ヤマユリ

山百合 ユリ目/ユリ科/ユリ属 花期/6月中旬~7月 結実期/11月~12月上旬
学名/Lilium auratum Lindl. var. auratum

自生種稀少保護

ヤマユリ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2019/08/01

#ヤマユリ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2019/08/01

林縁部の斜面などに生える大型な多年草で、代表的な野生のユリ。名前の通り山地や丘陵に多い。草丈は(直立すれば)人の腰から肩程度。大輪で美しく、かつてはヨーロッパへの輸出品としても珍重されたらしい。その窓口だったのが横浜港。それ故にだろうか、戦後の昭和26年(1951)ヤマユリは神奈川県の花に制定されている。県内では戦中戦後の食糧難の際に食用になるユリ根が大量に掘られたこともあって数を大きく減らしたが、花が大きくよく目立つことから近年は各所で保護活動が行われており比較的ふつうに目にできるユリとなっている。ヤマユリだけを残して満足しその周辺に生えていたはずの保護していただきたい稀少な野草には無頓着で全部無選別に刈払ってしまうというのはちょっと違うと思うけれども。ホームセンターの園芸コーナーで球根が市販されている(冬、一株六百円程度)。

人の手が加わるところでは支柱を立てて無理やり直立するように仕立ててあるものを見かけるが、斜面から生えて花の重みで茎が弧を描き倒れるように下を向いて咲くのが本来のヤマユリの姿なのではないかと思う。だらしない姿に思われてしまうかもしれないけれども、茎が細くて花は大きい自然のヤマユリの多くはそのように咲く。
またおもしろいことに、周囲を丁寧に草刈りし、落ち葉も掃いて片付け、という人為的な手入れを入念にきれいさっぱり行うとヤマユリは機嫌を損ねて生育が悪くなってしまうことが知られている。独身男が多少とっ散らかった整理整頓がなっていない部屋の方が気分落ち着くように、ヤマユリも、落ち葉が堆積し他の(背丈の低い)草が多少生えているくらいの自然な環境の方がお好みなようである。これもまた人が花を観賞するにあまり気分よろしいものでないのだけれど。

