長芋 ヤマノイモ目/ヤマノイモ科/ヤマノイモ属 花期/7月中旬~下旬 むかごの旬/7月中旬~9月 結実期/9月~11月 旬/10月~11月
学名/Dioscorea polystachya Turcz.
食用薬用改良種
#ナガイモの葉 茅ヶ崎市浜之郷 2018/05/05
中国から渡来したとも日本原産ともいわれる蔓性の多年草で、雌雄異株(しゆういしゅ)。原種不明。日本の野良で見られるものは栽培品種が野生化したものということになっているがよくわからない。ヤマノイモ(山の芋)にたいへんよく似ているが別種の扱い。市民農園でも外周の柵などに絡ませてよく栽培されているので、近所の農地を散歩すれば目にする機会はあるだろう。湘南・鎌倉・三浦半島では、自然豊かな山野に生えているものは見かけないが、行政が造成工事を行ったような場所に帰化していることがある。※本頁では、葉がナガイモらしきものであれば(広義の)ナガイモとして扱う。(特に農地に植えられているものは)ナガイモ系統の他の品種(イチョウイモ(銀杏芋)など)である可能性を排除できないが、いかんせん掘ってイモの形状等を確認することができないので区別できない。
葉はヤマノイモのみならずオニドコロ(鬼野老)にも似る。大雑把にいえば、葉が丸っこければオニドコロ、細身ならヤマノイモかナガイモ。ナガイモはくびれが強めで、葉柄(ようへい)や葉脈基部などが紫色を帯びていることが多い。ナガイモの葉は、生え始めは互生、その後成長したものは対生という。蔓や葉がごちゃごちゃに繁ってしまってよくは確認できないが。
ナガイモの葉 茅ヶ崎市菱沼海岸・国道134号線・湘南海岸砂防林 2018/07/02
ナガイモの異様に幅広な葉 茅ヶ崎市消防署(旧茅ヶ崎市消防本部) 2019/09/06
ヤマノイモ同様に、キイロスズメ(黄色雀)というスズメガ(雀蛾)の仲間の幼虫がよく付くので注意が必要。成人男性の太くて大きな中指くらいの大きさにまでなる巨大イモムシ(芋虫)で、毒はないものの、気色悪い。”なぜか葉が減る”という怪現象が始まったらイモムシが一匹二匹出現している可能性大。よく観察すれば黒っぽい糞も落ちているだろう。放っておくと葉数がだいぶ減って、芋の成長にも影響が出てきてしまうため、速やかに駆除する(小型トングでつまみ取って殺す)こと。
ナガイモに湧いたキイロスズメの幼虫 茅ヶ崎市浜之郷 2022/08/30
ナガイモの花
見かける機会が圧倒的に多いのは(雄株の)雄花。上向きの柄(え)に白っぽい粒々が付いていたら雄花(雄花序)。蕾なのか咲いているのかわかりづらいが、蕾に亀裂が入っていればどうやらそれでマックスに咲いている状態らしい。ぱかっと平開して雄蕊を露出させることはない。
#ナガイモの雄花 茅ヶ崎市萩園 2018/07/07
#ナガイモの雄花 茅ヶ崎市萩園 2018/07/07
#ナガイモの雄花 茅ヶ崎市浜之郷 2018/07/03
#ナガイモの雄花 茅ヶ崎市浜之郷 2018/07/03
雌株(の雌花)を見かけることはまずない。優良なイモ(芋)を得る、という目的では実や種子の生成に栄養を持っていかれる雌株は適しておらず、長く栽培しているうちに雌株は排除されていったのかもしれない。
ナガイモの実
ナガイモの未熟な実 茅ヶ崎市萩園 2019/10/07
ナガイモの未熟な実 茅ヶ崎市萩園 2019/10/07
#ナガイモの種子 茅ヶ崎市萩園 2019/11/25
ナガイモのむかご
むかごは、平たくいえば地上部にできる小さなイモ。ジャガイモ(馬鈴薯)の小さいのが葉腋(ようえき)に付着しているアレである。ナガイモのむかごは花が咲く梅雨時あたりから既に大きく膨らんでいるものがある。食用になる。
#ナガイモのむかご 茅ヶ崎市浜之郷 2018/07/03
#ナガイモのむかご 茅ヶ崎市浜之郷 2018/07/13
#ナガイモのむかご 茅ヶ崎市浜之郷 2018/07/13
近似種ではヤマノイモとニガカシュウ(苦何首烏)もむかごを作る。どちらも葉で見分けることを基本とするが、ニガカシュウのむかごは疣(いぼ)の形状が少々異なる。(参照⇒むかごの種類)
#ヤマノイモと#ナガイモのむかごの比較 茅ヶ崎市浜之郷 2020/10/16
ナガイモの芋
スーパーマーケットでナガイモとして市販されているのは根茎(こんけい)の部分。一般的にはナガイモのイモという認識だろう。野球のバットのようにまっすぐ長く伸びるため、ふつうはぶつ切りの真空パック詰めで売られている。ヤマノイモの自然薯(じねんじょ)と呼ばれるイモに比べて栽培がたやすく、長い年月をかけることなく収穫可能、収穫作業も過度の労力を伴わない、という利点がある反面、自然薯よりも水っぽくて風味は格段に劣る。従って、安価。庶民が日頃購入しているのはヤマノイモではなくナガイモの方だろう。薄くスライスして生食もよし、擂り鉢(すりばち)で擂って”とろろ”にするもよし。ヤマイモといった場合はヤマノイモなのかナガイモなのか類似の別の栽培種なのか、その正体は不明なので注意したい。
茅ヶ崎市菱沼海岸・湘南海岸砂防林(国道134号線側に帰化、オニドコロも)
飯地市民の森には、ナガイモ、オニドコロ、ヤマイモが繁殖しています。
近所には、カエデドコロもありました。
蔓性植物を探して歩くのも楽しみです。