叡山菫 キントラノオ目/スミレ科/スミレ属 花期/3月下旬~4月
学名/Viola eizanensis (Makino) Makino
改良種稀少
エイザンスミレ 愛川町/厚木市・やなみ峠 2023/03/31
山地の半日陰に生える常緑の多年草。日本固有種。野生のスミレの仲間であるが、花と葉が見栄えするため園芸栽培に好まれる。名は、滋賀県と京都府の境にある比叡山に因むが、その地方の特産ではまったくない。滅多に使われないが別名エゾスミレ(蝦夷菫)。神奈川県内では丹沢や箱根に分布。湘南・鎌倉・三浦半島に自生なし。スミレの中では知名度も人気も抜きん出て高かろうが、不思議と鎌倉の寺境内や公園で栽培されていたりすることなし。なぜだか湘南・鎌倉・三浦半島ではお目にかかれる機会は皆無である。小仏や丹沢辺りで山を登ればさして珍しいものではない。
ハイキングコース沿いに生えたエイザンスミレ 愛川町/厚木市・やなみ峠 2023/03/31
エイザンスミレ 愛川町/厚木市・やなみ峠 2023/03/31
エイザンスミレ 愛川町/厚木市・やなみ峠 2023/03/31
エイザンスミレ 愛川町/厚木市・やなみ峠 2023/03/31
エイザンスミレ 愛川町/厚木市・やなみ峠 2023/03/31
葉は三全裂とされる。側小葉は更に二裂するのでぱっと見では五全裂に見えるかもしれないが、葉身基部をよく見れば明らかに三裂である。裂片はふつうコスモスの葉を感じさせるほど細いものではない。但し、やや細いものもあるので厄介な話。紛らわしいヒゴスミレ(肥後菫)は裂片が細く、葉身は基部で五裂するとされているもエイザンスミレと大差ない分かれ方をするものもあって、厳格な見分けが難しいものもある。
エイザンスミレの葉 愛川町/厚木市・やなみ峠 2023/03/31
エイザンスミレの葉 愛川町/厚木市・やなみ峠 2023/03/31
エイザンスミレの三裂する葉身基部 愛川町/厚木市・やなみ峠 2023/03/31
#エイザンスミレの葉 茅ヶ崎市浜之郷 2024/04/07
#ヒゴスミレと#エイザンスミレの葉の比較 茅ヶ崎市浜之郷 2024/04/07
エイザンスミレの花
花色はうっすらピンク色に染まったかわいらしいものが多い。花弁の縁(ふち)は波打つ傾向。側弁基部は有毛。ヒゴスミレは白色で波打たない。
エイザンスミレ 愛川町/厚木市・やなみ峠 2023/03/31
エイザンスミレ 愛川町/厚木市・やなみ峠 2023/03/31
エイザンスミレ 愛川町/厚木市・やなみ峠 2023/03/31
エイザンスミレの距 愛川町/厚木市・やなみ峠 2023/03/31
流通している園芸品は野生種とは趣がまったく異なるもの多い。産地が違う、選抜種である、交配種・交雑種である、ことが理由。ピンク色が異様に濃いものが多いか。
#エイザンスミレ 茅ヶ崎市浜之郷 2022/11/04
#エイザンスミレ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/04/02
#エイザンスミレの距 茅ヶ崎市浜之郷 2024/04/02
相模原市・陣馬山、愛川町/厚木市・やなみ峠(鳶尾山登り口)、#箱根湿生花園(春の山野草展に園芸品)、箱根町・芦ノ湖西岸遊歩道
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)
『日本の固有植物』 加藤雅啓・海老原淳編 東海大学出版会発行(2011)