大葉宿生木、大葉宿り木、大葉宿木 ビャクダン目/オオバヤドリギ科/オオバヤドリギ属 花期/9月~10月中旬 結実期/5月
学名/Scurrula yadoriki (Siebold ex Maxim.) Danser
危険駆除保護
オオバヤドリギ 小田原市上曽我・須賀神社 2024/10/02
他の樹木の幹や枝にヤドリギのように半寄生する常緑の低木で、雌雄同株(しゆうどうしゅ)。落葉・常緑広葉樹、針葉樹を問わず、様々な樹種を寄主(きしゅ、宿主(しゅくしゅ、やどぬし))とする。寄主になっている樹木から水分や養分を吸い取ってはいるが、自身で光合成も行っている、半寄生植物である。遠目の姿だけはヤドリギに似るもそれ以外は相違点が多く、現在は属レベルではなくその上の別の科(ヤドリギはビャクダン科、オオバヤドリギはオオバヤドリギ科)に分類されている。神奈川県内では、小田原市を中心とした県西地域にのみ分布。小田原にはやたら多い。湘南・鎌倉・三浦半島には自生なし。主な分布域である関西方面から運んできた植木に引っ付いて移入したなんていう可能性があるのかどうかは不明。静岡県・伊豆半島には比較的多いようなので、そちらから入ってきたか、大昔から県内に自生があったのか。県内で採取された最古の標本は平成3年(1991)のものである。北限である千葉県で(絶滅危惧IB類(EN)相当の)重要保護生物(B)、愛知県でも絶滅危惧IB類(EN)に指定されており、本種は保護されてしかるべき希少種らしい。
クスノキの大樹などに寄生したオオバヤドリギ 小田原市上曽我・瑞雲寺 2024/07/24
クスノキの大樹に寄生したオオバヤドリギ 小田原市上曽我・瑞雲寺 2024/07/24
クスノキの大樹に寄生したオオバヤドリギ 小田原市上曽我・瑞雲寺 2024/07/24
ケヤキに寄生したオオバヤドリギ 小田原市上曽我・瑞雲寺 2024/07/24
ケヤキに寄生したオオバヤドリギ 小田原市上曽我・瑞雲寺 2024/07/24
ケヤキに寄生したオオバヤドリギ 小田原市上曽我・瑞雲寺 2024/07/24
ケヤキに寄生したオオバヤドリギ 小田原市上曽我・瑞雲寺 2024/07/24
クスノキの大樹に寄生したオオバヤドリギ 小田原市上曽我・瑞雲寺 2024/10/15
クスノキに寄生したオオバヤドリギ 小田原市上曽我・須賀神社 2024/09/24
オオバヤドリギの大株 小田原市上曽我・須賀神社 2024/07/24
クスノキに寄生したオオバヤドリギ 小田原市上曽我・須賀神社 2024/09/14
クスノキに寄生したオオバヤドリギ 小田原市上曽我・須賀神社 2024/09/24
開花中のオオバヤドリギ 小田原市上曽我・須賀神社 2024/09/24
開花中のオオバヤドリギ 小田原市上曽我・須賀神社 2024/09/24
#カリンに寄生したオオバヤドリギ 小田原市上曽我・瑞雲寺 2024/07/24
#ウメに寄生したオオバヤドリギ 小田原市上曽我・瑞雲寺 2024/10/02
オオバヤドリギの枝 小田原市上曽我・瑞雲寺 2024/10/02
オオバヤドリギの枝 小田原市上曽我・瑞雲寺 2024/10/02
#ケヤキに寄生したオオバヤドリギ(白色矢印) 小田原市根府川・寺山神社 2024/12/09
#ケヤキに寄生したオオバヤドリギ 小田原市根府川・寺山神社 2024/12/09
#オカメザクラに寄生したオオバヤドリギ(白色矢印) 小田原市・JR東海道本線・根府川駅 2024/12/09
天守閣前の#サクラに寄生したオオバヤドリギ(白色矢印) 小田原城址公園 2025/01/11
ケヤキに寄生した園内最大のオオバヤドリギ 小田原城址公園・北入口~天守閣 2025/01/11
御用米曲輪西側のスダジイに寄生したオオバヤドリギ(白色矢印) 小田原城址公園 2025/01/11
希ではあるが、針葉樹にも寄生する。
「滑り落ちた本丸の石垣」の#クロマツに寄生したオオバヤドリギ 小田原城址公園 2025/01/11
「滑り落ちた本丸の石垣」の#クロマツに寄生したオオバヤドリギ(白色矢印) 小田原城址公園 2025/01/11
