蓑虫 昆虫/チョウ目/ミノガ科 見頃/12月中旬~2月
在来種稀少保護
チャミノガの幼虫(ミノムシ)、体長1.5~2cm(伸び縮みする) 茅ヶ崎市萩園産 2019/09/10
幼虫が蓑(みの)状の巣を作ってその中で生活をするガ(蛾)がいる。こうした性質を持つガの幼虫を総称してミノムシという。一般にミノムシといった場合はオオミノガ(大蓑蛾)とチャミノガ(茶蓑蛾)の二種を指す。このうち、明らかに小振りな方がチャミノガで、蓑は主に小枝で作られている。蓑が木の葉裏などにがっちり固定されて付いているのがチャミノガ、ぶらーんと垂れ下がっているのがオオミノガ、といわれているが、ぶらぶらぶら下がっているチャミノガも(暖かい時季には)ふつうにいる。直ちに移動する必要がなく身を守りたいとき、例えば蛹になる際などにがっちり固着させているのではないか。蓑は長さ約3cm、中身の幼虫は体長2cm近く(人に触られるなどして緊張すると1.5cmくらいに縮む)。
クスノキの葉に固定されたチャミノガの幼虫(ミノムシ、中身あり) 寒川神社 2017/05/15
クリの葉からぶら下がっているチャミノガの幼虫(ミノムシ、中身あり) 茅ヶ崎市萩園 2019/09/09
平成(1989-2019)に入ってから”ミノムシが激減している”ことが話題に。オオミノガヤドリバエ(大蓑蛾寄生蠅)なる外来のハエがミノムシに寄生してミノムシを食べてしまっているせいだという。であるならば、絶滅危惧種に指定されるレベルで数を減らしているのはオオミノガのミノムシだけであってチャミノガには関係のない話と思われるが、チャミノガのミノムシも見かける機会がめっきり減っていやしないだろうか。冬場はミノムシを意識的に探している私の視界にはオオミノガのミノムシもチャミノガのミノムシも入ってきやしない。自然豊かといわれる公園でも軽く一巡りした程度では一匹たりとも見つけられない、という方がむしろ当たり前な現状がある。はて、チャミノガのミノムシはいずこへ消えたか。
令和元年(2019)
農地に植えられたクリ(栗)の木に多数のチャミノガの幼虫(ミノムシ)を発見。葉には食痕もあり、すべて中身(幼虫)は生きている模様。
クリの葉に付いたチャミノガの幼虫(ミノムシ、白色矢印) 茅ヶ崎市萩園 2019/09/09
クリの葉に付いたチャミノガの幼虫(ミノムシ) 茅ヶ崎市萩園 2019/09/09
クリの葉からぶら下がっているチャミノガの幼虫(ミノムシ) 茅ヶ崎市萩園 2019/09/09
クリの葉に固着しているチャミノガの幼虫(ミノムシ)
クリの葉に固着しているチャミノガの幼虫(ミノムシ) 茅ヶ崎市萩園 2019/09/09
チャミノガの幼虫(ミノムシ)、体長1.5~2cm(伸び縮みする) 茅ヶ崎市萩園産 2019/09/10
幼虫の頭部を覆う兜(かぶと)が破砕されているものがあり、翌日には蛹(さなぎ)に変わっていた。
チャミノガの蛹(体長17mm) 茅ヶ崎市萩園産 2019/09/10
上の蛹はティシューペーパーに乗せて密閉容器で保管したところ、しばらくして表面に小さな穴が開き、ティシューに体液らしきものが滲(にじ)み出ていた。ヤドリバエ(寄生蠅)の仲間に寄生されてしまっていたようで、結局表面の皮を除いて内部は完全に食べ尽くされ、ハエの成虫一匹が容器内に出現するに至った。
皮を除いて体内はすべて食い尽くされたチャミノガの蛹(体長17mm) 茅ヶ崎市萩園産 2019/09/24
チャミノガの蛹を食らって出現したヤドリバエの仲間(頭先端~尻先の体長9mm、突起部分は含まず) 2019/09/24
チャミノガの幼虫(ミノムシ)の越冬個体(中身未確認) 茅ヶ崎市萩園 2019/12/11
チャミノガの幼虫(ミノムシ)の越冬個体(中身未確認) 茅ヶ崎市萩園 2019/12/11
青蓮寺、茅ヶ崎市下寺尾、茅ヶ崎市萩園