屁糞葛 リンドウ目/アカネ科/ヘクソカズラ属 花期/7月中旬~9月 結実期/10月~1月
有毒薬用自生種
ヘクソカズラ 横須賀市長井・栗谷浜漁港 2017/07/07
林縁や道路沿い、民家の塀やフェンスなどに絡まって、日の当たる場所であればどこにでも生えている多年草。植物にはセンスを欠いた心無い命名がされていることがまま見られるが本種はその筆頭。屁や糞のにおいがする蔓性植物という残念な意味である。草刈りなどの際に茎や葉を切断してしまうとくさい思いをする羽目になるだろう。別名サオトメカズラ(早乙女葛)はかわいらしい花の様子からか。
ヘクソカズラが植え込みを覆った典型的な様子 茅ヶ崎市下町屋・小出川 2018/08/05
葉はやや細長めな心形(しんけい、ハート形)のような形状。基部は切形(せっけい)のものも。形状や色などに個体差大きく、一目見ただけでヘクソカズラの葉であると断定するのは意外と困難。アオツヅラフジ(青葛藤)と似たような場所に生えるため紛らわしいが、ヘクソカズラは対生、アオツヅラフジは互生という明確な違いあり。なおヘクソカズラは必ず托葉の形状(※後述)を併せて覚えておきたい。見分けに有用。
ヘクソカズラの葉、くびれがある葉はアオツヅラフジ 茅ヶ崎市南湖・湘南海岸砂防林 2018/07/02
ヘクソカズラの典型的な葉 茅ヶ崎市萩園 2018/07/07
同じ対生のガガイモ(鏡芋)の葉とも紛らわしいが、ガガイモは主脈が白っぽく明瞭、托葉が異なる、切断すると白色の乳液を出す、といった特徴あるため、ヘクソカズラとはっきり見分けることができる。オオカモメヅル(大鴎蔓)ともそっくり。かろうじて托葉で見分けられるか。くれぐれも稀少なカモメヅルの仲間は刈払ってしまわないように。
ヘクソカズラの三角形の托葉 大磯町高麗 2019/06/18
ヘクソカズラの(ひしゃげた)三角形の托葉 平塚市虹ケ浜 2019/06/18
臨海地域のヘクソカズラは葉が厚めで光沢があるものがある。これをハマサオトメカズラ(浜早乙女葛)として別種ないし変種として扱うことがある。海辺のみならず川べりにも多いか。異様につやつやてかてかしているものもあれば、光沢があるともないとも言い難い中間的なものも。※本頁では明確に特徴あるものを除いてヘクソカズラとして記載した。
ハマサオトメカズラの葉 茅ヶ崎市萩園・屋内温水プール周辺 2018/07/10
ハマサオトメカズラの葉 茅ヶ崎市萩園・屋内温水プール周辺 2018/07/10
ちなみに、ショウベンノキ(小便の木)という名前が付けられてしまった木もあったりなんかする。
ヘクソカズラの花
花はかわいらしいもの。
ヘクソカズラ 茅ヶ崎市柳島 2016/09/14
ハマサオトメカズラ 横須賀市長井・栗谷浜漁港(くればま-) 2017/07/07
ヘクソカズラ 茅ヶ崎市白浜町・湘南海岸砂防林 2018/07/02
ヘクソカズラの実
蔓植物にオレンジ色のつやつや小粒がたくさんなっていたら本種の実。実の先端に萼がしっかり残る。
ヘクソカズラの未熟な実 茅ヶ崎市浜之郷 2018/09/12
ヘクソカズラの実 箱根町・湖尻園地 2017/09/09
生垣に絡まったヘクソカズラの実 逗子中学校 2018/10/25
ヘクソカズラの実 藤沢市辻堂海岸・なぎさ散歩道 2015/11/21
ヘクソカズラの実はかっさかさに乾燥していそうに見えるが意外にも瑞々(みずみず)しく、味は若干の”ヘクソカズラ味”(葉を揉んだときの香りから想像できる通りの癖のある嫌な感じの青臭さ)。甘味はなく、舌には軽い刺激がびりりと残る。ヘクソカズラの実は食べてはいけない。