ヤマノイモ

山の芋 ヤマノイモ目/ヤマノイモ科/ヤマノイモ属 花期/8月中旬~9月 結実期/9月~11月 むかごの旬/9月中旬~11月上旬 黄葉/10月中旬~11月 自然薯の旬/12月

食用自生種

ヤマノイモの雄花 逗子市・池子の森自然公園 2017/08/27

ヤマノイモの雄花 逗子市・池子の森自然公園 2017/08/27

日当たりのよい林縁部などに生える蔓性の多年草で、雌雄異株(しゆういしゅ)。一般的にはヤマイモ(山芋)と呼ばれるが、植物の名前としてはヤマノイモが正しい。神奈川県内では丘陵地の林縁などでよく見かける普通種。

ヤマノイモの葉 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/08/26

ヤマノイモの葉 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/08/26

葉は一部対生、一部互生。心形(ハート形)の葉は他にも多く見られるので見分けは容易でない。ヤマノイモの葉は細身なものが多く、さほどくびれない。ヤマノイモ同様に細身の心形でつよくくびれる栽培種のナガイモ(長芋)、幅広で丸っこい心形の葉がほとんどのオニドコロ(鬼野老)、オニドコロの葉によく似るニガカシュウ(苦何首烏)が特に紛らわしい。

ヤマノイモの葉 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/08/26

ヤマノイモの葉 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/08/26

ヤマノイモの葉は、ナガイモの葉のようにくびれが強めに入るものがあったり、オニドコロのようにふっくらとした丸みが強いものがあったりと、花も実もむかごもない状態だと判別が難しい。ナガイモほどくびれが強烈に入らない、オニドコロにしては細い葉が混じるあるいは多い、といった点から当たりをつけられるか。とりわけヤマノイモとオニドコロは判断に迷う葉が多々ある。

ヤマノイモの葉に丸い穴?!

ヤマノイモの葉に、チーズに開いているような丸い穴ができていることがある。


ヤマノイモの葉の穴 逗子市・池子の森自然公園 2017/10/09

ヤマノイモの葉の穴 逗子市・池子の森自然公園 2017/10/09


これはハキリバチ(葉切蜂)の仲間が葉を裁断して巣材として持ち帰った痕。

葉と種子はヤマノイモに似て花はオニドコロに似るヒメドコロ(姫鬼野老)が、湘南・鎌倉・三浦半島では主に三浦半島周辺にあるので注意したい。

ヤマノイモの花

一対以上の花序を上向きに立ち上がらせ白色の小さな玉を付けているのが雄花。玉状のものが小花で、ぱっとは開かず、開きかけの蕾のような姿ながらこれで全力で咲いている状態。

ヤマノイモの雄花 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2018/08/02

ヤマノイモの雄花 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2018/08/02

ヤマノイモの雄花 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2018/08/02

ヤマノイモの雄花 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2018/08/02

ヤマノイモの雄花 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2018/08/02

ヤマノイモの雄花 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2018/08/02

花序が下向きに垂れ、小花も下向きに付いているものが雌花。

ヤマノイモの雌花 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/08/26

ヤマノイモの雌花 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/08/26

ヤマノイモの雌花 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/08/26

ヤマノイモの雌花 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/08/26

ヤマノイモの雌花 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/08/26

ヤマノイモの雌花 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/08/26

ヤマノイモの雌花と実の特徴 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/08/26

ヤマノイモの雌花と実の特徴 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/08/26

ヤマノイモの実

ヤマノイモの蒴果(さくか)は翼(よく)が円形で、(雌花の特徴をそのまま継承し)下を向く。楕円形で上向きに付いていたらオニドコロの実。

ヤマノイモの若い実 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/08/26

ヤマノイモの若い実 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/08/26

ヤマノイモの若い実 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/08/26

ヤマノイモの若い実 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/08/26

ヤマノイモの未熟な実 茅ケ崎里山公園 2017/10/05

ヤマノイモの未熟な実 茅ケ崎里山公園 2017/10/05

ヤマノイモの熟しかけた実 横浜市戸塚区・舞岡ふるさとの森散策路 2018/10/18

ヤマノイモの熟しかけた実 横浜市戸塚区・舞岡ふるさとの森散策路 2018/10/18

茶色く枯れたら完熟。意外にも中に種子が収まっていない不稔の実を多く見かける。

ヤマノイモの完熟した実 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/11/02

ヤマノイモの完熟した実 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/11/02

変な形なのは実だけではない。薄っぺらい翼の部分に収まっていた種子もまた薄っぺらく、種子には超極薄の翼が付く、という一風変わった姿をしている。完熟した実がぱりっぱりに乾燥して口を開けるとこの種子がこぼれ落ち、たちまち風に吹っ飛ばされるという仕組み。魂胆はウバユリ(姥百合)とよく似ている。

