オオバギボウシ

大葉擬宝珠 クサスギカズラ目/クサスギカズラ科/ギボウシ属 花期/6月下旬~8月初旬 結実期/10月~11月
学名/Hosta sieboldiana (Lodd.) Engl.

危険食用自生種改良種稀少保護

オオバギボウシ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/06/29

#オオバギボウシ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/06/29

林内の、ヤブカ(藪蚊)の巣窟となっているような、直射日光が当たらない薄暗いやや湿った草地に生える大型な多年草。単にギボウシといったらギボウシ属に分類される(主に人為的に作出された園芸)植物の総称。ホスタ(Hosta)といっても同じ。本種はその原種の一つで、野生のものである。葉が大きく、株が巨大化する。原種のギボウシとしては最大種らしい。ギボウシは蕾が擬宝珠(ぎぼうしゅ、ぎぼし)のような形状をしていることから名付けられた。日本固有種。『神奈川県植物誌2018』曰く’県内では全域にもっとも普通’とか。確かに県内に限らず広く分布があり普通種かもしれないが、そこいらの森に入ればちょくちょく生えているかといったらまったくそうではなく、湘南・鎌倉・三浦半島では滅多にお目にかかれるものではない。むしろ希少種。不遇な場所に生えているため落ち葉などのゴミが葉の上に堆積し鳥の白い糞が落とされ、残念ながら見苦しいものが多い。公園や鎌倉の寺境内でよく栽培されているオオバギボウシらしき巨大ホスタが本当にオオバギボウシなのかはたまたどこぞで買ってきて植えた正体不明のものなのかは最早判断が付かない。※本頁では原種オオバギボウシのみを扱い、オオバギボウシ系も含めた園芸品種(と思われるもの)はギボウシ(ホスタ)として別頁を設けて掲載する。栽培は平易。直射日光が当たらない明るい日陰に植えて水切れさせないこと。真夏でもじゃぶじゃぶ水をかけてしまって問題なし。根腐れしない。強い直射日光は嫌いで葉焼けを起こしたり生育不順に陥るが、性質強靭なので多少の炎天下は耐える。

オオバギボウシ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/06/29

#オオバギボウシ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/06/29

オオバギボウシ(花期最終日) 横浜市緑区・四季の森公園 2020/08/01

オオバギボウシ(花期最終日) 横浜市緑区・四季の森公園 2020/08/01

生え出て間もない若葉は山菜の一種で、ウルイと呼ばれて食用に。しゃきしゃきした食感が楽しく、くさみや苦みはないので子供でも食べやすいだろう。汁物なんかに入れてもよいが、マヨネーズでもかけてサラダとして生食するのがお薦め。但し、有毒なバイケイソウ(梅蕙草)などとたいへん紛らわしいので、山野での採取は(植生保護の観点からも)しないように。春に栽培ものがスーパーマーケットの野菜売り場に並ぶ。

市販のウルイ 山形県・JA新庄もがみ 2018/03/19

市販の#ウルイ 山形県・JA新庄もがみ 2018/03/19

オオバギボウシの葉 藤沢市・新林公園 2018/05/18

オオバギボウシの葉 藤沢市・新林公園 2018/05/18

オオバギボウシの葉 厚木市・荻野運動公園野草園 2019/06/04

#オオバギボウシの葉 厚木市・荻野運動公園野草園 2019/06/04

オオバギボウシの葉 厚木市・荻野運動公園野草園 2019/06/04

#オオバギボウシの葉 厚木市・荻野運動公園野草園 2019/06/04

オオバギボウシの葉 厚木市・荻野運動公園野草園 2019/06/04

#オオバギボウシの葉 厚木市・荻野運動公園野草園 2019/06/04

オオバギボウシの葉 厚木市・荻野運動公園野草園 2019/06/04

#オオバギボウシの葉 厚木市・荻野運動公園野草園 2019/06/04

オオバギボウシの実生 茅ヶ崎市浜之郷 2021/06/11

#オオバギボウシの実生 茅ヶ崎市浜之郷 2021/06/11

オオバギボウシの葉 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/23

#オオバギボウシの葉 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/23

オオバギボウシの葉 茅ヶ崎市浜之郷 2024/07/06

#オオバギボウシの葉 茅ヶ崎市浜之郷 2024/07/06

オオバギボウシの冬になって枯れた葉 逗子市/葉山町・三浦アルプス 2018/12/21

オオバギボウシの冬になって枯れた葉 逗子市/葉山町・三浦アルプス 2018/12/21

神奈川県内の野山に生える近似種に、明らかに小型なコバギボウシ(小葉擬宝珠)、主に湿った岩場に生えて秋咲きのイワギボウシ(岩擬宝珠)、オオバギボウシと姿が紛らわしいキヨスミギボウシ(清澄擬宝珠)、がある。

オオバギボウシの花

開花前の蕾は、苞(ほう、小花に付随する葉)が開出する特徴があり、上から見ると(幾重にも重なった)星形あるいはバラ(薔薇)の花のように感じられるだろう。花色は白または薄紫。見頃はコバギボウシよりも早くて、7月上旬から中旬の早めにかけて。小花は一日花とされているが、確かに張りのあるきれいな状態はほぼ一日限りであるも、咲き終わったのだか咲き終わりかけつつもまだ咲いているのかなんとも言い難い状態は少し続くため、厳密に一日限りで咲き終わってぽろりと花殻が落ちるというわけではない。一株から複数本の花茎(かけい)を伸ばし、一本の花茎に付く花数は多いので、十日余りに渡って咲き続けてくれるのではないか。花茎の下部側から咲き進んで行って、花茎先端のが咲いたら終わり。

