榊 ツツジ目/サカキ科/サカキ属 花期/6月上旬~中旬 結実期/11月~12月
自生種
サカキの葉 寒川神社 2017/01/06
常緑の小高木で、雌雄同株(しゆうどうしゅ)。神奈川県内でも山地などに自生しているらしいが、栽培ものの逸出と区別できない。湘南・鎌倉・三浦半島でふつうに目にするのは神社境内で栽培されているもの。ヒサカキ(非榊)に対してホンサカキ(本榊)とも。
サカキは神道(しんとう)で重用されている聖なる木で、聖俗の境に植えられることが多い。境に植えられるので境木(さかき)。漢字では”神の木”と書いて榊。神社祭礼で、お祓い(おはらい)のときに祓え具(はらえぐ)として用いられる大麻(おおぬさ)が緑色の木の枝葉であったならこのサカキに紙垂(しで)を結んだものであり、玉串(たまぐし)奉奠(ほうてん)で祈願を籠(こ)めて御神前(ごしんぜん)に差し出す枝葉もこのサカキである。神社の鳥居に結わえ付けられていたり、神社以外の場所で行われる祭典では神様に御降臨(ごこうりん)いただくための神籬(ひもろぎ)としてサカキが立てられることもある。各家庭の神棚の前面左右に供えるのもサカキである。
なお温暖な三浦半島ではサカキは育たないといわれ、ヒサカキで代用されることが多い。県内の花屋ではヒサカキがサカキの名で売られているので注意したい。
ヒサカキとサカキの葉 寒川神社 2017/01/06
葉は互生で、側脈(支脈)が目立たないため表も裏もつるっとしていて美しい。夏場にクモ(蜘蛛)の巣まみれにならないよう日常の手入れがなされるならば、一年を通して生命力あふれる緑豊かな息吹が感じられる樹木となる。軸先端には鎌のようにカーブした細い新芽が付いているのも特徴。
サカキの葉 鎌倉宮 2017/01/15
仏教で用いられるシキミ(樒)や、公園などに多く植樹されているクロガネモチ(鉄黐)の仲間の葉も葉脈が目立たずつるっとした感じなので見分けられるようにしたい。ネズミモチ(鼠黐)は花期も近い。葉が規則的な互生で、玉串に用いるのに適した平べったい姿であればサカキと判断してよいか。葉脈(支脈)は目立たないが太陽に透かしてみれば黒っぽい筋(すじ)が入っているのが確認できる。
サカキの日光にかざした葉 寒川神社 2017/01/06
サカキの花
アジサイ(紫陽花)とほぼ季節を同じくして、白く清らかなやや小振りな花を鈴なりに咲かせる。
サカキ 藤沢市・白旗神社 2011/06/22
サカキ 寒川神社 2017/06/12
雨多く、晴れたら晴れたで日差しが強い時期であるため、花は傷みやすく、すぐに茶色っぽく変色してしまうので注意したい。
サカキの黄葉
ちょうど花の時期、新しい葉は茶色っぽく、おそらくじきに落ちるのであろう古い葉は鮮やかな黄色に色付く。
サカキの黄葉 寒川神社 2017/06/12
サカキの黄葉 寒川神社 2017/06/12
サカキの実
実は緑から黒色に熟す。
サカキの実 大磯町・六所神社 2016/12/26
鶴岡八幡宮、坂ノ下・御霊神社(石段上って左右)、藤沢市・白旗神社、大磯町・六所神社(社殿前石段下左右、社殿を囲うように多数)