斜面から生えて下を向いて咲く、自然な姿のヤマユリ 鎌倉市・宅間ガ谷 2017/06/14

斜面から生えて下を向いて咲く、自然な姿のヤマユリ 鎌倉市・宅間ガ谷 2017/06/14

花を付けるに至っていない若い株はナルコユリ(鳴子百合)と紛らわしい。ヤマユリは、葉裏に光沢があり、茎先端側の葉の基部に毛が残る。

若いヤマユリ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2023/05/12

若いヤマユリ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2023/05/12

若いヤマユリの特徴 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2023/05/12

若いヤマユリの特徴 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2023/05/12

ヤマユリの花

花色は白。花被片内側中央に黄色の条(すじ)が通り、赤褐色の斑点がぶつぶつと入る。芳香強め。

ヤマユリの蕾 藤沢市・新林公園 2017/05/30

ヤマユリの蕾 藤沢市・新林公園 2017/05/30

ヤマユリ 三浦市・黒崎の鼻 2017/06/24

ヤマユリ 三浦市・黒崎の鼻 2017/06/24

ヤマユリの蕊 三浦市・黒崎の鼻 2017/06/24

ヤマユリの蕊 三浦市・黒崎の鼻 2017/06/24

花が咲いてから時間がたつと紅斑は褐色に変わる。

ヤマユリ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2019/07/13

#ヤマユリ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2019/07/13

ヤマユリ 鎌倉市・宅間ガ谷 2017/06/14

ヤマユリ 鎌倉市・宅間ガ谷 2017/06/14

ヤマユリ 横須賀市・衣笠山公園 2017/06/16

ヤマユリ 横須賀市・衣笠山公園 2017/06/16

条が赤色の変種をベニスジヤマユリ(紅筋山百合)、赤色斑点が大きめで条の一部がうっすら赤色を帯びるものをクチベニヤマユリ(口紅山百合)という。他にも色違いの変種や園芸種あり。ホームセンターの園芸コーナーで球根が安価(一株四百円程度)で市販されている’ディジー(Dizzy、デイジーは誤り)’や’タイガーウッズ(Tiger Woods)’という園芸品種はベニスジヤマユリとは似て非なる交配種なので注意したい。「紅すじ改良山百合」などの名称が付されているため(人工的に色味を出すことに成功した)ベニスジヤマユリだと誤認して買ってしまう人が出るだろう。たいへんよく似ていて見栄え秀でてなおかつ安いので代用品としてはたいへん優れているけれども。

ヤマユリ(やや口紅) 箱根町 2017/07/28

ヤマユリ(やや口紅) 箱根町 2017/07/28

ヤマユリの実

ヤマユリの未熟な実 藤沢市・新林公園 2016/10/01

ヤマユリの未熟な実 藤沢市・新林公園 2016/10/01

ヤマユリの未熟な実 藤沢市・新林公園 2016/10/01

ヤマユリの未熟な実 藤沢市・新林公園 2016/10/01

ヤマユリの未熟な実 茅ヶ崎市・市民の森 2019/10/05

ヤマユリの未熟な実 茅ヶ崎市・市民の森 2019/10/05

ヤマユリの未熟な実 茅ヶ崎市・市民の森 2019/10/05

ヤマユリの未熟な実 茅ヶ崎市・市民の森 2019/10/05

ヤマユリの未熟な実 横浜市南区・こども植物園 2017/10/18

#ヤマユリの未熟な実 横浜市南区・こども植物園 2017/10/18

ヤマユリの熟した実 茅ヶ崎市行谷 2019/11/19

ヤマユリの熟した実 茅ヶ崎市行谷 2019/11/19

ヤマユリの熟した実 藤沢市・新林公園 2019/11/16

ヤマユリの熟した実 藤沢市・新林公園 2019/11/16

ヤマユリの熟した実 藤沢市・新林公園 2019/11/16

ヤマユリの熟した実 藤沢市・新林公園 2019/11/16

ヤマユリの種子 藤沢市・新林公園 2019/11/16

ヤマユリの種子 藤沢市・新林公園 2019/11/16


横浜市金沢区・#金沢自然公園(ののはな館にベニスジヤマユリの鉢植え=大船フラワーセンターから譲渡されたもの)

三浦市下宮田・#妙音寺(6月25日~28日 300株、7月10日~15日 境内最上段600株、かながわの花の名所100選「妙音寺(ヤマユリ)」、東国花の寺百ヶ寺)、宅間ヶ谷(旧華頂宮邸より奥)、長寿寺(門前)、#大船フラワーセンター(花の築山のベニスジヤマユリは7月10日頃)、二宮町百合が丘・一色小(小学校敷地内裏山「友情の山」に300本、平成28年(2016)より7月下旬の土日に一般公開)

大浦海岸(~間口漁港、6月15日頃)、黒崎の鼻、衣笠山公園(ヤマユリの道、クチベニヤマユリ)、はやま三ヶ岡山緑地(刈払い被害で滅失か)、神武寺(裏参道に少ない)、二宮町・ラディアン花の丘公園(二宮果樹公園の薬剤散布日は共に休園)

秦野市・蓑毛自然観察の森(平成28年(2016)滅失=シカによる食害か、かながわの花の名所100選「蓑毛自然観察の森(ヤマユリ)」 ※ヤマビル多い立ち入るべからず)、箱根町・国道138号線(車道沿い山側に多く花も豊か、7月初旬 箱根湯本~出山 ※駐停車禁止、7月10日 出山~宮ノ下 ※駐停車禁止、7月中旬 ~小涌園、咲き終わるとタマアジサイシンテッポウユリに移行)、箱根町・県道75号椿ライン(7月下旬)、箱根町・#本還寺(芦ノ湖野草園、かながわの花の名所100選「芦ノ湖野草公園」 ※平成23年(2011)閉園)