クリ

栗 ブナ目/ブナ科/クリ属 花期/5月末~6月上旬 結実期/9月~10月中旬

食用改良種

クリの熟した実 茅ヶ崎市芹沢 2018/09/22

#クリの熟した実 茅ヶ崎市芹沢 2018/09/22

日本の山地に自生するヤマグリ(山栗)の栽培品種。落葉高木で、雌雄同株(しゆうどうしゅ)の雌雄異花。日本産のクリは外国産のものに対してニホングリ(日本栗)やワグリ(和栗)と呼ばれることがある。湘南・鎌倉・三浦半島では大規模なクリ栽培農家は見られないが、小規模なクリ園はそこかしこにある。里山地域へ出かければ道端などにもクリが植えられており、カキ(柿)程度に普通種。

クリ 葉山町上山口 2017/06/04

#クリ 葉山町上山口 2017/06/04

クリ 葉山町上山口 2017/06/04

#クリ 葉山町上山口 2017/06/04

クリ 鎌倉中央公園 2018/06/02

クリか 鎌倉中央公園 2018/06/02

クリ 鎌倉中央公園 2018/06/02

クリか 鎌倉中央公園 2018/06/02

葉は大きく長細い。クヌギ(橡)の葉にやや似ているが、クリの葉の鋸歯は側脈の延長が針のように細く尖る特徴あり。葉の基部はきれいな左右対称でない。

クリの葉 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/05/26

#クリの葉 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/05/26

クリの葉 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/05/26

#クリの葉 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/05/26

クリの葉にはチャミノガ(茶蓑蛾)の幼虫(ミノムシ)が付くことがある。

クリの花

開花はマテバシイ(全手葉椎)とほぼ同期で、また花の様子も似る。マテバシイは葉に鋸歯がなく雄花序も短めなので、見分けは簡単。

クリ 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/05/26

#クリ 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/05/26

クリの雄花と雌花 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/05/26

#クリの雄花と雌花 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/05/26

よく目立つ、垂れ気味で長い花序が雄花。スダジイ(須田椎)やマテバシイと同様に不快臭を放つ(ときに”精液のにおい”とも評される)。

クリの雄花 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/05/26

#クリの雄花 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/05/26

クリの雄花 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/05/26

#クリの雄花 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/05/26

やや立ち上がり気味な花序の基部に少数付く小花が雌花。小さなイソギンチャクのよう。この花序の先端側に付く開花が遅れ気味な小花たちは雄花である。これもマテバシイと同じ構成。

クリの雌花 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/05/26

#クリの雌花 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/05/26

クリの雌花 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/05/26

#クリの雌花 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/05/26

クリの花(雄花)が落ちるとじきに梅雨入り(つゆいり、ついり)を迎える。これを墜栗花(ついり)と表現することも。

クリの実

毬栗(いがぐり)の棘(とげ)は縫い針と同等に痛く素手では持てないので注意。軍手でも駄目。茶色い鬼皮(おにかわ)は包丁ないし栗剥き専用ハサミで剥く。薄い渋皮はつるりと剥がせないので、包丁で厚め(2mm程)に剥いてゆくか栗剥き専用ハサミでちまちま剥く。生産農家曰く、実が六割も残るように渋皮を剥けたなら上級者の域なのだそうだ。なお渋皮は一度茹でてから剥くなどの裏技を使った方が安全で無駄も少なくなるので一般人にはお薦め。日が経つと乾燥し鬼皮が硬くなってしまうので、保存には保湿が必要。

クリの若い実 平塚市・相模川・八幡子供球場 2018/07/26

#クリの若い実 平塚市・相模川・八幡子供球場 2018/07/26

クリの若い実 平塚市・相模川・八幡子供球場 2018/07/26

#クリの若い実 平塚市・相模川・八幡子供球場 2018/07/26

クリのほぼ熟した実 茅ヶ崎市芹沢 2018/09/22

#クリのほぼ熟した実 茅ヶ崎市芹沢 2018/09/22

クリのほぼ熟した実 茅ヶ崎市芹沢 2018/09/22

#クリのほぼ熟した実 茅ヶ崎市芹沢 2018/09/22

人や動物に持ってかれないうちにしっかり収穫されるため、樹上になっている熟したクリの実を見かける機会は意外とない。

クリの熟した実 茅ヶ崎市芹沢 2018/09/22

#クリの熟した実 茅ヶ崎市芹沢 2018/09/22

クリの完熟して落下した実 藤沢市遠藤 2019/09/27

#クリの完熟して落下した実 藤沢市遠藤 2019/09/27

なぜか落ちていたクリの実 横須賀市・貝山緑地(クリの木はない) 2017/03/22

なぜか落ちていた#クリの実 横須賀市・貝山緑地(クリの木はない) 2017/03/22

渋皮は包丁で削(そ)ぐのが日本のクリの特徴。栗きんとんに入っているクリの実が刃物で削られたような姿をしているのはこのため。これに対し、渋皮が素手で簡単に剥けちゃうのが中国原産のシナグリ(支那栗)。天津甘栗(てんしんあまぐり)の実の表面に削ったような痕跡がないのはこのため。お馴染みの「甘栗むいちゃいました」(クラシエフーズ)も原材料は当然シナグリ。

マロン(Marron)とは何か


マロンはフランス語で、本来はセイヨウトチノキ(西洋栃の木)の実を指す。セイヨウトチノキの木がマロニエ(Marronnier)、その実がマロン。


対して、ヨーロッパグリ(ヨーロッパ栗)の木はフランス語でシャテニエ(Châtaignier)といい、その実はシャテーニュ(Châtaigne)である。要するにフランスではクリをシャテーニュという。ところがマロングラッセ(Marron glacé)などの加工品を中心とした一部商品ではシャテーニュではなくマロンの呼称を(フランスでも)使っている。おそらくは、マロニエの実であるマロンのように大きくて丸くて立派なお菓子ですよと誇張したのがはじまりではないか。そこいらで目にするふつうのクリじゃない、毬栗(いがぐり)に三個入っていて真ん中の扁平に潰れちゃってるちょっと残念なあいつとは別物ですよ、見栄えの良い高級品であるよ、と。そのマロングラッセが日本で有名になったことから引っ張られて、”クリはフランス語でマロンという”との認識が広まってしまったようだ。


なお、”フランスではクリはシャテーニュといい、マロンという呼称は日本国内での誤用”という言い方は誤り。なお英語でクリはチェスナット(Chestnut、日本風に表記すればチェストナッツ)。

クリの実にはクリシギゾウムシの幼虫が寄生しやすいので食べるときには注意が必要。太った白いイモムシ(芋虫)がうにょうにょ這い出てくることも。

トチノキ(栃)の実と見間違えぬよう。


#十二所果樹園、鎌倉中央公園(上池畔向こう側)、#茅ケ崎里山公園

クリの実を無料で自由に拾えるところはない。落ちたクリの実が放ったらかしにされている(のでこっそり盗んでも誰からも咎められることはないだろうことが予想される)ようなところもない。クリの実は他者(農家、公園であれば市や県、など)が所有する財産なので勝手に持ち去ってはいけない。クリの木が植えられているところの地権者等から許可を得ずして行ったクリの実の採取は窃盗罪(刑法235条)ないし占有離脱物横領罪(同254条)に該当し処罰される。

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