土蛙 両生類/無尾目/アカガエル科/アカガエル属 産卵期/5月?~9月?
ツチガエル=学名/Glandirana rugosa (Temminck et Schlegel, 1838)
在来種稀少保護
神奈川県レッドリスト2006「要注意種」
ツチガエル(ムカシツチガエル) 逗子市・森戸川源流 2024/09/25
水辺に生息する、じつは新種かもしれないカエル。大きさはアマガエル(雨蛙)と大差なし。神奈川県内では、田んぼ、湿地、河川の日当たりのあまり良くない源流域で見たことがある。水際にいることが多く、人が近付くとすぐにちゃぽんと水に飛び込む性質がある。全身が泥色で、斑紋は不明瞭。気持ちの悪いぶつぶつした疣(いぼ)が多くあり、俗にイボガエル(疣蛙)といったらおよそ本種を指している。昭和時代(-1989)には、毒があり疣が移るから触ってはいけない、という風評が子供たちの間で流されてきた。実際は無毒で、触っても無害とのこと。悪臭を分泌するらしいが。姿はヌマガエル(沼蛙)に似るも、本種の方が体型がより丸っこい、上から見て目と目の間にV字模様がない、腹が白くない、といった違いあり。喉にある鳴嚢(めいのう、鳴き袋)を膨らませて鳴く。昔は近所の水田などでもふつうに見かけたどうということのないありふれたカエルだったが、農薬でゲンゴロウ(竜蝨)が姿を消したのとおよそ時代を同じくして本種もめっきり見かけなくなってしまったように思われる。
ツチガエル(ムカシツチガエル) 逗子市・森戸川源流 2024/09/25
ツチガエル(ムカシツチガエル) 逗子市・森戸川源流 2024/09/25
令和4年(2022)愛知教育大学などの研究チームが、神奈川県以北の太平洋側に生息しているツチガエルはツチガエルとはゲノム配列が大きく異なることを明らかにし、新種として発表。ツチガエルが誕生する以前の大昔から既に日本に生息していた種としてムカシツチガエル(昔土蛙、学名/Glandirana reliquia)と命名された。つまり、神奈川県内のツチガエルはツチガエルではなくムカシツチガエルだった、ということになる。但し両者の見た目にほとんど違いなく、外観で易々と識別できるものではないという絶望的な難点あり。日本固有種。
ツチガエル(ムカシツチガエル) 逗子市・森戸川源流 2024/09/25
卵は水中(止水である必要はない)に産み付けられる。ツチガエルのオタマジャクシは、その一部はカエルにならずにオタマジャクシのまま越冬するという(大型化する)。オタマジャクシの腹部を下側から見て、全体的にまんべんなく白い斑紋(はんもん)あらばツチガエル、中心部に斑紋なくばムカシツチガエル、らしい。もしかしたら形態的に見分けられる唯一の手掛かりか。
逗子市桜山・森戸川源流(多い)、鎌倉中央公園
秦野市・生き物の里(指定第1号柳川、多い)
参考資料
研究成果プレスリリース「新種・ムカシツチガエルを発見」 愛知教育大学(2022)