大葈耳 キク目/キク科/オナモミ属 花期/9月中旬~下旬 結実期/10月~11月
学名/Xanthium orientale L. subsp. orientale
外来種駆除
外来生物法「要注意外来生物」(廃止)
生態系被害防止外来種リスト「総合対策外来種」
日本生態学会「日本の侵略的外来種ワースト100」
オオオナモミの実 鎌倉中央公園 2017/09/29
北米原産の一年草で、雌雄同株(しゆうどうしゅ)の雌雄異花。昭和時代(-1989)神奈川県内では住宅地内の道路沿いや荒地などにたくさん生えていた身近な外来帰化雑草で、果実がひっつき虫の一種であるため、小学生などはよく投げ合いっこをして遊んだものであった。当時は俗にオナモミと呼ばれていたが、正しくはオナモミの近似の別種であるオオオナモミである。当時は日当たりの良い乾燥気味な場所に大量に生えていた普通種。よく群生していた。世にいう侵略的外来種の代表格としてセイタカアワダチソウ(背高泡立草)と併せてよく名が挙げられたものであった。草丈は個体差が激しく、大きいものでは1mを超えてくる。占有できる場所を与えて栽培してみると思っていたより縦にも横にも巨大化し、高さも幅も1.5mくらいになったりも。
#オオオナモミの発芽 茅ヶ崎市浜之郷 2020/04/26
オオオナモミの発芽 茅ヶ崎市浜之郷 2020/05/12
オオオナモミの発芽 茅ヶ崎市浜之郷 2020/05/12
消えたオオオナモミの謎───
さてこの悪しき侵略的外来種の代表格、近頃はとんと姿を見かけない。住宅街には一本たりとも生えていない。駆除活動が功を奏して一掃できた、のではなく、勝手に自然と消えていったから不思議。致命的な病害虫があったとは考えにくい。繁茂するセイタカアワダチソウ(背高泡立草)やコセンダングサ(小栴檀草)あたりとの相性が悪かったのか、地球温暖化の影響で夏場に土壌が乾燥し過ぎて耐えられなくなったのか。原因はさっぱりわからない。じつは今でも、あんまり人が入り込まない辺鄙(へんぴ)な場所には生えていることがある。かつてのように日当たりの良い乾燥気味な荒地にもあるが、河川敷や湿地周辺、あるいは緑地の日陰にも生えていたりする。当時からそのような場所にあったのかは知らないが、もしかしたらやや湿った場所を求めて移動した可能性が考えられる。現在はガガイモ(鏡芋)が生えているようなところでオオオナモミもひっそり生活していることが多い。
農地に生えたオオオナモミ等(背景は大山) 平塚市大神 2024/05/31
農地に生えたオオオナモミ等の若株 平塚市大神 2024/05/31
海辺の草地に生えたオオオナモミ 三浦市・毘沙門海岸 2024/08/14
海辺の草地に生えたオオオナモミ 三浦市・毘沙門海岸 2024/08/14
日当たりの良い半湿地に生えたオオオナモミ 藤沢市・引地川親水公園大庭遊水地 2024/09/09
乾燥しない明るい日陰に生えたオオオナモミ 藤沢市・新林公園 2023/09/15
実がなったオオオナモミ 鎌倉中央公園 2017/09/29
葉はサメ肌でざらざら。形状はオナモミに似るので紛らわしい。浅く三裂、ないし五裂(見ようによって七裂)する。イガオナモミ(毬葈耳)とは葉の形状がやや異なるので見分けられるが、ときに判断を迷う個体がないでもない。
オオオナモミの葉 三浦市・毘沙門海岸 2024/08/14
オオオナモミの葉 三浦市・毘沙門海岸 2024/08/14
オオオナモミの葉 三浦市・毘沙門海岸 2024/08/14
オオオナモミの葉 茅ヶ崎市・清水谷 2019/09/06
オオオナモミの葉 藤沢市・引地川親水公園大庭遊水地 2024/09/09
オオオナモミの葉 藤沢市・引地川親水公園大庭遊水地 2024/09/09
イガオナモミとオオオナモミの葉の比較 三浦市・毘沙門海岸 2024/08/14
オオオナモミの葉身基部 横須賀市・天神島臨海自然教育園 2022/09/16
オオオナモミの葉裏 三浦市・毘沙門海岸 2024/08/14
