河原撫子 ナデシコ目/ナデシコ科/ナデシコ属 花期/5月中旬~12月上旬
学名/Dianthus superbus L. var. longicalycinus (Maxim.) F.N.Williams
有毒薬用自生種改良種稀少保護
#カワラナデシコ(野生種) 茅ヶ崎市浜之郷 2024/07/22
山地の草原、河原、河川土手、海辺、といった日当たりの良いやや開けた草地に生える、短命な多年草。単にナデシコ、中国原産のカラナデシコ(唐撫子)に対してヤマトナデシコ(大和撫子)とも。中国・台湾・朝鮮半島にも分布があり、日本固有種ではない。名は、花の姿が撫でたくなるほどかわいらしい愛児を意味する撫子に喩(たと)えられたもの。茎は細くてひょろっと長く伸び、草丈は高さ50cmから1m程度に育つ。自然界では、周囲の草に半ば埋もれた場所から生え出て、周囲の草に寄りかかりつつ背高に成長して、周囲の草より高い所に顔を出して花を咲かせている。鬱蒼とした茂みの中では成長期に日陰となってしまうため育たない。神奈川県内では現在も広域に自生が残っているようながら、分布地点はぽつりぽつりと点在するのみで少ない。湘南・鎌倉・三浦半島で野生のものを見かける機会は皆無に等しい。平塚市の花水川(はなみずがわ)河口域に撫子原(なでしこはら)という名前の地区があるが本種は現存しない。「なでしこ」として、平塚市の市民の花、秦野市の市の花、に選定。なぜかはわからないが県の絶滅危惧種にはまだ指定されていない。
成長途中の#カワラナデシコ 横浜市南区・横浜市こども植物園 2024/05/30
#カワラナデシコ 箱根湿生花園 2023/08/03
海辺の草地に生えたカワラナデシコ 三浦市 2024/07/05
海辺の草地に生えたカワラナデシコ 三浦市 2024/07/05
民家に植栽された#カワラナデシコ 鎌倉市・光則寺道 2021/05/24
#カワラナデシコ 茅ヶ崎市浜之郷 2020/05/11
奈良時代(710-794)末期の和歌集『万葉集』にも歌われるほど古くから日本人に愛されており、その中で山上憶良(やまのうえのおくら)が「秋の七草」の一つに本種を挙げている。江戸時代にも人気を博した古典園芸植物。昭和時代(-1989)もそこかしこで栽培されていてよく見かける花だったらしいが、現在はタネがホームセンターの園芸コーナーでふつうに売られてはいながら栽培されているものは滅多に見かけなくなった。花はかわいらしくたくさん咲いてくれるのだけれど、茎が脆(もろ)くて自立する力が弱く、傾く、倒れる、強風でとっ散らかる、分岐で折れる、という残念な事態が発生しやすいのが最大の欠点。
#カワラナデシコの葉 茅ヶ崎市浜之郷 2020/05/12
#カワラナデシコの葉 平塚市・花菜ガーデン 2023/06/16
#カワラナデシコ(野生種)の葉 茅ヶ崎市浜之郷 2024/07/15
#カワラナデシコ(野生種)の葉 茅ヶ崎市浜之郷 2024/08/11
#カワラナデシコ(野生種)の葉 茅ヶ崎市浜之郷 2024/07/15
#カワラナデシコ(野生種)の葉 茅ヶ崎市浜之郷 2024/07/15
近似の外来種にカーネーションあり。ナデシコ属に分類される主に外来種とその園芸品種を総称してダイアンサスという。
カワラナデシコの花
開花時期は長く、およそ夏の間。栽培下では早々と5月中旬から見頃を迎えるものがある。自然環境では梅雨明けから真夏のはじめにかけて、7月が特に見頃か。花径は3.5cm程度。花色は薄ピンク。希に白。人為的に栽培されている園芸品種は花色が濃かったり斑が入ったりも。一個の花は五日間くらい咲いてくれる。
#カワラナデシコ(野生種)の蕾 茅ヶ崎市浜之郷 2024/07/15
#カワラナデシコ(野生種)の開花直前の蕾 茅ヶ崎市浜之郷 2024/07/19
カワラナデシコ 三浦市 2024/07/05
カワラナデシコ 三浦市 2024/07/05
カワラナデシコの萼 三浦市 2024/07/05
#カワラナデシコ 箱根湿生花園 2023/08/03
#カワラナデシコ 箱根湿生花園 2023/08/03
#カワラナデシコ 箱根湿生花園 2023/08/03
#カワラナデシコ 箱根湿生花園 2023/08/03
#カワラナデシコ 箱根湿生花園 2023/08/03
#カワラナデシコの花弁に生える毛 箱根湿生花園 2023/08/03
#カワラナデシコの花弁に生える毛 鎌倉市・東慶寺 2017/05/21
#カワラナデシコ 茅ヶ崎市浜之郷 2020/05/12
#カワラナデシコ 茅ヶ崎市浜之郷 2020/05/11
#カワラナデシコの萼 茅ヶ崎市浜之郷 2020/05/11
#カワラナデシコ 茅ヶ崎市浜之郷 2020/05/12
カワラナデシコの実
#カワラナデシコの未熟な実 茅ヶ崎市浜之郷 2020/06/07
カワラナデシコの完熟して裂開した実 三浦市 2023/08/08
東京都文京区・#小石川植物園(分類標本園)、東京都調布市・#神代植物公園植物多様性センター(武蔵野ゾーンAエリア)、横浜市栄区・横浜自然観察の森(ヘイケボタルの湿地)、横浜市戸塚区・#俣野別邸庭園(憩いの小庭に少ない)
#東慶寺(本堂前、宝蔵前、令和4年(2022)6月7日以降境内撮影禁止)
#満願寺(二三の鉢植えに細々と若干数あるのみ、三浦半島 秋の七草寺社めぐり)、#常栄寺、#馬入・光と風の花づつみ(親水デッキ ※管理・成育不良)、#氷室椿庭園、#平塚市役所(※改修工事で滅失か)
海老名市・#相模三川公園(6月下旬)、秦野市堀西・#四十八瀬川自然村(しじゅうはっせがわ-、旧甘柿橋(国道246号線甘柿橋の一つ北)北東、自生種の保護栽培)、#箱根湿生花園、箱根町・台ヶ岳・仙石原高原「すすき草原」
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)