鬼野老 ヤマノイモ目/ヤマノイモ科/ヤマノイモ属 花期/7月~8月 結実期/9月~11月 黄葉/11月下旬~12月
学名/Dioscorea tokoro Makino ex Miyabe
有毒自生種
オニドコロの雄花 茅ヶ崎市菱沼海岸・湘南海岸砂防林 2018/07/02
林縁部などにたくさん生える蔓性の多年草で、雌雄異株(しゆういしゅ)。葉がヤマノイモ(山の芋)に似ていて紛らわしい。生育環境もオニドコロとヤマノイモは丸かぶり。なお希少種ながらニガカシュウ(苦何首烏)とは葉がもっとよく似ていて見分けが厄介。
#オニドコロの若葉 茅ヶ崎市浜之郷 2019/06/28
木に絡まって登ったオニドコロ 相模原市南区・相模原麻溝公園外 2020/12/08
オニドコロの葉は互生。ヤマノイモの葉に比べれば幅広で丸っこいのが特徴。ただしヤマノイモの細身な葉に似る葉がないわけではないので注意。
オニドコロの葉 藤沢市・新林公園 2016/10/16
オニドコロの葉 三浦市三崎町小網代 2017/08/29
ナガイモやカエデドコロのような形をしたオニドコロの葉 大磯町・高麗山公園 2021/06/18
まるでヤマノイモのような形状をしたオニドコロの葉 小田原市早川・石垣山一夜城歴史公園 2018/08/26
オニドコロの一風変わった葉 大磯町・高麗山公園 2020/11/18
蔓は他のなんちゃらドコロおよびニガカシュウも含めて、左巻き(支柱の手前部分で見て、右下から左上へ伸びてゆく)。ヤマノイモおよびナガイモは右巻きである。
オニドコロの蔓は左巻き 大磯町・高麗山公園 2021/06/18
オニドコロも(ヤマノイモほど立派なものではないが)土中に塊茎(かいけい)ができる。トコロ(野老)と呼ばれる芋は”なんちゃらドコロ”と呼ばれる植物が作る芋の総称であるが、主にオニドコロの芋を指す。有毒成分を含んでおり、苦くて食べられない。が、二時間茹で続けるなどして灰汁抜き(あく-)をし、青森県・岩手県の一部の高齢者は食することがあるらしい。埼玉県所沢市の名前の語源は、トコロがたくさん生えていた沢に由来する(諸説あり)。
エドドコロ
令和4年(2022)青森県東北町(-まち)の農家が栽培している「ところ」が「えどどころ」とみられることが判明。エドドコロは植物学の父・牧野富太郎が図鑑に(ヒメドコロ(姫鬼野老)と同一のものとして)掲載して以降、80年もの間記録が途絶えていた幻の芋である。オニドコロやヒメドコロとは芋の形状が異なり、苦みはあるものの味は良質という。DNA検査の結果、オニドコロとヒメドコロの雑種にオニドコロが更に交雑して生まれたものとわかった。
参考資料)
「東北町で特産の芋「野老」出荷 80年以上記録途絶えた幻の芋」 NHK 青森 NEWS WEB(2023年03月08日)
「忘れられた作物「えどどころ」の起原 ―ゲノム解析が明らかにする青森県三八上北地域に残る栽培イモの歴史―」 夏目俊・杉原優・工藤葵・及川香梨・清水元樹・石川裕⼦・西原昌宏・阿部陽・印南秀樹・寺内良平(2022)
『牧野 日本植物図鑑』 牧野富太郎著 北隆館発行(1940)
むかごは作らない。
オニドコロの花
小花は雌雄ともに六枚花弁全開のほぼ同形で、淡い黄緑色。
オニドコロの雄花と雌花 箱根自然学習歩道 2016/09/06
雌花の花序は下垂する。ただし小花は真横ないし上向きに立ち上がる。
オニドコロの雌花 三浦市三崎町小網代 2017/08/29
オニドコロの雌花 三浦市三崎町小網代 2017/08/29
オニドコロの雌花 三浦市三崎町小網代 2017/08/29
雄花の花序は上向きに立ち上がる。
オニドコロの雄花 三浦市三崎町小網代 2017/08/29
オニドコロの雄花 茅ヶ崎市菱沼海岸・湘南海岸砂防林 2018/07/02
花はオニドコロに似て葉や種子はヤマノイモに似るヒメドコロ(姫鬼野老)なるものが主に三浦半島にはあるので要注意。
オニドコロの実
果序は下向きにたらりと下垂する。個々の蒴果(さくか)は翼(よく)が楕円形で、くいっと上を向く。似たような感じの実ながらもっと丸っこい形で下向きに付いていたら、ヤマノイモの実だろう。
オニドコロの模範的な姿の実 東京都日野市・東光寺緑地 2019/08/07
オニドコロの若い実 箱根自然学習歩道 2016/09/06
オニドコロの未熟な実 横浜市戸塚区・舞岡公園 2018/10/18
オニドコロの未熟な実 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/11/02
オニドコロの熟しかけた実 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/11/02
熟してよく乾燥するとヤマノイモの実と同様にぱかっと口を開けて中に収めていた種子を散布する。種子には片一方にのみ伸びる楕円形の翼(よく)が付くのが特徴。翼は風で遠くまで吹き飛ばされるためのものながら、種子が重めなためさほどは役に立たず。
オニドコロの完熟して口を開けた実 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2018/11/15
オニドコロの熟した実と種子 横浜市栄区上郷町 2018/11/16
オニドコロの種子 横浜市栄区上郷町 2018/11/16
オニドコロの黄葉
オニドコロの黄葉 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/12/01
オニドコロの黄葉 小田原市早川・太閤一夜城と長興山史跡巡りコース 2018/12/01
オニドコロの黄葉 大磯町・高麗山公園 2017/12/14
「招かざる客」ですね。
かくいう我家でも、あちこちから出現します。
当地に居を構えるまでは「蔦」性の植物に縁が薄かったため、
呑気に観察していたことが仇となり、いくつかが根絶困難になっています。
どういうわけか、
「ヤマノイモ」と仲良く生えてきます。
問題は、
その根茎の成長の早さと逞しさですね。
発芽直後は「大豆」程度の根茎ですが、
翌年には「根生姜」の様になっており、
安直に抜根すると「何がしかの」部位が残り、再生してきます。
さらに放置すれば、
太く、深く成長し、ちょっとした欠片からでも蘇るので、根絶に骨が折れます。
(屋外作業困難な)クソ暑い夏場での成長力は目覚ましく、みるみると繁茂するので手を焼いています。
「ヤマノイモ」科は根茎の始末に、
ほとほと苦労したので、ヤマノイモも含めての全種を(根茎、発芽、種子、など)見つけ次第に処分しているが、
とりわけ「オニドコロ 」は、
わが家での「迷惑雑草」筆頭格のひとつです。
最近になって分かってきたが、
ヤマノイモ科も含め、植物が自然発生する原因は「ヒヨドリ」を有力視しています。
それらは決まって、ヒヨドリの止まる枝下から発生します。