日向水木 ユキノシタ目/マンサク科/トサミズキ属 花期/2月下旬~3月中旬
学名/Corylopsis pauciflora Siebold & Zucc.
#ヒュウガミズキ 鎌倉市・浄妙寺 2017/04/02
西日本に自生がある落葉低木。トサミズキ(土佐水木)の仲間で、全体的にトサミズキより小型で枝は細く、小ざっぱりした感じのもの。貧相といわれてしまうかもしれないが、佇(たたず)まいはおしとやかで気品があり日本人好みだろうと思う。トサミズキほど多くは見かけないが、公園や庭園、民家の庭にも植栽されていることがある。
#ヒュウガミズキの大株 平塚市・花菜ガーデン 2023/03/22
#ヒュウガミズキ 横浜市南区・こども植物園 2018/03/15
ヒュウガミズキは宮崎県に自生しない?!
名前からして宮崎県(日向国)で発見された、あるいは宮崎県にたくさん分布がみられるトサミズキの仲間、と思いきや───?
平凡社『改訂新版 日本の野生植物 2』(2016)には、「本州(岐阜県、石川県~兵庫県の日本海側地域)・四国(高知県)・九州(宮崎県)・台湾に分布する。」「<ヒュウガ>とは宮崎県を指すと考えられるが、同県に自生することがわかったのは最近のことで、和名の由来についてはよくわかっていない。」とあるが、文責の門田裕一国立科学博物館名誉研究員が何を根拠に記述したかは不明。門田博士に問い合わせたが、回答は頂けなかった。
ウィキペディアのヒュウガミズキの頁にも「日本(石川県〜兵庫県の日本海側、高知県、宮崎県)、台湾に分布する。」と記載あり。出典は不明。
追記)出典は亀田龍吉『落ち葉の呼び名事典』世界文化社発行(2014)に改められた。
令和2年(2020)2月 宮崎県自然環境課に問い合わせてみたところ、「ヒュウガミズキについて、県内の専門家や博物館に聞き取りした結果、宮崎県内では確認されていない」と回答を得た。当然ながら宮崎県版のレッドリスト(2015)にも記載なし。
宮崎県の専門家が郷土の名を冠した植物の自生発見を把握していないとはにわかには信じがたい。また、宮崎県在住の愛好家による”宮崎県自生のヒュウガミズキ”に関する情報(写真等のブログ掲載など)が一切出て来ないというのも妙な話である。
名前の由来については、ヒメミズキ(姫水木)が訛(なま)ったのではないか、兵庫県(丹波国他)に自生はあるので丹波・亀山城主であった明智日向守光秀に因んで名付けられたのではないか、等のちょっと無理のある見方もあり。トサミズキの高知県(土佐国)に近いところで適当に宮崎県(日向国)がたまたま拾われただけなんていう可能性も?
葉が出てくるのは花が咲き終わったあと。
#ヒュウガミズキの若葉 藤沢市・長久保公園 2017/04/17
初夏の#ヒュウガミズキ 横浜市保土ケ谷区・横浜市児童遊園地 2024/04/29
#ヒュウガミズキの葉 横浜市保土ケ谷区・横浜市児童遊園地 2024/04/29
#ヒュウガミズキの葉 横浜市保土ケ谷区・横浜市児童遊園地 2024/04/29
#ヒュウガミズキと#トサミズキの葉の大きさの比較 横浜市保土ケ谷区 2024/04/29
#ヒュウガミズキの葉 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園 2021/06/22
#ヒュウガミズキの葉 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園 2021/06/22
ヒュウガミズキの花
トサミズキの花に似るが、垂れ下がる花序はトサミズキよりも明らかに短い。花序一個を形成する小花が一個から三個しかなかったらヒュウガミズキである。雄蕊の葯は黄色。
#ヒュウガミズキ 鎌倉市・宝戒寺 2018/03/13
#ヒュウガミズキ 鎌倉市・宝戒寺 2018/03/13
#ヒュウガミズキ 鎌倉市・浄妙寺 2017/04/02
#ヒュウガミズキ 横浜市戸塚区・俣野園 2017/03/22
#ヒュウガミズキ 横浜市金沢区・金沢自然公園 2017/03/18
#ヒュウガミズキ 横浜市金沢区・金沢自然公園 2017/03/18
ヒュウガミズキの実
#ヒュウガミズキの未熟な実 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園 2021/06/22
#ヒュウガミズキの未熟な実 横浜市戸塚区・俣野別邸庭園 2021/06/22
横浜市南区・#こども植物園、横浜市金沢区・#金沢自然公園(Ⅱノ沢遊水池)、横浜市戸塚区・#俣野別邸庭園(憩いの小庭に多い)
#浄妙寺、#長久保公園、#花菜ガーデン(花ごろも広場)
#宝戒寺、#円覚寺黄梅院(3月中旬)
参考資料
『改訂新版 日本の野生植物 2 イネ科~イラクサ科』 大橋広好・門田裕一・邑田仁・米倉浩司・木原浩編 平凡社発行(2016)