オオオナモミの茎 三浦市・毘沙門海岸 2024/08/14
オオオナモミの茎 横須賀市・天神島臨海自然教育園 2022/09/16
オオオナモミの花
他のオナモミ類と同様に、花は茎の頂上および葉腋(ようえき)に付く。丸っこいほんぼん状のものが雄花で、その基部に付くとげとげした”実の赤ちゃんに見えるもの”が雌花。どちらも蕊を出すだけの花なので、地味で目立たない。8月上旬の時点で蕾があったらオナモミである可能性を検討する。
オオオナモミの蕾 鎌倉中央公園 2017/09/19
オオオナモミの雄花と雌花 鎌倉中央公園 2017/09/19
#オオオナモミの雄花(と目立たないが雌花もある) 茅ヶ崎市浜之郷 2020/09/21
#オオオナモミの雄花と雌花 茅ヶ崎市浜之郷 2020/09/21
#オオオナモミの雄花と雌花 茅ヶ崎市浜之郷 2020/09/21
オオオナモミの雄花と雌花 鎌倉中央公園 2017/09/19
オオオナモミの雄花と雌花 鎌倉中央公園 2017/09/19
オオオナモミの実
昆虫のアリジゴク(蟻地獄)に姿が似ている。オナモミやイガオナモミの実に比べてややスリムで、細長い印象。たくさんある棘(とげ、植物学ではふつう「刺」と表記される)はやや長め。先端に一対二本ある角(つの)はやや開き気味に直線的に伸び、先端だけ少しくるっと内側に曲がったり曲がらなかったり。(クラレの登録商標「マジックテープ」の名でお馴染みの)面ファスナーのフック側と同じ構造で、衣服にぺたっとくっつく”ひっつき虫”の一つである。鳥獣に貼り付いてタネを拡散させようとする試み。
オオオナモミの未熟な実 鎌倉中央公園 2016/10/10
オオオナモミの未熟な実 鎌倉中央公園 2016/10/10
果序軸の先端が失われて見えるのは、雄花序が落ちた痕跡。
オオオナモミの未熟な実 茅ヶ崎市・清水谷 2019/10/10
#オオナモミの未熟な実 茅ヶ崎市浜之郷 2020/10/18
オオオナモミの熟し始めた実 茅ヶ崎市浜之郷 2020/10/27
オオオナモミの熟した実 茅ヶ崎市浜之郷 2020/11/12
オオオナモミの熟した実 茅ヶ崎市浜之郷 2020/11/12
オオオナモミの熟した実 茅ヶ崎市浜之郷 2020/11/12
オオオナモミの熟した実 茅ヶ崎市浜之郷 2020/11/12
乾燥した実は更に細身になる。緑色の実は軟らかかったが、茶色く乾燥すると棘はちくちく刺さってちょっと痛い。
地面に落ちていたオオオナモミの熟した実 平塚市上吉沢・ゆるぎの丘 2025/03/07
オオオナモミの昨年の株に残った実 三浦市・毘沙門海岸 2024/08/14
オナモミであれば、実はもっと丸っこく、棘も二本の角ももっと短め。角はコクワガタの雌の顎(あご)のように内側へ湾曲しがち。イガオナモミの実はけばけばしているので違いは歴然。
横浜市栄区・瀬上市民の森(西口にある瀬上沢小川アメニティ沿い荒れ地(東急建設が所有する開発用地)に多い)
三浦市・毘沙門海岸(イガオナモミの方が圧倒的に多い)、鎌倉中央公園(少ない)、鎌倉広町緑地(少ない)、藤沢市・引地川親水公園大庭遊水地、藤沢市・新林公園(駐車場の南東向かい、刈られる)、清水谷(少ない)、平塚市大神・笠張川(土手、周辺の農地一帯)、平塚市上吉沢・ゆるぎの丘(北東のクリ畑から北へ向かう農道沿いに多くはない)
横須賀市・天神島臨海自然教育園(オナモミの自生地であるにも関わらずオオオナモミとイガオナモミを放置しており極めて遺憾)
愛川町・服部牧場、小田原市・広域農道やまゆりライン(上町隧道(かのまち-)東側道路沿いに大量、滅失か)
オオオナモミね
瀬上市民の森ちかくで採取した種の子孫が家で育っています。
育つ様子を観察して目を慣らして 他所で見付けようとしてます(笑)
その後も出かけた先で探すも やはりオオオナモミは見付からないですね。
自力で見付けたのは服部牧場だけ。
ところで城ヶ島に渡れない刑を頂戴って?