ツルドクダミ

蔓蕺草 ナデシコ目/タデ科/ソバカズラ属 花期/9月下旬~10月上旬 結実期/11月
学名/Fallopia multiflora (Thunb.) Haraldson

薬用駆除

生態系被害防止外来種リスト「総合対策外来種」

ツルドクダミ 鎌倉市扇ガ谷 2019/10/01

ツルドクダミ 鎌倉市扇ガ谷 2019/10/01

中国原産の、日当たり良い場所に生える蔓性の多年草で、雌雄同株(しゆうどうしゅ)。蔓性のドクダミ、というわけでも近似種でもなく、まったくの別種。葉がなんとなく似ているというだけ。むしろ身近なところではイタドリ(虎杖)に近い仲間である。他の雑草も生えてくるような(日当たりが良くて乾燥していない)環境であれば良く、市街地の片隅でもぐんぐん伸びて旺盛に茂る。フェンスに絡む、電柱にまとわりついて登る、他の雑草を覆う、など、地面を這わずに上に上に登る。生命力は豊かで、ふつう群生する。力任せに引っこ抜いたせいで根っこなどほとんどなくなってしまった茎を地面に突き刺して水やりしてみたら枯れることなく再生した、ほど、たくましい。悪い意味で帰化雑草の鑑(かがみ)である。湘南・鎌倉・三浦半島で、どこにでも生えているわけではないがちょこちょこ見つけられる普通種。水分をよく吸う(プランター栽培するとすぐに水が切れて、葉がしんなりよれよれうなだれ気味になる)ことと関係しているのか、特に土が湿りがちな(鎌倉を含む)三浦半島に多いような気がしている。

ツルドクダミ(右側、全部ではない) 二宮町・梅沢海岸 2022/09/26

ツルドクダミ(右側、全部ではない) 二宮町・梅沢海岸 2022/09/26

サンゴジュに絡みついたツルドクダミ 鎌倉市・第二中学校テニスコート 2019/08/11

サンゴジュに絡みついたツルドクダミ 鎌倉市・第二中学校テニスコート 2019/08/11

ササ藪を覆うように生えたツルドクダミ、背景建物は北鎌倉女子学園 鎌倉市山ノ内・八雲神社 2019/10/01

ササ藪を覆うように生えたツルドクダミ、背景建物は北鎌倉女子学園 鎌倉市山ノ内・八雲神社 2019/10/01

フェンスに絡みついたツルドクダミ 鎌倉市・第二中学校テニスコート 2019/10/03

フェンスに絡みついたツルドクダミ 鎌倉市・第二中学校テニスコート 2019/10/03

フェンスに絡みついたツルドクダミ 鎌倉市・第二中学校テニスコート 2019/10/03

フェンスに絡みついたツルドクダミ 鎌倉市・第二中学校テニスコート 2019/10/03

ツルドクダミの群生、奥は東慶寺 鎌倉市・円覚寺白雲庵前 2019/10/01

ツルドクダミの群生、奥は東慶寺 鎌倉市・円覚寺白雲庵前 2019/10/01

葉は互生(若いうちは対生ではないのだが対生であるかのように見える偽対生)で、やや細長めの心形。ぱっと見はドクダミというよりヤマノイモ(山の芋)に似ていると感じる人の方が多いのではないか。ただ、ヤマノイモの葉にしてはなんだか質感がおかしい、春キャベツの一番外側の葉のようなしんなり柔らかそうな感じがする、という違和感があったらツルドクダミの葉。せり出した肩の部分が軽く尖るものがあるのも大きな特徴。葉脈は基本白色で、その点ではガガイモ(鏡芋)(ただし葉は対生)に似る。対生だったら念のためコイケマ(小生馬)あたりの可能性も疑いたい。茎が赤紫色を帯びる株では葉脈(特に主脈)も同様の色に染まりがち。主に花が咲かなかった株でか、常緑で越冬するものがいる。

