ツマグロヒョウモン

褄黒豹紋 チョウ目/タテハチョウ科 成虫期/4月~11月
学名/Argyreus hyperbius (Linnaeus, 1763)

在来種駆除

住宅地の庭に現れて翅を休めるツマグロヒョウモン(メス) 茅ヶ崎市浜之郷 2020/09/06

住宅地の庭に現れて翅を休めるツマグロヒョウモン(メス) 茅ヶ崎市浜之郷 2020/09/06

オレンジ色に黒い点々が入る中型のチョウ(蝶)。きれいと気持ち悪いの間(はざま)のデザインで、子供が捕虫することはまずなく、大人に殺虫剤を撒かれるでもなく、基本的には無視されているだろうチョウ。野原へ行くとちらほら飛んでいる奴という印象あるも、市街地にも出没する。翅(はね)先端が黒っぽかったら雌、全部オレンジ色だったら雄である。毒はない。湘南・鎌倉・三浦半島で、希少性はまったくない普通種。

アカネスミレに産卵しに来たツマグロヒョウモン 茅ヶ崎市浜之郷 2020/07/30

#アカネスミレに産卵しに来たツマグロヒョウモン 茅ヶ崎市浜之郷 2020/07/30

ツマグロヒョウモン(メス)の翅の裏側 茅ヶ崎市浜之郷 2022/07/01

ツマグロヒョウモン(メス)の翅の裏側 茅ヶ崎市浜之郷 2022/07/01

スミレ(菫)の仲間には極めて甚大な被害を発生させる害虫である。住宅地にまで出現するのはメス。民家の庭で栽培されているスミレを見つけては卵を産み付けてゆく。孵化(ふか)した幼虫が問題で、スミレの葉を食べてしまう。幼虫が小さなうちは被害が些細なのでつい見過ごしてしまうのだが、終齢幼虫になった途端にばくばくばくばく葉を大量に食らい、幼虫が二三匹付いていようものならもう悲惨で、スミレは確実に丸禿げる(再生できずに、そのまま枯死してしまうこともある)。スミレを栽培している人はこまめに葉を観察し、食痕あらば極力早く(一週間と放置せず)ツマグロヒョウモンの幼虫を駆除(ピンセットのようなもので摘み取って、踏み潰して殺す)しなければいけない。なおスミレを栽培していない人にとってはまったくの無害なチョウである。
幼虫は芋虫。全身黒色で、赤色の縦線が入る。体にとげとげした突起が多数あるので見分けは簡単だろう。風貌は、見るからに悪いやつ。成虫同様、毒はない。
葉に食害あるのにツマグロヒョウモンの幼虫が見つけられなかったときは、ヨトウムシ(夜盗虫)が土中に潜んでいる疑い。

スミレに付いたツマグロヒョウモンの幼虫 茅ヶ崎市浜之郷 2020/08/24

#スミレに付いたツマグロヒョウモンの幼虫 茅ヶ崎市浜之郷 2020/08/24

スミレに付いたツマグロヒョウモンの幼虫 茅ヶ崎市浜之郷 2020/08/24

#スミレに付いたツマグロヒョウモンの幼虫 茅ヶ崎市浜之郷 2020/08/24

ツマグロヒョウモンの幼虫に食害されたスミレ(2株)の残骸 茅ヶ崎市浜之郷 2020/09/22

ツマグロヒョウモンの幼虫に食害された#スミレ(2株)の残骸 茅ヶ崎市浜之郷 2020/09/22

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『ツマグロヒョウモン』へのコメント

  1. 里山ライフ 投稿日:2023/03/27(月) 07:44:20 ID:c4296a736 返信

    >終齢幼虫になった途端にばくばくばくばく葉を大量に食らい、幼虫が二三匹付いていようものならもう悲惨で、スミレは確実に丸禿げる(再生できずに、そのまま枯死してしまうこともある)。
    >当方はスミレの栽培と観察を行っていますので、毎年200匹くらいは殺しているかもしれません。
    https://mirusiru.jp/nature/flower/sarutoriibara?replytocom=856#comment-856

    (野鳥などによる植物相で)
    タチツボスミレとマルバスミレが樹下などに自生し群生化した結果、
    食草とする蝶などを呼び寄せたようで、群落の単位ごとに「幼虫」を認めます。
    しかし、次第に個体数が減少してゆき、終齢幼虫まで生き残っているのは1~2匹程度です。
    庭は、20年以上「完全無農薬」で駆除も行わないので、
    天敵(野鳥、スズメバチ、アシナガバチ、カエル、クモ、カマキリなど)が要因と思われます。

    同様に、
    https://mirusiru.jp/nature/flower/sanshou?replytocom=301#comment-301
    サンショウも勝手に各所から自生するので、クロアゲハやナミアゲハを呼び寄せます。
    クロアゲハの幼虫によって、食べ尽くされた4㍍ほどのサンショウが枯死しました。
    庭にクロアゲハが乱舞する光景は優雅であり、
    次々に生えてくるサンショウが枯死しても気になりませんが、
    可否は、立場や観点で異なりますね。

    • 里山ライフ 投稿日:2023/03/27(月) 08:05:50 ID:c4296a736 返信

      関連事例として:
      2022/10/10~15、1羽のカッコウの幼鳥が庭先に頻繁に出没する。
      巨木の樹冠の各所に天幕を張ってウジャウジャと蠢いている毛虫(アメリカシロヒトリ)を次々に啄んでいた。見るもおぞましいほどウジャウジャと大発生していた毛虫を完食(食べ尽くした!)後、飛来しなくなった。
      この一件で、
      カッコウ類が「食物連鎖」による森林保全に貴重な存在であることを認識しました。
      そして「生物群系」は相互依存があり、天敵へのシグナルを発している事も。