兎葵 アオイ目/アオイ科/ゼニアオイ属 花期/4月中旬~5月中旬 結実期/6月
学名/Malva parviflora L.
外来種駆除
ウサギアオイ 茅ヶ崎市浜之郷・新湘南バイパス側道 2020/05/15
ヨーロッパ原産の一年草。多くの人が名前のウサギに引っかかると思うが、中国の野葵(日本名フユアオイ(冬葵)、学名/Malva verticillata L.)の別名が菟葵(菟は兎の異体字)であることからその誤用あるいは転用と思われる。そもそもなぜ菟なのかは(動物のウサギを指していない可能性も含めて)不明。無理に強いていうなれば、花弁が平開せず閉じ気味な様子、つまり白っぽい花弁が立ち上がっている点がウサギの耳に見えないでもないか。決してかわいらしい植物ではないので悪しからず。迷惑な帰化雑草として、畑の周辺や乾燥した道端などに生えてくる。種子をたくさん作るため、ある所には何本も何本も生えている。紛らわしい近似種が多いので要注意。
車道沿いに生えたウサギアオイ 茅ヶ崎市浜之郷・新湘南バイパス側道 2020/05/15
車道沿いに生えたウサギアオイ 茅ヶ崎市浜之郷・新湘南バイパス側道 2020/05/15
車道沿いに生えたウサギアオイ 茅ヶ崎市浜之郷・新湘南バイパス側道 2020/05/15
茎は直立。草丈は環境により様々ながら、およそ人の膝(ひざ)上から腰程度と、草本としては中型。小さなものでは20cm程度で花を咲かせているものもあり、1.5mくらいに大きくなることも。茎下部から分岐した枝は特に長く伸びて斜上する。
車道沿いに生えたウサギアオイ 茅ヶ崎市浜之郷・新湘南バイパス側道 2020/05/15
葉は互生。ゼニアオイ(銭葵)の仲間にありがちな掌状(しょうじょう)で、およそ五裂から七裂する。切れ込みは浅裂(せんれつ)から中裂。裂片先端は、小さな若葉では尖り、大きめな古い葉では丸みを帯びてくる。葉の大きさは一定でなくまちまち。人の手くらいの大きな葉にはならない。葉柄(ようへい)は長い。
ウサギアオイの葉 茅ヶ崎市浜之郷・新湘南バイパス側道 2020/05/15
ウサギアオイの葉 茅ヶ崎市浜之郷・新湘南バイパス側道 2020/05/15
ウサギアオイの長い葉柄 茅ヶ崎市浜之郷・新湘南バイパス側道 2020/05/15
ウサギアオイの花
ぱっとは開かず、半開きな状態。花径5mm前後の小さな花なので、目立たず、観賞価値はない。花弁は五枚で、先端が軽く二裂する。花色は肉眼では白色。ただしよく見れば花弁先端がうっすらピンク色を帯びていないでもない。花柄(かへい)は短い。
ウサギアオイ 茅ヶ崎市浜之郷・新湘南バイパス側道 2020/05/15
ウサギアオイ 茅ヶ崎市浜之郷・新湘南バイパス側道 2020/05/15
ウサギアオイ 茅ヶ崎市浜之郷・新湘南バイパス側道 2020/05/15
ウサギアオイ 茅ヶ崎市浜之郷・新湘南バイパス側道 2020/05/15
花弁は萼片よりも少しばかり(1mm程度)長い。
ウサギアオイの開花時の萼 茅ヶ崎市浜之郷・新湘南バイパス側道 2020/05/20
ウサギアオイの実
花よりも人の目を引くだろうおもしろい形状をしており、五枚の萼に囲まれたドーナツ形。萼は半開きないし開き気味である(実を覆い包むように閉じていない)こと。果柄(かへい)は短い(ふつう5mm前後で、長くとも1cm以下)。
ウサギアオイの若い実 茅ヶ崎市浜之郷・新湘南バイパス側道 2020/05/15
ウサギアオイの実 茅ヶ崎市浜之郷・新湘南バイパス側道 2020/05/15
ウサギアオイの熟した実 茅ヶ崎市浜之郷・新湘南バイパス側道 2020/05/20
ウサギアオイの果柄 茅ヶ崎市浜之郷・新湘南バイパス側道 2020/05/20
熟すとドーナツはぼろぼろと崩れ、十個程度の種子(のように見える分果(ぶんか))に分かれて落下する。分果と分果の裂け目はきれいな一直線ではなく、ぎざぎざしていること。
ウサギアオイの熟した実 茅ヶ崎市浜之郷・新湘南バイパス側道 2020/05/20
茎が明らかに地面を這う気配を見せている、花径が1cm以上あってそこそこ見るに値する、花弁が萼片の二倍くらい長い、花色が明らかに赤紫色、萼が実を包み込んでいる、分果の縁(ふち)にぎざぎざがない、といった場合は、ゼニバアオイ(銭葉葵)、フユアオイ、ミナミフランスアオイ(南ふらんす葵)などの近似種を疑いたい。
茅ヶ崎市浜之郷・新湘南バイパス側道沿い(小出川浜園橋以北)
材木座海岸
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)
『日本帰化植物写真図鑑』 清水矩宏・森田弘彦・廣田伸七編・著 全国農村教育協会発行(2001)
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