ツルドクダミの葉 大和市・泉の森 2019/07/08

ツルドクダミの葉 大和市・泉の森 2019/07/08

ツルドクダミの葉 鎌倉市山ノ内・八雲神社 2019/09/19

ツルドクダミの葉 鎌倉市山ノ内・八雲神社 2019/09/19

ツルドクダミの葉 鎌倉市山ノ内・八雲神社 2019/09/19

ツルドクダミの葉 鎌倉市山ノ内・八雲神社 2019/09/19

ツルドクダミとドクダミの葉の比較 鎌倉市山ノ内・八雲神社 2019/09/19

ツルドクダミとドクダミの葉の比較 鎌倉市山ノ内・八雲神社 2019/09/19

ドクダミとツルドクダミの葉の混生 鎌倉市扇ガ谷 2019/10/01

ドクダミとツルドクダミの葉の混生 鎌倉市扇ガ谷 2019/10/01

茎は無毛でつるっとしたもの。短毛(のように見える細かな突起)が多数あったら同属の帰化雑草ソバカズラ(蕎麦葛)の疑い。花期・花・実は異なるも、葉しかないと混同しうる。神奈川県内で見かけることはまずないはずであるも一応覚えておきたい。

ツルドクダミの茎 大和市・泉の森 2019/07/08

ツルドクダミの茎 大和市・泉の森 2019/07/08

根の一部がイモ(芋)状に膨らんだ塊根(かいこん)となり、これが生薬(しょうやく、漢方薬)に利用され何首烏(かしゅう)と呼ばれる。輪切りにして乾燥させたものを使用する。そのため、昔や薬草として栽培されていたらしい。野良で見られるのはその名残りの放置逸出もの。

ツルドクダミの一年物の塊茎(何首烏) 茅ヶ崎市浜之郷 2020/12/18

#ツルドクダミの一年物の塊茎(何首烏) 茅ヶ崎市浜之郷 2020/12/18

ツルドクダミの一年物の塊茎(何首烏) 茅ヶ崎市浜之郷 2020/12/18

#ツルドクダミの一年物の塊茎(何首烏) 茅ヶ崎市浜之郷 2020/12/18

ツルドクダミの一年物の塊茎(何首烏) 茅ヶ崎市浜之郷 2020/12/18

#ツルドクダミの一年物の塊茎(何首烏) 茅ヶ崎市浜之郷 2020/12/18

ツルドクダミの花

ヒガンバナ(彼岸花)がピークを過ぎてから咲き始める。花の雰囲気はイタドリに似る。イタドリは雌雄異株(しゆういしゅ)。ツルドクダミは雌雄同株で、両性花を咲かせるという資料と、単性花で雄花と雌花が同じ株に混在するとしている資料があって、真相は不明。実際の花をルーペで覗いてみた限りでは、雄蕊八本と三裂(ときに四裂)する柱頭(ちゅうとう)を持つ雌蕊が一つある両性花らしきもの一種類だけが確認できたので、両性花ではないか。雄蕊の本数が少なく子房がやや大きめに見える小花は、咲いてから時間がたって葯(やく)が落ち実ができかけているものと思われる。花がたくさん咲く割に実が少ないことに引っ張られて雄花と雌花があると考えられたのかもしれないが、ナンテン(南天)あたりも花と実の数は合致しない。植物の雌雄は単純明快にこうだと言い切れるものではないので、もしかしたら単性(雌雄同株の雌雄異花)の株もあるのかもしれない。花序はぴーんと上向きになる傾向。ごくごくわずかに甘いような薬っぽいような芳香あり。

