トチノキ

栃、栃の木 ムクロジ目/ムクロジ科/トチノキ属 花期/4月末~5月上旬 結実期/8月~9月
学名/Aesculus turbinata Blume

食用自生種稀少

トチノキ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2022/05/02

#トチノキ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2022/05/02

山地や丘陵地に生える落葉高木で、雌雄同株(しゆうどうしゅ)。日本固有種。神奈川県内にも自生するようだが、ホオノキ(朴の木)のように山地へ行けば意外とその辺にちょこちょこ生えているというものではなく、希少。湘南・鎌倉・三浦半島にも自生するらしいが野生のものにお目にかかれることはまずなかろう。公園には植栽されていることがある。外来の近似種セイヨウトチノキ(西洋栃の木)およびその系統の園芸品種も街路樹などに利用されることがあるので混同注意。

開花中のトチノキ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2022/05/02

開花中の#トチノキ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2022/05/02

トチノキ 東京都調布市・神代植物公園植物多様性センター 2020/08/04

#トチノキ 東京都調布市・神代植物公園植物多様性センター 2020/08/04

トチノキの高木 東京都調布市・神代植物公園植物多様性センター 2020/08/04

#トチノキの高木 東京都調布市・神代植物公園植物多様性センター 2020/08/04

下から見上げたトチノキ 箱根湿生花園 2024/07/23

下から見上げた#トチノキ 箱根湿生花園 2024/07/23

冬枯れしたトチノキの高木 東京都調布市・神代植物公園 2021/12/11

冬枯れした#トチノキの高木 東京都調布市・神代植物公園 2021/12/11

葉は巨大な掌状複葉。掌形のセットで一枚の葉、という扱いになる。小葉は付け根まで完全に切れ込む。ホオノキの葉がやや紛らわしいが、ホオノキの小葉には明らかな柄(え)がある。

トチノキの葉 鎌倉市・大船フラワーセンター 2022/05/02

#トチノキの葉 鎌倉市・大船フラワーセンター 2022/05/02

トチノキの葉 鎌倉市・大船フラワーセンター 2022/05/02

#トチノキの葉 鎌倉市・大船フラワーセンター 2022/05/02

トチノキの葉 鎌倉市・大船フラワーセンター 2022/05/02

#トチノキの葉 鎌倉市・大船フラワーセンター 2022/05/02

トチノキの葉 鎌倉市・大船フラワーセンター 2022/05/20

#トチノキの葉 鎌倉市・大船フラワーセンター 2022/05/20

トチノキの葉の中心部 鎌倉市・大船フラワーセンター 2022/05/02

#トチノキの葉の中心部 鎌倉市・大船フラワーセンター 2022/05/02

トチノキの葉の中心部 鎌倉市・大船フラワーセンター 2022/05/02

#トチノキの葉の中心部 鎌倉市・大船フラワーセンター 2022/05/02

切れ込み具合が細かく均一な重鋸歯。セイヨウトチノキは切れ込みがときに粗くて不均一。葉裏の全面に赤褐色の毛が残る品種があり、ケトチノキ(毛栃の木)ないしウラゲトチノキ(裏毛栃の木)と呼び分けることがある。

トチノキの小葉の鋸歯 鎌倉市・大船フラワーセンター 2022/05/02

#トチノキの小葉の鋸歯 鎌倉市・大船フラワーセンター 2022/05/02

トチノキの葉 横須賀市・くりはま花の国 2017/05/02

#トチノキの葉 横須賀市・くりはま花の国 2017/05/02

トチノキの夏の葉 東京都調布市・神代植物公園植物多様性センター 2020/08/04

#トチノキの夏の葉 東京都調布市・神代植物公園植物多様性センター 2020/08/04

冬芽は赤茶色で、樹脂(ヤニ)に覆われたもの。キャラメルでコーティングされたように見える。触るとべったべた。

落葉した冬のトチノキ 平塚市・花菜ガーデン 2021/01/19

落葉した冬の#トチノキ 平塚市・花菜ガーデン 2021/01/19

トチノキの冬芽(クモが一匹貼り付いてしまっている) 平塚市・花菜ガーデン 2021/01/19 

#トチノキの冬芽(クモが一匹貼り付いてしまっている) 平塚市・花菜ガーデン 2021/01/19 

成長が早くて柔らかいため、一般的な木材として利用される。高村光雲の彫刻「老猿(ろうえん)」(東京国立博物館所蔵、国指定重要文化財)はトチノキの一木造(いちぼくづくり)である。

トチノキの幹(樹皮) 平塚市・花菜ガーデン 2021/01/19

#トチノキの幹(樹皮) 平塚市・花菜ガーデン 2021/01/19

トチノキの幹(樹皮) 東京都調布市・神代植物公園 2021/12/11

#トチノキの幹(樹皮) 東京都調布市・神代植物公園 2021/12/11

単純に考えれば、栃木県はこのトチノキがたくさん生えていたことに由来する名といえる(他説あり、正確には由来不明)。その真偽はともかく、トチノキが栃木県の県木に制定されている。

