ヒサカキ

姫榊、非榊 ツツジ目/サカキ科/ヒサカキ属 花期/3月下旬 結実期/11月~2月
学名/Eurya japonica Thunb.

自生種

ヒサカキの葉 寒川神社 2017/01/06

ヒサカキの葉 寒川神社 2017/01/06

林内に生える常緑の小高木で、雌雄同株(しゆうどうしゅ)。神道(しんとう)で聖なる木として多用されるサカキ(榊)はホンサカキ(本榊)とも呼ばれ、互生の葉は常緑で鋸歯がなく葉脈見えずに美しい。ただし西日本を中心に自生しているもので、関東では育ちにくかった。そのため代用木として使われてきたのが、関東にも普通に自生しよく生育するこのヒサカキ。葉は互生で常緑だが、明確な鋸歯がある。ホンサカキに対して葉はやや小さい。葉の表面は葉脈ででこぼこしており、露地ものは枯れや虫食いも多く、ホンサカキに比べて見た感じがちゃがちゃした印象。漢字表記は現在は「姫榊」が用いられるのが一般的だが、単に小振りなだけではないのでおそらく元は「非榊」だろう。ヤマサカキ(山榊)とも。

ヒサカキの葉 鎌倉市・大船フラワーセンター 2016/11/29

ヒサカキの葉 鎌倉市・大船フラワーセンター 2016/11/29

神奈川県内では、鶴岡八幡宮でヒサカキが祭具に用いられることはないが、鎌倉市内各小社の境内にはヒサカキが植樹されており、祭礼においてもヒサカキが頻繁に使用されている。特に三浦半島ではヒサカキが好んで使われ、サカキといえば自ずとヒサカキを指す。花屋では仏壇への供え物としても”サカキ”が販売されているが、店頭に置かれているのはほぼほぼホンサカキではなくヒサカキである。従って、県内ではヒサカキをサカキだと思っている人がたいへん多い。湘南・鎌倉・三浦半島では主に丘陵地の林内に自生あり。他の高木に覆われた薄暗いところに生えているため樹勢芳しからず、上には落ち葉が降りかかり、クモ(蜘蛛)の巣にもまみれて見るに美しからず。ハイキングをしていてもそんな樹木には目を向けないため、ヒサカキはそこに生えていても気づかず素通りしてしまうだろう。公園木や庭木にも利用あり。祭具等として用いたいなら、植えっぱなし放ったらかしの枝は必ず汚らしくなってしまうため、高望みをいえばハウス栽培で、露地ならこまめに入念な手入れをし続けること。

ヒサカキの若葉 鎌倉市扇ガ谷・国指定史跡「亀ヶ谷坂」 2024/01/07

ヒサカキの若葉 鎌倉市扇ガ谷・国指定史跡「亀ヶ谷坂」 2024/01/07

ホンサカキとヒサカキ(とハマヒサカキ(浜姫榊))では花も実も時季が異なる。

ヒサカキの花

花は小枝に密生して付く。

ヒサカキ 鎌倉市・東慶寺 2017/03/25

#ヒサカキ 鎌倉市・東慶寺 2017/03/25

ヒサカキ 鎌倉市・東慶寺 2017/03/25

#ヒサカキ 鎌倉市・東慶寺 2017/03/25

ヒサカキ 鎌倉市・東慶寺 2017/03/25

#ヒサカキ 鎌倉市・東慶寺 2017/03/25

ヒサカキ 大磯町・郷土資料館 2018/03/15

#ヒサカキ 大磯町・郷土資料館 2018/03/15

ヒサカキの実

実も小枝に密生して花のあとに付く。葉の上からでは実がなっているのかどうかよく見えないが、下からのぞき込むと大量の粒々がびっしり。”集合体恐怖症(つぶつぶ恐怖症、トライポフォビア)”の人でなくとも、見てあまり気持ちのいい光景ではないかもしれない。

ヒサカキの実 茅ケ崎里山公園 2016/10/25

#ヒサカキの実 茅ケ崎里山公園 2016/10/25

ヒサカキの実 茅ケ崎里山公園 2016/10/25

#ヒサカキの実 茅ケ崎里山公園 2016/10/25

実は緑色から、黒に近い濃紺に熟す。味は苦いらしい。

ヒサカキの実 茅ケ崎里山公園 2016/10/25

#ヒサカキの実 茅ケ崎里山公園 2016/10/25

ヒサカキの実 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2017/11/12

ヒサカキの実 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2017/11/12


#鶴岡八幡宮(大石段途中)

新林公園(山道)、#茅ケ崎里山公園(丘の村の東側、平成29年(2017)圃場開設により滅失)、平塚市上吉沢(かみきちさわ)・#神奈川県農業技術センター(非公開、Cブロック角に日本第2位の大きなヒサカキ、剪定されて小さくなったか)

参考資料

『日本一の巨木図鑑』 宮誠而著 文一総合出版発行(2013)