ツルドクダミの蕾 鎌倉市山ノ内・八雲神社 2019/10/01

ツルドクダミの蕾 鎌倉市山ノ内・八雲神社 2019/10/01

ツルドクダミの群生 鎌倉市・円覚寺白雲庵前 2019/10/01

ツルドクダミの群生 鎌倉市・円覚寺白雲庵前 2019/10/01

ツルドクダミ 鎌倉市扇ガ谷 2019/10/01

ツルドクダミ 鎌倉市扇ガ谷 2019/10/01

ツルドクダミ 鎌倉市・第二中学校テニスコート 2019/10/03

ツルドクダミ(ややしんなりしているのは茎が切断されたため) 鎌倉市・第二中学校テニスコート 2019/10/03

ツルドクダミ 鎌倉市扇ガ谷 2019/10/01

ツルドクダミ 鎌倉市扇ガ谷 2019/10/01

ツルドクダミ 鎌倉市扇ガ谷 2019/10/01

ツルドクダミ 鎌倉市扇ガ谷 2019/10/01

ツルドクダミの実

イタドリと似たような形の実ができる。

ツルドクダミの若い実 二宮町・梅沢海岸 2022/11/08

ツルドクダミの若い実 二宮町・梅沢海岸 2022/11/08

ツルドクダミの若い実 二宮町・梅沢海岸 2022/11/08

ツルドクダミの若い実 二宮町・梅沢海岸 2022/11/08

ツルドクダミの若い実 二宮町・梅沢海岸 2022/11/08

ツルドクダミの若い実 二宮町・梅沢海岸 2022/11/08

ツルドクダミの若い実 二宮町・梅沢海岸 2022/11/08

ツルドクダミの若い実 二宮町・梅沢海岸 2022/11/08


京急本線・安針塚駅(ガード南西の斜面に)、鎌倉市・第二中学校テニスコート、JR横須賀線・扇ケ谷ガード周辺、円覚寺白雲庵(前通路南側、近寄れない)、鎌倉市山ノ内・八雲神社(参道石段~鳥居間の南面)、二宮町・梅沢海岸(湘南二宮霊苑側)

宅間ガ谷(奥の山道にも)、鎌倉市大町・八雲神社(祇園山ハイキングコースに登る山道沿いに僅少)、円覚寺雲頂庵(参道石段沿いに僅少)

大和市・泉の森

関連記事 – 仲間・似ている・紛らわしい

イタドリ

ヤマノイモ

ニガカシュウ

ドクダミ

ガガイモ

『ツルドクダミ』へのコメント

  1. 川合 智 投稿日:2023/06/10(土) 15:51:44 ID:4c7f54f8f 返信

    丁寧な解説で大変参考になりました。ところで、ツルドクダミは種実からの育成(実生)は可能でしょうか?播種するとしたら何時頃が良いのでしょうか?また、その際の注意点はどのようなものでしょうか?

    • mirusiru.jp 投稿日:2023/06/10(土) 22:03:46 ID:40f75d5d6 返信

      川合智さん、こんばんは。
      結論を先に申してしまえば、存じません。播種を試みたことはありませんし、実生苗と確信できるものを見た記憶もありません。藪の中に生えていること多いですしね。
      以下推測。これだけ方々に生えているということはタネから生え出る(不稔でない)と考えるのが自然のような気がします。ただ、実の付きがあまりよろしくなく、そのため発芽能力を有しているだろう立派なタネを見かける機会があまりないような気がします(気がしているだけで、たいして調査はしていません)。タネが採れそうな株は予め何ヶ所も確保しておいた方がよろしいかもしれません。いつ熟しているかも明確には把握しておりません。農作物ではないので、播種の時期は採取したらすぐでよろしいのでは。水は結構飲むと思いますが、べちゃつく土壌は嫌いなような気がしています。水はけ良い土を用いて、からっからには乾かさないようにするとよろしいかもしれません。野良でたくさん生えているものですから、適当に地面に播いて(できるだけ数を播いて)放ったらかしでよろしいのでは。雑草ですから。タネは好光性なのか嫌光性なのかわかりませんから、土に埋めるのと地表に置くのと両方やってみてください。土をかぶせないと鳥に食われるかもしれませんけれども。