ヤマノイモの完熟して口を開けた実 横浜市金沢区・金沢自然公園 2018/11/15

ヤマノイモの完熟して口を開けた実 横浜市金沢区・金沢自然公園 2018/11/15

ヤマノイモの完熟した実と種子 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/11/08

ヤマノイモの完熟した実と種子 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/11/08

ヤマノイモのむかご

ヤマノイモは種子のみならず、地上部に小さなイモ(芋)である”むかご(ぬかご、零余子)”を作る。タネは風に乗り遠くへ、むかごは足元に落ちそこで発芽する。
むかごは食用になる。白米と一緒に炊き込んで”むかご飯(むかごご飯)”にするか、塩で軽く炒めるとつまみに美味である。茹でてもよい。10月下旬になればふっくら膨らんだ大きめのむかごが手に入れられるだろう。

ヤマノイモのむかご 新林公園 2016/10/16

ヤマノイモのむかご 新林公園 2016/10/16

ヤマノイモのむかご 茅ケ崎里山公園 2017/10/05

ヤマノイモのむかご 茅ケ崎里山公園 2017/10/05

ヤマノイモのむかご 茅ケ崎里山公園 2016/10/25

ヤマノイモのむかご 茅ケ崎里山公園 2016/10/25

ヤマノイモのむかご 神奈川県自然環境保全センター箱根出張所 2016/11/04

ヤマノイモのむかご 神奈川県自然環境保全センター箱根出張所 2016/11/04

むかごの種類

ヤマノイモ(山の芋)、ナガイモ(長芋)、ニガカシュウ(苦何首烏)が似たようなむかごを作る。このうち、ヤマノイモとナガイモのむかごが食用になる。なお葉がよく似たオニドコロ(鬼野老)はむかごを作らない。

むかごの採集は、大きなもののみを採り小さいものは残しておく、すべて採りつくさずいくつかは残す、あるいは周囲へ播(ま)いてやるといった配慮を。


ヤマノイモのむかご

食用

ヤマノイモのむかご 藤沢市・新林公園 2016/10/16

ヤマノイモのむかご 藤沢市・新林公園 2016/10/16

葉は対生とされるが互生で生えている部分も多いのであまり参考にできない。細い葉が多いが丸っこい葉もあり、くびれは強烈には入らない。普通種でよく見かける。神奈川県内の湘南・鎌倉・三浦半島の林縁部で見かけるむかごはほぼすべてがこのヤマノイモのむかごと考えて差し障りない。


ナガイモのむかご

食用

ナガイモのむかご 茅ヶ崎市浜之郷 2018/07/13

ナガイモのむかご 茅ヶ崎市浜之郷 2018/07/13

葉は細長い心形、中程で強めにくびれ(窪み)が入る。茎や葉柄(ようへい)が赤紫色を帯びることがある。栽培ものが野生化しているというが、湘南・鎌倉・三浦半島ではほとんど見ない。市民農園に多い。


ニガカシュウのむかご

有毒

ニガカシュウのむかご 平塚市・馬入水辺の楽校 2017/09/26

ニガカシュウのむかご 平塚市・馬入水辺の楽校 2017/09/26

葉はオニドコロに形状がよく似ていてふっくら丸っこい。むかごは明らかにごつごつしており、金平糖や”モヤッとボール”を思わせる。やや苦みがあり旨みを欠き、皮が硬めなので、こんなものをわざわざ食べる必要はない。苦くてまずいので食べられないといわれるが、そこまで強い悪味はない。見るのは極めて稀。

ヤマノイモのむかご 2016/10/30

ヤマノイモのむかご 2016/10/30

ヤマノイモの特大むかご 2016/10/30

ヤマノイモの特大むかご 2016/10/30

ヤマノイモのむかごは小さな自然薯(じねんじょ)のようなものなので生でも食べられる。自然薯に比べて苦みある皮の比率が高くなるので、生では決しておいしいものではないけれど。

