狙う習性があるので、毒液を避ける意味でも目を伏せて(滑りやすく障害物の多い野山では足元をよく見るということも大事)まずは後ずさりを。「ギャー!スズメバチ~ッ!」などと大声で喚きながら手に持っていたタオルをぶんぶん振ってハチを追い払おうとドタバタ大騒ぎする人をものすごく多く見かけるけれども、まさに火に油を注ぐ迂闊な行動以外の何ものでもない。児童(特に幼稚園児)がスズメバチに刺されやすい原因は主にこの”大騒ぎ”が原因だろうと思われる。
ホバリングしながらじいっとこちらを睨んでいるスズメバチあらば、巣を守備している兵隊が”こちらに近づくな”ともう既に怒っている状態。すぐにその場から離れ引き返すこと。カチカチと音を立てて歯ぎしりまでしていたら、それはもう苛々最高潮で開戦寸前の最終警告。迅速に逃げること。また巣が付着している場所を振動させたり巣を棒で突いたりするなど、巣そのものを刺激してしまった場合は最悪で、戦闘員が巣から大量に出撃してくることに直結する。追いかけてくるので、直ちに全速力で100m以上逃亡すること。吊り橋を渡る際は細心の注意が必要。スズメバチは怒ると毒液を吹きかけてくるが、これが目に入ってはいけない。この毒液には警報フェロモンも含まれており、ハチたちはその警報フェロモンが付着しているものをターゲットと定めて集団攻撃を仕掛けてくる。スズメバチの大群に追いつかれて囲まれてしまったら、終わり。
平成29年(2017)9月11日、愛知県で電動車椅子の女性(80代)がデイサービスから帰宅した際、大量のスズメバチに約50分間に渡って約150ヵ所刺され多臓器不全で死亡した。付近の住宅軒下に巣があった。付き添いのデイサービス職員も駆けつけた救急隊員(防護服を持参しなかった)もハチが多過ぎて救出できなかった。(10月6日 日本経済新聞)
ハイキングコースを塞ぐようにスズメバチが飛んでいることは多いが、諦めてその場で引き返すこと。(初夏から真夏にかけて、地面すれすれをうろうろと飛び回っているスズメバチは主に餌を探しているだけなので、刺激しさえしなければ、特に恐れる必要はない。少し退避して様子を見ていれば、どこか遠くへ飛んで行ってくれるだろう。基本的にスズメバチは人間に無関心。)
もしもスズメバチに刺されてしまったら
既に刺されてしまった場合は、(転倒や滑落しないよう気を付けながらも)全力で一目散に走って逃げること。スズメバチが放った警報フェロモンが人間の体に付着してしまった場合は完全にロックオンされた状態になってしまっているため、とにもかくにも急いで逃げなければスズメバチの集団に襲われ何十ヶ所も刺されてしまう事態になりかねない。
ハチに刺されると、人は体内に侵入した毒物への防御反応(アレルギー反応)を示すが、体が稀に過剰反応してしまうことがある。これをアナフィラキシーショックという。これが危ない。ハチに刺されるのが人生で二度目以降の人は特に要注意。呼吸困難の症状が見られたらたいへん危険、(症状が出てからでは手遅れになることがあるので)そうなる前に早めに病院(皮膚科など)へ向かうこと。
まずはハチの毒が体中に回らないよう患部の根元を輪ゴムなどで適度に締め、万が一毒針が患部に残っているようならば(できればピンセットで)引っこ抜き、(水に溶けやすいハチ毒を洗い流すために)水道水でよく洗浄し、できれば氷で冷やす。アンモニアは効果がないので小便はひっかけないこと。毒は患部から絞り出すのが望ましいが、口で吸い出そうとしない(口の中は炎症などで小さな傷が多いため、毒が口から体内へ回ってしまう可能性がある)。スズメバチ(やアシナガバチなど)に刺された場合は、いち早く病院へ。(刺された患部がちくちく痛んで腫れてきただけではない)アナフィラキシーショックの症状(何らかの体調の変化)が見られるようならためらわずに救急車を呼びたい。命の危険大。