トチノキの花

高木で尚且つ花は上向きに付くためなかなか間近でお目にかかれる機会はないが、大きな円錐形の花序は結構な異彩を放って見る者を圧倒するだろう。

トチノキの蕾 鎌倉市・大船フラワーセンター 2021/04/15

#トチノキの蕾 鎌倉市・大船フラワーセンター 2021/04/15

トチノキ 横須賀市・くりはま花の国 2017/05/02

#トチノキ 横須賀市・くりはま花の国 2017/05/02

トチノキ 横須賀市・くりはま花の国 2017/05/02

#トチノキ 横須賀市・くりはま花の国 2017/05/02

トチノキ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2022/05/02

#トチノキ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2022/05/02

トチノキ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2022/05/02

#トチノキ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2022/05/02

トチノキ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2022/05/02

#トチノキ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2022/05/02

トチノキ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2022/05/02

#トチノキ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2022/05/02

小花たちも異様。どうにもこうにも黄色、オレンジ色、赤色の目を持った火星人三兄弟にしか見えやしない。黄色が若い花で、あとはスイフヨウ(酔芙蓉)方式で赤みが強くなっていくのだという。どうやら葯(やく)が付いていない”足”が雌蕊のようだ。ごちゃごちゃしていてぜんぜんよくわからないが、両性花と、雌蕊が退化した単性の雄花が混在するらしい。果実の付き方からして、花序の基部側には両性花があり、花序先端側は雄花ばっかり、なのだろう。花弁は四枚。セイヨウトチノキなら花弁は五枚ある。

トチノキ 横須賀市・くりはま花の国 2017/05/02

#トチノキ 横須賀市・くりはま花の国 2017/05/02

トチノキ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2022/05/02

#トチノキ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2022/05/02

トチノキの実

トチノキの実はふつう”トチ(栃)の実”という。収穫は9月。高木なので木になっているものは手が届かない。早ければ8月末からぼとぼとと落ちてくるのでそれを拾う。表面の皮を剥ぐと、中からクリ(栗)にそっくりなものが一つ登場。可食部は更にその中。もち米と一緒に蒸して搗(つ)き、栃餅(とちもち)にするとよい。苦みなどが強いため必ず事前に灰汁(あく)抜きをすること。この灰汁抜き作業が厄介で、清流に数週間晒すなどしなければいけない。

トチノキの花後 鎌倉市・大船フラワーセンター 2022/05/20

#トチノキの花後 鎌倉市・大船フラワーセンター 2022/05/20

トチノキの花後 鎌倉市・大船フラワーセンター 2022/05/20

#トチノキの花後 鎌倉市・大船フラワーセンター 2022/05/20

トチノキの実 横須賀市・くりはま花の国 2017/08/04

#トチノキの実 横須賀市・くりはま花の国 2017/08/04

トチノキの実 東京都調布市・神代植物公園植物多様性センター 2020/08/04

#トチノキの実 東京都調布市・神代植物公園植物多様性センター 2020/08/04

トチノキの実 東京都調布市・神代植物公園植物多様性センター 2020/08/04

#トチノキの実 東京都調布市・神代植物公園植物多様性センター 2020/08/04

トチノキの(殻付きの)実 東京都調布市・神代植物公園「木の実・草の実展」 2021/12/11

#トチノキの(殻付きの)実 東京都調布市・神代植物公園「木の実・草の実展」 2021/12/11

小さなトチの実は‥

トチノキの下に小振りな実が転がっていたので、てっきり成熟前に落ちてしまったトチの実だと思いきや‥、割ってみたらばツバキの実だった。これは紛らわしい。

ツバキの実 くりはま花の国 2017/08/05

#ツバキの実 くりはま花の国 2017/08/05

トチノキの実 茅ヶ崎市浜之郷 2025/01/14

#トチノキの実 茅ヶ崎市浜之郷 2025/01/14

トチノキの実 東京都調布市・神代植物公園「木の実・草の実展」 2021/12/11

#トチノキの実 東京都調布市・神代植物公園「木の実・草の実展」 2021/12/11

トチの実(色が薄茶色なのは乾燥しかけているもの) 横浜市金沢区釜利谷南・手子神社 2017/10/03 

#トチの実(色が薄茶色なのは乾燥しかけているもの) 横浜市金沢区釜利谷南・手子神社 2017/10/03 


東京都千代田区・#国道1号線(桜田通り「桜田門」~「霞が関二丁目」交差点間の約600mに73本のトチノキ並木、東京都内現存最古の街路樹、8月下旬 東京国道事務所「トチの実落とし」=実の配布あり)、東京都小平市・#東京都薬用植物園(有用樹木区4D)、東京都調布市・#神代植物公園(山野草園とはぎ園トイレの間に高木、隣にベニバナトチノキの高木、共に樹名板あり)、東京都調布市・#神代植物公園植物多様性センター(管理事務所前に高木)、横浜市西区・みなとみらい21・#とちのき通り(街路樹に若木・サルスベリと混生、実はごく僅かのみ)、横浜市中区・#根岸森林公園、横浜市金沢区釜利谷南・#手子神社(実は超高所のみたくさん、横浜市指定名木古木)、横浜市戸塚区・#小雀広場(ホタルの里~神明広場、ホオノキの隣)

#くりはま花の国(樹木園)、#大船フラワーセンター(ピクニックグラウンド)、#花菜ガーデン(アグリステーション(触れん土ファーム前トイレ)の田んぼたんぼ側と田んぼ道に若木)

鎌倉市・#子ども自然ふれあいの森、#東慶寺(墓地に高木、令和4年(2022)6月7日以降境内撮影禁止)、#散在ガ池森林公園、#長久保公園(西門入ってすぐ若木、更に進んでマユミ周辺にも、まだ開花結実しないか)

厚木市・#七沢森林公園(「七沢隧道~森のかけはし」の街路樹)、秦野市・#葛葉緑地(駐車場)、山北町・#頼政神社(県指定天然記念物「頼政神社のトチノキ」、かながわの名木100選「頼政神社のトチノキ」)、#箱根湿生花園(④ヌマガヤ草原区西側休憩所入口に高木)

参考資料

『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)

『日本の固有植物』 加藤雅啓・海老原淳編 東海大学出版会発行(2011)

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