有明菫 キントラノオ目/スミレ科/スミレ属 花期/3月下旬~4月
学名/Viola betonicifolia Sm. var. albescens (Nakai) F.Maek. & T.Hashim
自生種稀少保護
アリアケスミレ 藤沢市朝日町 2023/03/29
市街地や住宅地の道端ないし駐車場でアスファルトの隙間に生えていることが多い、常緑の多年草。『神奈川県植物誌2018』によれば’低地の湿った田の畦や川岸、池の周りや道端に生える’らしい、野生のスミレの仲間。湿った云々はそのようなところで見かけた例(ためし)がないのでよくわからない。無茎種(むけいしゅ)。神奈川県内に広く分布はあるも、実際に見かけるのはだいぶ希。外来の帰化雑草のごとくして人家周辺に生えているので犬の散歩中にふとしたところで見つけたなんていうことはあるかもしれないが、意図して探して発見できるものでなし。二三年に一度、たまたま出くわすかどうか。サクラ(桜)が見頃を迎えている時期に下ばっかり見て市街地を歩かなければ出遭えない。じつは昭和(-1989)の頃はもっと希少種で、神奈川県立博物館の高橋秀男学芸員は「神奈川県のスミレ」(1980)に於いてアリアケスミレは’本県では環境が失われ絶滅したものと考えられる’とさえ述べており、『神奈川県植物誌1988』発刊に当たっての調査でも藤沢市の江の島と湯河原町の二地点で標本が採取されたに過ぎない。その後増えたのか、気づかれるようになっただけなのかは、よくわからない。有明とは、月がまだ空に残っているのに夜が明けてくること。ここでは、紫と白が混じる花色が夜明けの情景に見立てられた、という大雑把な理解でよいのではないか。東京国際展示場(東京ビッグサイト)や有明コロシアムがある東京都江東区(こうとうく)の埋め立て地とは特に関係はない。
道端に生えたアリアケスミレ 茅ヶ崎市今宿・国道1号線 2024/04/07
道端に生えたアリアケスミレ 茅ヶ崎市今宿・国道1号線 2024/04/07
道端に生えたアリアケスミレ(ガードレール下) 茅ヶ崎市中島・国道1号線 2024/04/07
道端に生えたアリアケスミレ 茅ヶ崎市中島・国道1号線 2024/04/07
道端に生えたアリアケスミレ 茅ヶ崎市中島・国道1号線 2024/04/07
道端に生えたアリアケスミレ 茅ヶ崎市中島・国道1号線 2024/04/07
アスファルトに生えたアリアケスミレ 藤沢市朝日町 2023/03/29
アスファルトに生えたアリアケスミレ 藤沢市朝日町 2024/03/30
アスファルトに生えたアリアケスミレ 藤沢市朝日町 2024/03/30
アリアケスミレ 藤沢市朝日町 2024/03/30
アリアケスミレ 茅ヶ崎市・氷室椿庭園 2018/04/03
アリアケスミレの大株 茅ヶ崎市・氷室椿庭園 2018/04/03
アリアケスミレ 愛川町・八菅神社・八菅山いこいの森駐車場 2023/04/05
アリアケスミレ 愛川町・八菅神社・八菅山いこいの森駐車場 2023/04/05
紫色が濃いめのアリアケスミレ 茅ヶ崎市元町・北口駅前駐車場 2021/03/29
紫色が濃いめの#アリアケスミレ 茅ヶ崎市浜之郷 2022/04/13
紫色が濃いめの#アリアケスミレ 茅ヶ崎市浜之郷 2022/04/13
葉はホンスミレ(本菫)に似て縦長の心形。葉先はややふっくら丸みを帯びる。葉身はふつう(日光が強く当たり過ぎて乾燥を避けたい葉がよくそうするように)軽く縦に丸まっている。葉柄(ようへい)に翼(よく)がある。
アリアケスミレの葉 藤沢市朝日町 2024/03/30
アリアケスミレの葉 茅ヶ崎市中島・国道1号線 2024/04/07
アリアケスミレの葉 茅ヶ崎市今宿・国道1号線 2024/04/07
アリアケスミレの葉(人為的に扁平にしたもの) 藤沢市朝日町 2024/03/30
アリアケスミレの葉裏 藤沢市朝日町 2024/03/30
名前が紛らわしいものに、アケボノスミレ(曙菫)、アカネスミレ(茜菫)、アオイスミレ(葵菫)、がある。
アリアケスミレの花
大きさは野山でよく見かけるタチツボスミレ(立坪菫)と同程度。ふつう白色ないしうっすら紫がかった白。それに濃い紫色の条(すじ)がくっきりよく目立つ。側弁基部は有毛。花弁の縁(ふち)は、少し波打っていたり、いなかったり。
アリアケスミレ 愛川町・八菅神社・八菅山いこいの森駐車場 2023/04/05
アリアケスミレ 茅ヶ崎市・氷室椿庭園 2018/03/30
紫色が濃いめの#アリアケスミレ 茅ヶ崎市浜之郷 2022/04/16
紫色が濃いめの#アリアケスミレ 茅ヶ崎市浜之郷 2022/04/16
距(きょ、花後方に突き出た部分)は太くて短い。
アリアケスミレの距 藤沢市朝日町 2024/03/30
花色が似ているものにツボスミレ(坪菫)ないしニョイスミレ(如意菫)と呼ばれるものがあるも、明らかに湿った場所に生え、花の大きさが一回りも二回りも小さいので、混同することはなかろう。
東京都調布市・#神代植物公園植物多様性センター(伊豆諸島ゾーンFエリア)、東京都八王子市・#東京薬科大学薬用植物園、横浜市中区・三溪園、横浜市戸塚区・舞岡公園(小谷戸の里)、横浜市戸塚区・境川遊水地公園俣野遊水地
#常栄寺、#収玄寺、藤沢市朝日町、茅ヶ崎市元町・北口駅前駐車場(紫色濃いめ、セメントで埋められ滅失)、茅ヶ崎市・氷室椿庭園、茅ヶ崎市今宿・国道1号線(「今宿」交差点南西、ちがさきA・UN前)、茅ヶ崎市中島・国道1号線(「新田入口」交差点南東)、大磯町大磯
#東慶寺(令和4年(2022)6月7日以降境内撮影禁止)、茅ヶ崎市東海岸南二丁目(茅ヶ崎市消防団第20分団東方の道端)
愛川町・八菅神社・八菅山いこいの森駐車場
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)
『神奈川県植物誌1988』 神奈川県植物誌調査会・神奈川県立博物館編 神奈川県立博物館発行(1988)
高橋秀男「神奈川県のスミレ」 『神奈川県自然誌資料1』 神奈川県立博物館発行(1980)