オオバギボウシの若い蕾 横浜市南区・横浜市こども植物園 2024/05/30

#オオバギボウシの若い蕾 横浜市南区・横浜市こども植物園 2024/05/30

オオバギボウシの茎頂部の蕾 茅ヶ崎市浜之郷 2024/06/29

#オオバギボウシの茎頂部の蕾 茅ヶ崎市浜之郷 2024/06/29

オオバギボウシ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/06/29

#オオバギボウシ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/06/29

オオバギボウシ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/07/03

#オオバギボウシ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/07/03

オオバギボウシ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/06/29

#オオバギボウシ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/06/29

オオバギボウシ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/07/03

#オオバギボウシ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/07/03

オオバギボウシ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/07/03

#オオバギボウシ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/07/03

オオバギボウシ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/07/03

#オオバギボウシ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/07/03

オオバギボウシ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/07/03

#オオバギボウシ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/07/03

オオバギボウシ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/07/03

#オオバギボウシ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/07/03

花茎はひょろっと背高に伸びるせいで自重あるいは強風で傾き倒れ、そこから茎頂部だけ起き上がろうとするため、花茎はぐにゃっとひん曲がって荒れた姿になってしまう。更に花茎にはヤマノイモ(山の芋)オニドコロ(鬼野老)といった蔓植物が絡まり付いてしまっているものだから、野山で見かけるオオバギボウシの花は見苦しいものが少なくない。きれいに直立してさえいれば風格は随一なのであるが。

オオバギボウシ 横浜市緑区・四季の森公園 2021/07/10

オオバギボウシ 横浜市緑区・四季の森公園 2021/07/10

オオバギボウシ(開花最終日) 横浜市緑区・四季の森公園 2020/08/01

オオバギボウシ(開花最終日) 横浜市緑区・四季の森公園 2020/08/01

オオバギボウシ(開花最終日) 横浜市緑区・四季の森公園 2020/08/01

オオバギボウシ(開花最終日) 横浜市緑区・四季の森公園 2020/08/01

オオバギボウシ(花期最終日) 横浜市緑区・四季の森公園 2020/08/01

オオバギボウシ(花期最終日) 横浜市緑区・四季の森公園 2020/08/01

オオバギボウシ(開花最終日) 横浜市緑区・四季の森公園 2020/08/01

オオバギボウシ(開花最終日) 横浜市緑区・四季の森公園 2020/08/01

実生株(みしょうかぶ)は早くて二年で、まだコバギボウシくらいの大きさにしか成長していないうちから開花に至る。

若い(実生二年目)オオバギボウシのこざっぱりした花序 茅ヶ崎市浜之郷 2022/07/09

若い(実生二年目)#オオバギボウシのこざっぱりした花序 茅ヶ崎市浜之郷 2022/07/09

小花の直下に付く苞は、花時に、緑色が脱色して白っぽく、花茎に対して直角に開き、(特に咲き終わる頃から顕著に)縁(ふち)が外側に開き気味になる。もし苞が、緑色で、直角といえるほどは開かず、縁が内側に強く閉じた舟形である、といったものあらばキヨスミギボウシである疑い。キヨスミギボウシは神奈川県内では箱根町の一地点で発見例があるのみだが。

オオバギボウシの苞(白色矢印) 茅ヶ崎市浜之郷 2024/06/29

#オオバギボウシの苞(白色矢印) 茅ヶ崎市浜之郷 2024/06/29

オオバギボウシの苞 茅ヶ崎市浜之郷 2024/06/29

#オオバギボウシの苞 茅ヶ崎市浜之郷 2024/06/29

オオバギボウシの苞 茅ヶ崎市浜之郷 2024/06/29

#オオバギボウシの苞 茅ヶ崎市浜之郷 2024/06/29

オオバギボウシの実

オオバギボウシの未熟な実 横浜市緑区・四季の森公園 2022/09/30

オオバギボウシの未熟な実 横浜市緑区・四季の森公園 2022/09/30

オオバギボウシの完熟して裂開した実 横浜市緑区・四季の森公園 2020/11/01

オオバギボウシの完熟して裂開した実 横浜市緑区・四季の森公園 2020/11/01

オオバギボウシの完熟して裂開した実 横浜市緑区・四季の森公園 2020/11/01

オオバギボウシの完熟して裂開した実 横浜市緑区・四季の森公園 2020/11/01


横浜市南区・#横浜市こども植物園(野草園)、横浜市緑区・四季の森公園(里山花壇、里山林内=遊具広場への分岐まで、7月中旬、しょうぶ園南方にコバギボウシも)

森戸川源流、藤沢市・新林公園(散策路に1株、咲かない)、#花菜ガーデン(双子山の山道沿い)

厚木市・#荻野運動公園野草園(コバギボウシも)、#箱根湿生花園(6月下旬~7月、コバギボウシも)

参考資料

『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)

『日本の固有植物』 加藤雅啓・海老原淳編 東海大学出版会発行(2011)

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