アカネスミレ

茜菫 キントラノオ目/スミレ科/スミレ属 花期/3月末~4月

自生種稀少保護

豊かに成長したアカネスミレ 横浜市栄区・小菅ケ谷北公園 2019/04/04

豊かに成長したアカネスミレ 横浜市栄区・小菅ケ谷北公園 2019/04/04

主に丘陵地に生えるスミレの仲間。どうやら他の草花が生えていない明るい斜面がお好きなようである。全体的なサイズ感はタチツボスミレ(立坪菫)とほぼ同等。よく成長した株は葉も花もたいへん多く出すため、こんもりとした(両手に乗っかる程度の)小群落のような姿となる。全国的には普通種らしいが、湘南・鎌倉・三浦半島では見かける機会はほぼないだろう。大磯丘陵周辺などには自生があると聞く。花色と葉の形状を頼りに探し、花弁の開き方、側弁基部の毛、距(きょ)の形状、あたりからアカネスミレであると同定するとよい。なお茜色とはアカネの根を染料とした色で、やや暗い赤い色。日没頃の情景が”茜色の空”などと形容される。花色が、夕焼けの赤と空の青が混じって紫色に変わりつつ暗くなっていく様子に見立てられた名前だろう。アカネスミレの花色は茜色そのものとぴったり一致する色ではない。

アカネスミレ 横浜市栄区・小菅ケ谷北公園 2019/04/04

アカネスミレ 横浜市栄区・小菅ケ谷北公園 2019/04/04

横から見たアカネスミレ 横浜市栄区・小菅ケ谷北公園 2019/04/04

横から見たアカネスミレ 横浜市栄区・小菅ケ谷北公園 2019/04/04

葉は、気持ち縦長な心形(しんけい、ハート形)。タチツボスミレとコスミレ(小菫)のちょうど中間のような形状である。葉柄(ようへい)には少し翼(よく)あり。翼がない個体もあるらしい。

アカネスミレの葉 横浜市栄区・小菅ケ谷北公園 2019/04/04

アカネスミレの葉 横浜市栄区・小菅ケ谷北公園 2019/04/04

花茎(かけい)など、全体に細かい毛が多く生えている。毛は細かすぎて肉眼では認識しづらいが、ルーペで覗くか写真等を確認すれば白色の細かい毛が密生していてビロード状になっていることがわかる。なお(側弁基部以外)無毛な変種はオカスミレ(丘菫)と呼ばれる。

アカネスミレの特徴(の一部) 横浜市栄区・小菅ケ谷北公園 2019/04/04

アカネスミレの特徴(の一部) 横浜市栄区・小菅ケ谷北公園 2019/04/04

アオイスミレ(葵菫)やアリアケスミレ(有明菫)といったものがあり、名前が紛らわしい。

アカネスミレの花

花色はタチツボスミレとは比較するまでもなく、濃い紫。明るく濃い、やや赤みがかった紫色である。花弁はすべて軽く反っており、ぱっと平開せんとする意思を感じる姿。側弁基部は有毛。子房も有毛らしい。花を正面から覗き見ても雌蕊の柱頭(ちゅうとう)は隠れてしまっており、ふつう肉眼では確認しがたい。花の後方に突き出る距は細く長い。

アカネスミレ 横浜市栄区・小菅ケ谷北公園 2019/04/04

アカネスミレ 横浜市栄区・小菅ケ谷北公園 2019/04/04

アカネスミレ 横浜市栄区・小菅ケ谷北公園 2019/04/04

アカネスミレ 横浜市栄区・小菅ケ谷北公園 2019/04/04

タチツボスミレ(左、色薄い)とアカネスミレ(右、色濃い)の比較 横浜市栄区・小菅ケ谷北公園 2019/04/04

タチツボスミレ(左、色薄い)とアカネスミレ(右、色濃い)の比較 横浜市栄区・小菅ケ谷北公園 2019/04/04

全体的な姿はアカネスミレに似ていながらも花が明確に巨大だったら、サクラスミレ(桜菫)の可能性。山地に生え、神奈川県内では丹沢や箱根にごくわずかに自生が残っているらしいが、湘南・鎌倉・三浦半島では栽培ものも含めて見かけない。


横浜市栄区・小菅ケ谷北公園(盗掘犯が出没している)、横浜市保土ケ谷区・陣ケ下渓谷公園、横浜市戸塚区・#舞岡公園(小谷戸の里の古民家裏から炭焼き小屋への小川沿い、間近で観察できない)、横浜市青葉区・こどもの国、横浜市緑区・四季の森公園、横浜市緑区・新治市民の森(にいはる-、駐車場は土日祝のみ開場)

藤沢市・遠藤笹窪谷(平成30年(2018)4月10日なし)

座間市・座間谷戸山公園、厚木市・自然環境保全センター(4月中旬~下旬)、箱根湿性花園

参考資料

『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)

『スミレ ハンドブック』 山田隆彦著 文一総合出版発行(2010)

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