「滑り落ちた本丸の石垣」の#クロマツに寄生したオオバヤドリギ(茶色部分) 小田原城址公園 2025/01/11
こども遊園地西側のオオバヤドリギ(白色矢印) 小田原城址公園 2025/01/11
城山トンネル付近の#サクラに寄生したオオバヤドリギ 小田原城址公園 2025/01/11
県指定天然記念物「神奈川県立小田原高等学校の樹叢」のオオバヤドリギ(白色矢印) 小田原高校 2025/01/11
#サクラの大樹に寄生したオオバヤドリギ(白色矢印) 国際医療福祉大学小田原キャンパス城内校舎 2025/01/11
葉は対生で全縁(ぜんえん)。表面は緑色で強い光沢あり。うっかりすると、蔓状のマルバグミ(丸葉茱萸、オオバグミ)(互生、葉裏は白い)が紛れているのかと誤認しかねないので注意。
オオバヤドリギの葉 小田原市上曽我・須賀神社 2024/10/02
オオバヤドリギの葉 小田原市上曽我・瑞雲寺 2024/10/02
オオバヤドリギの葉 小田原市上曽我・瑞雲寺 2024/10/02
枝先の若い葉の全体、若い枝、成葉(せいよう)の裏面、葉柄(ようへい)、蕾、などは赤褐色の毛で覆われている。従って下から仰ぎ見ると、寄主の色とは明らかに異質な赤茶色の塊(かたまり)があるように見え、本種が生えていることに気づかされるだろう。その部分だけ茶色っぽいので、部分的に枝が枯れているように見えてしまうかもしれない。
オオバヤドリギの枝先 小田原市上曽我・瑞雲寺 2024/10/02
オオバヤドリギの若い枝 小田原市上曽我・須賀神社 2024/10/02
オオバヤドリギの赤褐色をした葉裏 小田原市上曽我・須賀神社 2024/09/24
オオバヤドリギの葉裏 小田原市上曽我・瑞雲寺 2024/10/02
オオバヤドリギの若い枝 小田原市上曽我・瑞雲寺 2024/10/02
寄主に沿うように幹を蔓状に伸ばし、所々で根を張り寄生する。というように見えるのだが、学術的には幹ではなく皮走根と名付けられた根を寄主に沿うように伸ばし、所々で吸器を寄主に食い込ませて寄生している、らしい。
#ウメに寄生したオオバヤドリギの株元 小田原市上曽我・瑞雲寺 2024/10/02
タブノキの枝に寄生したオオバヤドリギの株元 小田原市上曽我・須賀神社 2024/10/02
ヤドリギは寄主に目立った悪影響を与えないおよそ無害な居候(いそうろう)といえるが、オオバヤドリギは寄主を殺しにかかるので注意が必要。巨木、古木、天然記念物、お構いなしに寄主を弱らせいずれは枯死に至らしめる能力を有す。オオバヤドリギが原因となる樹木の被害は平成時代(1989-)に入ってから目立つようになったという話がある。ちなみに神奈川県内では平成3年(1991)に初めて本種の標本が採取されて以降、個体数を爆発的に増やしている可能性がある。近頃増えている(につれ、被害も大きくなっている)のは地球温暖化による影響か。なお寄主が枯死すれば水分や養分の供給源が失われるわけで、当然オオバヤドリギ自身も枯死する羽目に陥るので間抜けな話ではある。寄主が保存されるべき大切な樹木であるならば、本種を見つけ次第早急に寄生された枝ごとを切り落とす必要があるだろうと思われる。それが、樹高が20mを超える高木の高所で甚だ面倒な話であっても。虫歯と同じで、放置すればするだけ事態は深刻化する一方である。何もしなくとも寄主の樹勢が改善することは期待できない。
オオバヤドリギに寄生され枯死寸前の市指定天然記念物「須賀神社のクスノキ」 小田原市・須賀神社 2024/07/24
オオバヤドリギに寄生され枯死寸前の市指定天然記念物「須賀神社のクスノキ」 小田原市・須賀神社 2024/07/24
オオバヤドリギに寄生され枯死寸前の市指定天然記念物「須賀神社のクスノキ」 小田原市・須賀神社 2024/07/24
神奈川県内で確認されている類似する半寄生植物は本種の他に、ヤドリギ、ヒノキバヤドリギ(檜葉宿生木)、マツグミ(松茱萸)、がある。これらのうち、オオバヤドリギとヒノキバヤドリギは寄主を弱らせて殺しにかかる死神なので要注意。
