キヨスミギボウシ

清澄擬宝珠 クサスギカズラ目/クサスギカズラ科/ギボウシ属 花期/(箱根)6月末~7月中旬
学名/Hosta kiyosumiensis F.Maek.

稀少

神奈川県レッドリスト2020「絶滅危惧IA類」
神奈川県レッドリスト2006「絶滅危惧IA類」

キヨスミギボウシ 箱根湿生花園 2023/07/02

#キヨスミギボウシ 箱根湿生花園 2023/07/02

山地の湿った林内に生える多年草(宿根草)。ギボウシ属に分類される植物(の特に得体の知れない園芸品種)を総称してホスタと呼ぶが、その野生(原種)の一種。名は千葉県・房総半島にある自然豊かな清澄山(きよすみやま)に因んだもの。日本固有種。ぱっと見はオオバギボウシ(大葉擬宝珠)とほぼ同じなので、ぼやっとしていると普通種のそれと誤認する。花期がやや早く、苞(ほう)が違う。神奈川県内では平成5年(1993)に箱根町の早川沿いで採取された標本がただ一点あるのみの超希少種。湘南・鎌倉・三浦半島では自生は確認されていないが、気づかれていないだけである可能性も排除できないためオオバギボウシらしきものを見かけたら要確認。基本的には県内で目にすることができるのは箱根湿生花園の植栽もののみか。近頃園内に野生のシカ(鹿)が不法浸入する事件が散発しており、食われて滅する懸念あり。

キヨスミギボウシの葉 箱根湿生花園 2023/07/02

#キヨスミギボウシの葉 箱根湿生花園 2023/07/02

キヨスミギボウシの花

開花はオオバギボウシより若干早め。花色は紫から白色。

キヨスミギボウシ 箱根湿生花園 2023/07/02

#キヨスミギボウシ 箱根湿生花園 2023/07/02

小花の基部に付く苞がオオバギボウシとは違ってむしろ小型種コバギボウシ(小葉擬宝珠)に似て、厚めで、扁平ではなく舟形をしており、開出しないでぴんと斜上し、白ではなく緑色を強く帯びる傾向がある。なおコバギボウシであれば葉はやや小型でやや細めな箆(へら)形である。苞が閉じ気味であることから、蕾は野菜のアスパラガスの先っちょのようなすぼんだ姿をしている。

キヨスミギボウシの苞 箱根湿生花園 2023/07/02

#キヨスミギボウシの苞 箱根湿生花園 2023/07/02

箱根湿生花園に、苞がキヨスミギボウシのように舟形で立ってはいるが、オオバギボウシのようにやや薄くて白っぽいものがある。両者の交雑か。

ホスタ(キヨスミギボウシとオオバギボウシの交雑か) 箱根湿生花園 2023/07/12

#ホスタ(キヨスミギボウシとオオバギボウシの交雑か) 箱根湿生花園 2023/07/12


#箱根湿生花園(⑧湿生林区、紫濃いめ、名札なし)

参考資料

『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)

『日本の固有植物』 加藤雅啓・海老原淳編 東海大学出版会発行(2011)

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