楓野老 ヤマノイモ目/ヤマノイモ科/ヤマノイモ属 花期/8月下旬~9月 結実期/10月下旬~1月
学名/Dioscorea quinquelobata Thunb.
有毒稀少
カエデドコロの雌花 平塚市中堂 2018/09/09
林縁部などに生える多年草で、雌雄異株(しゆういしゅ)。オニドコロ(鬼野老)の近縁種で、掌状(しょうじょう)に切れ込んだ葉の形状が印象的。イモ(芋)やムカゴは作らないらしい。湘南・鎌倉・三浦半島でも稀に見かけることがあるが、自生地は中部地方以西といい、西日本から土ごと持ってきた植木に種子が含まれていたのではないかと考えられている。どうりで、市街地のひょんな植え込みに生えていたりするわけだ。
カエデドコロの葉はふつう掌状で、側裂片(そくれっぺん)が鋭利に尖らず丸みを帯びている。形状は多少変異があり、ナガイモ(長芋)のようなほぼ心形(しんけい)でくびれるものも。切れ込みが多いというだけで、カエデ(楓)の葉に似ているという印象は受けない。側裂片が鋭利であればキクバドコロ(菊葉野老)。キクバドコロの方がカエデに似ているような気がしないでもない。
カエデドコロの若い葉 平塚市中堂 2018/09/09
カエデドコロの葉 平塚市中堂 2018/09/09
カエデドコロの葉 平塚市中堂 2018/09/09
カエデドコロの葉 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2018/08/02
カエデドコロの葉裏 平塚市中堂 2018/09/09
大きく成長した葉の柄(え)の基部には、一対の突起がみられることがある。
カエデドコロの葉柄基部にある一対の突起(白色矢印) 平塚市中堂 2018/09/11
カエデドコロの花
花弁は咲き始めだけ黄色っぽく、のちオレンジ色。
カエデドコロの雌花 平塚市中堂 2018/09/09
カエデドコロの雌花 平塚市中堂 2018/09/09
カエデドコロの雌花 平塚市中堂 2018/09/09
カエデドコロの実
オニドコロによく似る実ができる。雌花はすこし下向き気味だったが、実はオニドコロと同じく頭をくいっと持ち上げて上向きに付く。
カエデドコロの若い実 平塚市中堂 2018/10/06
カエデドコロの若い実 平塚市中堂 2018/10/06
カエデドコロの未熟な実 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2017/12/02
カエデドコロの未熟な実 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2017/12/02
実は刈れたように茶色くなって熟すはずだが、いつまでたっても緑色を維持したまま。
カエデドコロの葉は枯れてもまだ緑色を維持している実 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2017/12/21
カエデドコロの黄葉
オニドコロやヤマノイモ(山の芋)同様に黄葉する。
カエデドコロの黄葉 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2017/12/02
東京都文京区・#小石川植物園(分類標本園に雄株、8月末~9月初旬)、横浜市栄区・横浜自然観察の森
横浜市緑区・四季の森公園(北西口2~北西口3)、横浜市戸塚区・小雀公園
衣笠山公園、平塚市中堂、高麗山公園
参考資料
『改訂新版 日本の野生植物 1』 大橋広好・門田裕一・邑田仁・米倉浩司・木原浩編 平凡社発行(2015)
『神奈川県植物誌2001』 神奈川県植物誌調査会編集 神奈川県立生命の星・地球博物館発行(2001)