オオバヤドリギの花
葉腋(ようえき)に複数個付く。一斉に満開することはなく、少しずつ順に咲いてゆく。筒状花(とうじょうか)で、外側は全面が赤褐色の毛で覆われている。花冠裂片は四裂で、内側は緑色。咲き終わると暗紫色に変わる。突き出ているのは蕊。中心に暗い赤紫色の雌蕊が一本あり、それを内側黄色・外側赤色をした四本の雄蕊が取り囲む。雄蕊は花冠筒部(とうぶ)内側に合着している。
オオバヤドリギ 小田原市上曽我・須賀神社 2024/09/24
オオバヤドリギ 小田原市上曽我・須賀神社 2024/09/14
オオバヤドリギの蕾 小田原市上曽我・須賀神社 2024/09/14
オオバヤドリギの蕾 小田原市上曽我・須賀神社 2024/09/24
オオバヤドリギ 小田原市上曽我・瑞雲寺 2024/10/02
オオバヤドリギ 小田原市上曽我・須賀神社 2024/10/02
オオバヤドリギ 小田原市上曽我・須賀神社 2024/10/02
オオバヤドリギ 小田原市上曽我・須賀神社 2024/10/02
オオバヤドリギ 小田原市上曽我・須賀神社 2024/10/02
オオバヤドリギの花冠筒部内部(無理矢理切り開いたもの) 小田原市上曽我・瑞雲寺 2024/10/15
雄蕊が開き花冠裂片が赤みを帯びてきたオオバヤドリギの咲き終わり 小田原市上曽我・須賀神社 2024/09/24
花は針葉樹に限定して半寄生するマツグミにやや似ているので混同注意。花の外側が赤褐色の毛で覆われていなければマツグミを疑いたい。
オオバヤドリギの実
種子の散布は鳥のヒヨドリ(鵯)が担っているらしい。
オオバヤドリギの未熟な実 小田原市・県指定天然記念物「神奈川県立小田原高等学校の樹叢」 2025/01/11
小田原市上曽我・須賀神社(市指定天然記念物「須賀神社のクスノキ」(小田原市教育委員会は”オオバヤドリギが30箇所近くも着生している珍木”と自慢していたのだがそのオオバヤドリギが原因で令和6年(2024)現在枯死寸前)、クスノキなどに)、小田原市上曽我・瑞雲寺(墓地側のクスノキの大樹・ケヤキ・カリンなどに、可能な限り駆除されている)、小田原城址公園(北入口~御用米曲輪西側~天守閣~こども遊園地~旧市立図書館(星崎記念館)~報徳二宮神社~城山トンネル~JR東海道本線・箱根登山鉄道の東西沿線~「青橋東側」交差点にたいへん多い(令和7年(2025)1月現在 ざっと数えて約60地点)、但し間近で観察できる個体はほぼ一切なし、天守閣北側の園路”本丸茶屋/北入口/こども遊園地”分岐北東に園内最大の巨大株)、小田原高校(県指定天然記念物「神奈川県立小田原高等学校の樹叢」のケヤキなどに、令和5年(2023)寄主伐採=10月14日に斜面崩落に伴い倒木したため、滅失はしておらずケヤキその他樹木の高所などにあり、東隣の民家敷地のサクラに)
小田原市・大久保神社(東隣の砂利駐車場の際のサクラに)、小田原市・国際医療福祉大学小田原キャンパス城内校舎(多目的広場北側のサクラの大樹に)、小田原市・相洋高校(小峰庭球場南向かいのサクラに)、小田原市・JR東海道本線・根府川駅(オカメザクラに1株)、小田原市根府川・寺山神社(鳥居脇のケヤキに1株)
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)
吉川枝里・米田美里・岩永史子・山本福壽「オオバヤドリギの着生状況および形態・組織からみた寄生機構」 『樹木医学研究 Vol.13』 樹木医学会発行(2009)
宇佐美暘一「北九州市および周辺地域におけるオオバヤドリギの生育分布と樹木被害」 『樹木医学研究 Vol.2 No.1』 樹木医学会発行(1998)
オオバヤドリギが高所で観察できない感じ、と聞くと見に行ってみようかな
マルバグミの風情は好みだし死神っていうマイナス評価も気になる所。
首と肩の痛みって(大概は)マッサージ不可だし 痛み止めテープも使用制限あるし
難しい場所ですね
マグネループMAXデビューですか、他人事とは思えない、、。
お大事にーーー。