令和元年(2019)7月28日、新潟県佐渡市で草刈りをしていた作業員の男性(50代)がハチに一日で二回刺されアナフィラキシーショックで死亡する稀有な事故が発生した。一回目のハチは種類不明、二回目はその三時間後でアシナガバチか。咳や嘔吐の症状が出て病院に搬送されるも死亡。一回目のあと市販薬を塗っただけで作業を続行したようなので一回目も(軽視されがちな)アシナガバチで、過去にもハチに刺された経験があった可能性を伺わせる。アナフィラキシーショックの症状が出てから救急搬送しても手遅れだった。(7月29日 テレビ朝日)
なおアシナガバチに刺されて病院へ行った場合、アナフィラキシーショックの症状さえ出ていなければ、”うそ、これだけ?”と文句を言いたくもなるが、塗り薬(ステロイド系の軟膏)を患部にちょろっと塗っただけで治療は終わりである。ただしアナフィラキシーショックの症状が出始めてきてしまっても既に病院にいるなら早期の対処が可能、こちらの意味合いの方が大きいかもしれない。
アオミズ林を徘徊するヒメスズメバチ 葉山町上山口 2016/09/17
ヤブランの葉に掴まって就寝中?のヒメスズメバチ 藤沢市・新林公園 2017/09/05
スズメバチの巣は市に依頼すれば無料で駆除してもらえる(自治体による、難所は有料も)。なおアシナガバチの巣はホームセンターなどで市販されているハチ用殺虫スプレーでいとも簡単に殲滅可能である。ハチは巣の在り処をよく記憶しているため、外出していたあるいは逃げて無事だったハチが巣があった場所に帰ってくる(「帰り蜂」や「戻り蜂」と呼ばれる)のでしばらく(数日間は)要注意。同じ場所、あるいはその近辺で再び巣作りを開始することもある。
スズメバチやアシナガバチは水を飲む習性があるため、自宅の庭に水が溜まったスイレン(睡蓮)鉢などを置いておくとハチがひっきりなしに飛んでくるようになるので気をつけたい。基本的には放っておいて問題はないが、ハチが干している洗濯物に紛れ込んでしまうと取り込む際に刺される危険あり。
クロマダラソテツシジミ
黒斑蘇鉄小灰蝶 昆虫/チョウ目/シジミチョウ科/ソテツシジミ属 発生期/9月~11月
外来種駆除
本来は東南アジアなど熱帯の地域に生息する小型のチョウ。日本では平成4年(1992)に沖縄で初確認され、神奈川県内でも平成21年(2009)に逗子市で発見されるに至った。翅を広げても幅3cm程度の小さなチョウで、ウラナミシジミチョウ(裏波小灰蝶)に似る。関東では寒くて越冬できないとされているが、2月頃にも羽化不全ながら生息が確認されている状況であり、越冬・定着している可能性は排除できないのではないだろうか。
のち、周辺地域も含めて定着が確認された。
成虫のチョウは可愛らしくてよいのだが、問題は幼虫。ソテツ(蘇鉄)の芽や若葉を食害してしまう。葉先が枯れてしまっているソテツを見たら、クロマダラソテツシジミの分布を疑ってみなければならない。
大崎公園
中旬
下旬
タカの渡り
鷹 見頃/9月下旬~10月上旬
在来種保護
タカ(鷹)やワシ(鷲)などの猛禽類がより暖かい南方(西日本方面)へと旅立ってゆく。これを「タカの渡り」という。羽根を広げて大空を悠々と飛び去ってゆく姿がカッコイイと野鳥観察家に人気が高い。タカの種類は、サシバ(差羽)が圧倒的に多く、次いでハチクマ(八角鷹)。ハヤブサ(隼)なども極稀に見ることができるようだ。
タカの渡りは、晴れた日の朝、空中を旋回して上昇気流に乗る。このとき群れができることがあり、これを鷹柱(たかばしら)という。タカが竜巻を描いているように見えるかもしれない。天高く上昇したタカは気流に乗って南の方へ渡ってゆく。ただし湘南地方ではそこまで本格的な鷹柱は見ることができないかもしれない。
観察には望遠鏡、写真撮影には「三脚+望遠レンズ(ウン100mm)」をどっかと構える必要あり。肉眼では小さな点とさえ確認できない観察地点も。
武山(三浦半島渡り鳥連絡会が山頂展望台「アゼリアハウス」にて観察記録を取っている)、稲村ガ崎、湘南平
矢倉岳(南足柄市、足柄万葉公園から)