ヤマノイモの自然薯

ヤマノイモのイモ(芋)は根ではなく、地下茎が異常に膨らんだもの。自然薯と呼ばれ、食用にされる。薯(藷)は芋のこと。自然薯とはその辺の野山で採れる芋の意。店頭では一般にはヤマイモなどと呼ばれて販売されているが、ヤマイモといった場合は安価なナガイモなどであることも多いので注意が必要。いずれも摩り下ろせばトロロ(薯蕷)になるため、トロロイモ(薯蕷芋)とも呼ばれる。生食可。ただしトロロに含まれるシュウ酸カルシウムという物質が原因で、体質により、手や唇周りなど皮膚に触れるとアレルギー反応のような痒(かゆ)みを発症する場合があるので注意。

ヤマイモの種類

それっぽい類似のイモ(芋)は全部ヤマイモ(山芋)の名で販売されていることがある。基本的には、ヤマノイモ(山の芋)、ナガイモ(長芋)、イチョウイモ(銀杏芋)の三種。少々マイナーながら、ツクネイモ(捏ね芋、仏掌薯)などもヤマイモと呼ばれることがある。いずれも食用。販売名に騙されることなく、芋の形状や説明書きをよく読んで、目的のものをちゃんと選べるようにしたい。


ヤマノイモの芋

葉は細長い心形で対生。野山に多く自生する。年寄りが「昔は山でヤマイモを掘ったものだ」といったらヤマノイモの芋のこと。ふつう自然薯(じねんじょ)といったら本種の芋を指す。細く、長く、ひょろひょろ、くねくね、形はすこぶる悪い。粘りは強い。皮ごと食べられる。トロロにすると黒っぽく変色する。野生のものは特に高級品で、1kg5,000円するものも。栽培ものでもゴボウ(牛蒡)のちょっと太ったの程度の大きさで1,000円くらいと、やっぱり高い。なお一般的なスーパーマーケットではあまり見かけないかもしれない。高価だが、旨い。


ナガイモの芋

葉は細長い心形で対生。葉柄(ようへい)は紫色を帯びる。畑から逃げ出したものが帰化していることがある。芋は、ヤマノイモよりは太く、一直線。特に栽培のものはパイプに閉じ込めて育てるため完全にまっすぐに育ち、見た目は良い。粘りは弱い。きめが粗く、かなり水っぽい。薄切りにして食べるとさくさく。一般庶民がヤマイモとして普段買っているのはナガイモだろう。安価だが、風味はかなり落ちる。


イチョウイモ

ナガイモの栽培品種という。山野では見ないはず。芋は、その名の通りイチョウの葉のような形状である。粘りはやや強めで、ヤマノイモとナガイモの中間品質。やや高価。ヤマトイモ(大和芋)とも呼ばれるが、ヤマトイモと呼ばれる芋は他にもあるのでこれまたややこしい。

ヤマトイモ

ヤマイモ掘り


垂直に深く1.5m程度は掘り進めなければいけないため、その名も「山芋掘り」という専用の農具があるとよい。重労働である。

神奈川県内、湘南・鎌倉・三浦半島で公然とヤマイモ掘りを楽しめる場所はない。戦後の頃は野山に勝手に分け入って自由に掘ったと古老はいうが、現在はタケノコ掘りと同様に泥棒扱いされるのがオチである。管理された公園では禁止され、勝手に山に分け入ればそこは実は私有地だということが多く、見つかれば警察に通報されてしまうことだろう。山の中で稀に盗掘跡を見る。

栽培ものの市販品は時価ではあるが、60cmくらい(というと大きそうに思われるかもしれないが、自然薯は細いものなのでたいした量はない)で700円を超える。庶民がおいそれと手を出せるものではないので一般的なスーパーマーケットでは売られていないかも。JAの直売所などで手に入る。

ヤマノイモの黄葉

蔓植物としては最もきれいに葉が黄色く染まる。

ヤマノイモの黄葉 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2018/11/15

ヤマノイモの黄葉 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2018/11/15

ヤマノイモの黄葉 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2018/11/15

ヤマノイモの黄葉 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2018/11/15

ヤマノイモの黄葉 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2018/11/15

ヤマノイモの黄葉 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2018/11/15


鎌倉中央公園、寒川町・青少年広場

相模原市(かながわブランド「さがみはらのやまといも」「さがみ長寿いも」=イチョウイモ)、伊勢原市(かながわブランド「自然薯大山」)

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