ナルコユリ

鳴子百合 クサスギカズラ目/クサスギカズラ科/アマドコロ属 花期/5月中旬~6月初旬 結実期/10月
学名/Polygonatum falcatum A.Gray

自生種稀少保護

ナルコユリ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2023/05/12

ナルコユリ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2023/05/12

林内の明るい草地に生える多年草。暗めの林床にあることも。長く伸びてしなる一本茎に、葉は互生。草丈はふつう人の膝(ひざ、高さ50cm)くらいまでだが、ときに巨大なものを見る。神奈川県内に広く分布はあるが、どこでも見られる普通種ではなし。盗掘被害に遭いやすいものでもないように思うのだが、湘南・鎌倉・三浦半島では人があまり入り込まないような土地、あるいは野草を積極的に保護している草地に、かろうじて自生が残っている程度。栽培はふつうされない。「ナルコユリ」と称して園芸栽培や市販されているものは斑入りのアマドコロ(甘野老)である。

ナルコユリ 逗子市桜山 2019/05/23

ナルコユリ 逗子市桜山 2019/05/23

ナルコユリ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2023/05/12

ナルコユリ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2023/05/12

ナルコユリ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2023/05/12

ナルコユリ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2023/05/12

ナルコユリ 綾瀬市・取内の森 2017/05/16

ナルコユリ 綾瀬市・取内の森 2017/05/16

湘南・鎌倉・三浦半島の丘陵地林内を通るハイキングコース沿いで多数見かけるのはホウチャクソウ(宝鐸草)。ある程度大きく成長すれば、ホウチャクソウは茎が分岐する。分岐しない一本茎という点ではアマドコロに姿が酷似する。アマドコロの茎には稜(りょう、筋張った出っ張り)があり、ナルコユリにはない(ので、茎の断面はきれいな円形になる)。葉の形状がアマドコロの方が幅広になる傾向が強いので、一目で見分けられるものが多いが。アマドコロの方が断然希少種。ヤマユリ(山百合)のまだ花を付けない若い個体とも紛らわしいが、ヤマユリの葉裏は強い光沢があり、ナルコユリの葉裏には光沢なし。またヤマユリの葉柄基部には毛(の残骸のようなもの)が確認できることが多い。参考)ホウチャクソウ、ナルコユリ、アマドコロの見分け方

ナルコユリ 逗子市桜山 2019/05/23

ナルコユリ 逗子市桜山 2019/05/23

ナルコユリ 逗子市桜山 2019/05/23

ナルコユリ 逗子市桜山 2019/05/23

葉はやや細めですらっと長いと感じられる。ササ(笹)の葉を少し大きくしたような形状である。アマドコロの葉はもう少し幅広で丸っこいと感じられるのがふつう。

ナルコユリの葉 逗子市桜山 2019/05/23

ナルコユリの葉 逗子市桜山 2019/05/23

ナルコユリの葉 逗子市桜山 2019/05/23

ナルコユリの葉 逗子市桜山 2019/05/23

ナルコユリの葉 逗子市桜山 2019/05/23

ナルコユリの葉 逗子市桜山 2019/05/23

ナルコユリの葉 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2023/05/12

ナルコユリの葉 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2023/05/12

ナルコユリの葉 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2023/05/12

ナルコユリの葉 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2023/05/12

ナルコユリの葉裏 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2023/05/12

ナルコユリの葉裏 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2023/05/12

人の腰くらいの高さ(70cm)ある大型なナルコユリらしきものに出遭うことが希にある。これでもナルコユリらしい。

明るい草地に生えた大型なナルコユリ 中井町・雑色横穴墓群 2022/06/21

明るい草地に生えた大型なナルコユリ 中井町・雑色横穴墓群 2022/06/21

大型なナルコユリの葉 中井町・雑色横穴墓群 2022/06/21

大型なナルコユリの葉 中井町・雑色横穴墓群 2022/06/21

異様に大型なものはオオオナルコユリ(大鳴子百合)である可能性。変種ではなく別種。草丈は人の腰(80cm)を超えてくるようなナルコユリの巨大お化けで、葉も花も大きめ。花が咲いていれば雄蕊の様子がナルコユリとは異なっているので見分けやすい。オオナルコユリの花糸(かし)には細かな突起が多数あってざらざらした見た目となり、基部は肥大して子房と同位置から生え出る。葉裏は粉が吹いたように白っぽく、平滑。湘南・鎌倉・三浦半島でも記録はされているようながら、まず見かけるものではなかろう。

