銭葉葵 アオイ目/アオイ科/ゼニアオイ属 花期/4月中旬~9月?
学名/Malva neglecta Wallr.
外来種駆除
ゼニバアオイ 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/05/15
ユーラシア大陸原産という一年草(越年草)または短命な多年草。大型で、茎は倒れる。地面にべったり張り付いて匍匐(ほふく)するのではなく、立ち上がろう立ち上がろうという意思はありながらも力なく倒れるという、じつにだらしない中途半端な姿を晒す。もしかしたら誰かが茎を足で踏みつけて無理やりなぎ倒したのではないか、とさえ疑いたくなる、荒れ地感満載な生え方をする。草丈は人の膝(ひざ)程度。湘南・鎌倉・三浦半島では希少というほどではないとは思うが、そこかしこにあるものでなし。北米でコモン・マロウ(Common mallow、commonは”一般的な、普通の”の意、mallowはゼニアオイ(銭葵)の仲間を指す)と呼ばれる。葉や若い実は食用になるらしい。
秋に生え出たゼニバアオイ 茅ヶ崎市西久保 2020/12/12
道端の荒れ地に生えたゼニバアオイ 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/05/15
道端の荒れ地に生えたゼニバアオイ 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/05/15
茎上部は立ち上がるゼニバアオイ 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/05/15
這ったり立ち上がったり、だらしない姿のゼニバアオイ 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/05/15
アスファルト上にせり出してきたゼニバアオイ 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2018/05/22
葉は互生。掌状(しょうじょう)で、切れ込みは浅い。(若葉の裂片先端は尖るけれども)全体的に丸みが強い印象を受けるだろう。銭葉という名前は”葉が丸い”の意か。虫食いがひどく荒れに荒れている。
ゼニバアオイの丸みが強い葉 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/05/15
ゼニバアオイの葉 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/05/30
全体的な姿からするとハイアオイ(這葵、学名/Malva rotundifolia L.)と呼びたくなるが、別種とみられる。ハイアオイはナガエアオイ(長柄葵)と同一とする(『日本帰化植物写真図鑑 第2巻』)らしいが、ハイアオイとナガエアオイはその明確な正体が今一つ判然としないので本サイトではこの二者には関わらない。名前が紛らわしいゼニアオイは、近似種ながら完全直立のっぽ型の別種。
ゼニバアオイの花
ゼニアオイ属の花は、花径5mm程度で観賞価値がまったくないものと、1cmを超えてかわいらしいと感じる花を咲かせるものの二手に分かれるが、ゼニバアオイは後者の方。花径1cm強~1.5cm。花弁の長さは萼片の二倍超あり。花色は白っぽいものからしっかりピンクがかったものまで個体差あり。乙女チックなかわいらしい花である。花柄(かへい)は長め。
ゼニバアオイ 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/05/15
ゼニバアオイ 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2018/05/22
ゼニバアオイ 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/05/15
ゼニバアオイの長めな花柄、萼片の二倍超の長さある花弁 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/05/20
ゼニバアオイの実
ウサギアオイ(兎葵)と同系統の形状の実ができる。ただし、実を囲う萼片は開かず、包み込むように実に密着する。果柄(かへい)は長め。種子(のように見える分果(ぶんか))の境目は、ぎざぎざ状にならずほぼ一直線。ぎざぎざしていたらミナミフランスアオイ(南ふらんす葵、学名/Malva nicaeensis All.)を疑いたい。
ゼニバアオイの若い実 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/05/15
ゼニバアオイの若い実 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/05/20
ゼニバアオイの長めな果柄 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/05/20
ゼニバアオイの熟した実 茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道 2020/05/20
茅ヶ崎市西久保・新湘南バイパス側道(湘南タゲリ米の里東側に二群)
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)
『日本帰化植物写真図鑑 第2巻』 植村修二・勝山輝男・清水矩宏・水田光雄・森田弘彦・廣田伸七・池原直樹編・著 全国農村教育協会発行(2010)
神奈川県植物誌は、ののはな館で見たことがありますが、あの分厚い本には、この植物がどこで確認したのか載っているのですか?
私は、こども植物園の南門側にある従業員駐車場縁で見ていますが、鋼製フェンスと絡むため、綺麗な写真は望めませんでした。