肥後菫 キントラノオ目/スミレ科/スミレ属 花期/(11月~)3月下旬~5月
学名/Viola chaerophylloides (Regel) W.Becker var. sieboldiana (Maxim.) Makino
改良種稀少
#ヒゴスミレ 鎌倉市山ノ内・関本豆腐店 2017/03/25
山地に生える多年草で、スミレの仲間。花が白色で美しく、葉の形状も独特なことから、園芸栽培されることがある。名前の由来は不明。肥後国(熊本県)で発見されでもしたか。熊本県や九州地方の固有種というわけではない。神奈川県内では北部の小仏山地に分布。湘南・鎌倉・三浦半島には自生なし。知名度も高い人気の山野草といわれながらも、栽培ものも目にする機会は滅多にない。スミレ全般にいえることだが、人が意図した場所で(庭のこの場所で、あるいはこの鉢の中で)人が期待した通りの状態で継続して栽培し続けることがなかなか難しいことは原因の一つかもしれない。スミレとしては比較的栽培は容易な方ではあるが。栽培品の逸出と思しきものが野山に生え出ることがある。
#ヒゴスミレ 茅ヶ崎市浜之郷 2022/12/02
#ヒゴスミレ 茅ヶ崎市浜之郷 2022/12/07
#ヒゴスミレ 茅ヶ崎市浜之郷 2022/03/20
#ヒゴスミレ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/03/28
#ヒゴスミレ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/03/28
#ヒゴスミレ 箱根湿生花園・春の山野草展 2023/03/30
葉は五裂とされる。厳密には、三全裂し、側小葉が基部近くで更に二裂する。従って、ぱっと見では五裂に見えたり、正しくは三裂ではないのかと感じられたり。小葉は更に裂けて、裂片はコスモスほどではないにせよ細い線状になる。ヒゴスミレにしては裂片が幅広すぎるものは変種に位置付けられ、ナンザンスミレ(南山菫)と呼び分けられる。類似するものにエイザンスミレ(叡山菫)なる別種があり、それぞれに典型的な特徴を示しているものであればともかく、見れば見るほどどれとも判断し難い個体も少なくない。花が白色、花弁の縁が波打たない、葉がおよそ五裂と判断できなくもない、葉の裂片は細い線状、であればヒゴスミレとしておく。
#ヒゴスミレ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/04/07
#ヒゴスミレの葉 茅ヶ崎市浜之郷 2022/12/02
#ヒゴスミレの葉 横浜市戸塚区・俣野園 2017/03/20
#ヒゴスミレの葉身基部の分かれ目 茅ヶ崎市浜之郷 2024/04/07
本種にはツマグロヒョウモン(褄黒豹紋)の幼虫はあまり付かないが、食い荒らされないよう、一応こまめに確認すること。
ヒゴスミレの花
花色は基本的には白。花弁の縁は波打たない。園芸店で市販されているものは花弁がぷっくり丸々とした園芸品種と考えられ、中国や朝鮮半島から持ち込まれた可能性がある。最盛期は3月末。
#ヒゴスミレ 茅ヶ崎市浜之郷 2022/03/20
#ヒゴスミレ 箱根湿生花園・春の山野草展 2023/03/30
#ヒゴスミレ 茅ヶ崎市浜之郷 2022/12/07
#ヒゴスミレ 茅ヶ崎市浜之郷 20221/11/16
#ヒゴスミレの距 茅ヶ崎市浜之郷 2024/04/07
#ヒゴスミレの距 茅ヶ崎市浜之郷 2022/03/20
川崎市多摩区・#生田緑地、横浜市戸塚区・#俣野園(鉢植え)、横浜市泉区・#天王森泉公園
大楠山、森戸川源流(馬頭観音)、#円覚寺黄梅院、#光則寺(3月中旬~下旬)、#長谷寺
鎌倉市・#関本豆腐店(スリーエフ北鎌倉店の東隣、プランター、園芸種か)
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)