ナルコユリの花

アマドコロと同様に茎の下方に花を垂らす。葉とは反対側にちょっとだけ傾いて、下に垂れる。葉柄(ようへい)と花の接合部分に膨らみがあったらアマドコロではなくナルコユリである。花数はアマドコロより多め。花被片は先端を除いて分離しない。

ナルコユリの開花直前の蕾 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2023/05/12

ナルコユリの開花直前の蕾 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2023/05/12

花数多く咲いたナルコユリ 藤沢市・新林公園 2018/05/18

花数多く咲いたナルコユリ 藤沢市・新林公園 2018/05/18

ナルコユリ 逗子市桜山 2019/05/23

ナルコユリ 逗子市桜山 2019/05/23

ナルコユリ 藤沢市・新林公園 2017/05/30

ナルコユリ 藤沢市・新林公園 2017/05/30

ナルコユリ、やや咲き終わりかけか 藤沢市・新林公園 2019/05/31

ナルコユリ、やや咲き終わりかけか 藤沢市・新林公園 2019/05/31

ナルコユリ 藤沢市・新林公園 2019/05/31

ナルコユリ 藤沢市・新林公園 2019/05/31

ナルコユリの特徴 逗子市桜山 2019/05/23

ナルコユリの特徴 逗子市桜山 2019/05/23

ナルコユリの実

実は緑色で、黒みを帯びて熟す。肉眼ではほぼ黒色に見えるが、ストロボを焚いて写真撮影してみると暗い緑色である。

ナルコユリの未熟な実 中井町・雑色横穴墓群 2022/06/21

ナルコユリの未熟な実 中井町・雑色横穴墓群 2022/06/21

ナルコユリの実 藤沢市・新林公園 2017/10/11

ナルコユリの実 藤沢市・新林公園 2017/10/11

ナルコユリの実 藤沢市・新林公園 2017/10/11

ナルコユリの実 藤沢市・新林公園 2017/10/11

ナルコユリの実 藤沢市・新林公園 2016/11/01

ナルコユリの実 藤沢市・新林公園 2016/11/01

ナルコユリの実 藤沢市・新林公園 2016/10/06

ナルコユリの実 藤沢市・新林公園 2016/10/06

ナルコユリの実 藤沢市・新林公園 2017/10/11

ナルコユリの実 藤沢市・新林公園 2017/10/11

ナルコユリの実 小田原市・早川石丁場群付近 2017/11/17

ナルコユリの実 小田原市・早川石丁場群付近 2017/11/17

ナルコユリの実 小田原市・早川石丁場群付近 2017/11/17

ナルコユリの実 小田原市・早川石丁場群付近 2017/11/17

ナルコユリの実 小田原市・早川石丁場群付近 2017/11/17

ナルコユリの実 小田原市・早川石丁場群付近 2017/11/17


横浜市栄区・横浜自然観察の森(クヌギの林)、横浜市栄区・栄プール~天園、横浜市戸塚区・小雀公園

観音崎公園、池子の森自然公園、逗子市・蘆花記念公園、横浜市栄区/鎌倉市・市境広場~天園、天園ハイキングコース、鎌倉中央公園、鎌倉広町緑地、藤沢市・新林公園

衣笠山公園、十二所果樹園

綾瀬市・取内の森、中井町・雑色横穴墓群、小田原市・早川石丁場群付近

参考資料

『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)

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