松 マツ目/マツ科/マツ属 菰巻き/11月~2月
学名/Pinus spp.
#クロマツ 鎌倉市・長谷寺 2017/01/25
マツといったらマツ属に分類される植物の総称。単にマツという名の種はない。ふつうもっとも一般的なクロマツ(黒松)を、またはクロマツおよびアカマツ(赤松)を指す。雌雄同株(しゆうどうしゅ)で、雌雄異花。葉はふつう二本一組(二針葉)。ゴヨウマツ(五葉松)や標高2,000メートル付近の森林限界に生えるハイマツ(這松)は五本一組(五針葉)。三本一組(三針葉)だったら北米原産の外来種ダイオウショウ(大王松)やスラッシュマツ(スラッシュ松)、テーダマツ(テーダ松)かもしれない。
日本で縁起がよい、おめでたいとされる松竹梅の筆頭。元は中国で好まれた画題「歳寒三友(さいかんのさんゆう)」が日本に伝わって独自に解釈されたものという。正月には門松が門外に飾られる。
赤塚不二夫の漫画『おそ松くん』に登場した六つ子は、おそ松、カラ松、チョロ松、一松、十四松、トド松。このうち植物として実在するのはカラマツ(唐松)とトドマツ(椴松)の二種のみである。
マツの菰巻き
冬季、マツの幹に藁(わら)を編んだ菰(こも)を巻き付ける冬の風物詩。マツを枯らす害虫マツカレハの幼虫マツケムシが暖を取るため菰の中に集ってくるので、冬の終わりに菰を取り外しマツケムシ共々焼いてしまおうという伝統的な害虫駆除方法。ただし、その効果には強い疑問が投げかけられている。
腹巻やマフラーを巻いているように見えるが、マツの防寒対策というわけではない。
マツの菰巻き 鎌倉海浜公園稲村ガ崎地区 2017/11/21
クロマツ
黒松 マツ目/マツ科/マツ属 花期/4月~5月 結実期/12月
自生種保護
アカマツ
赤松 マツ目/マツ科/マツ属 花期/4月~5月 結実期/12月
自生種保護
#アカマツの葉 茅ヶ崎市・浄見寺 2024/01/14
アカマツは特に幹高所の樹皮が赤っぽく見えるのが特徴で、一般的に多くみられる身近なマツの一つ。本来は山地に自生。葉が柔らかめで、針のように尖った先端部に触れても意外にもほとんど痛くない。そのため雌松(めまつ)と呼ばれる。クロマツの葉より短い。マツタケ(松茸)はアカマツの林床に好んで生える。
#アカマツ 鎌倉市・瑞泉寺 2024/02/27
#アカマツ 鎌倉市・建長寺・方丈・国指定名勝「建長寺庭園」 2024/01/09
#アカマツ 茅ヶ崎市・浄見寺 2024/01/14
#アカマツの赤っぽい幹(樹皮) 茅ヶ崎市・浄見寺 2024/01/14
#クロマツと#アカマツの冬芽の違い 鎌倉市・建長寺 2024/01/09
アカマツの花
長ーーーく伸びている奇妙な棒は新梢(しんしょう)、要するに新しい枝。その先端に小さく付いている赤いものが雌花、棒の付け根でもしゃもしゃしているのが雄花。
アカマツ 茅ヶ崎市・鶴嶺八幡社参道 2018/04/12
アカマツの雌花 茅ヶ崎市・鶴嶺八幡社参道 2018/04/12
アカマツの雄花 茅ヶ崎市・鶴嶺八幡社参道 2018/04/12
アカマツの実
マツの球果は「松ぼっくり」や「松かさ(松傘、松笠、松毬」という。受粉した雌花が成長したものである。種子は鱗片の間にあり、かさが開くと徐々にひらひらと落下する。松ぼっくりそのものは翌年5月~6月あたりの強風でよく落ちるか。
アカマツの松ぼっくり 安国論寺 2016/12/04
アカマツの松ぼっくり 茅ヶ崎市柳島・しおさいの森 2016/12/21
アカマツの松ぼっくり 茅ヶ崎市柳島・しおさいの森 2016/12/21
ひだひだの間に挟まっている薄っぺらいのが種子。翼が付いているため落下する際に風にひらひら飛ばされて、少し離れた場所に着床して芽吹く、という分布域拡大システムを採用。
アカマツの松ぼっくり 茅ヶ崎市柳島・しおさいの森 2016/12/21
松ぼっくりは水濡れすると閉じ、乾燥すると開く。
水洗いしたため閉じた松ぼっくり 大磯町役場 2016/12/28
なお木の実(ナッツ)として食用にされる”松の実”はチョウセンゴヨウ(朝鮮五葉)というマツの種子でふつう中国産のもの。
#瑞泉寺(本堂前)、#建長寺、鎌倉市腰越・#浄泉寺
関連記事 – 仲間・似ている・紛らわしい
ゴヨウマツ
五葉松 マツ目/マツ科/マツ属 花期/5月中旬~下旬 結実期/10月~12月
自生種稀少保護
神奈川県レッドリスト2020「絶滅危惧II類」
神奈川県レッドリスト2006「絶滅危惧IA類」
ゴヨウマツ 鎌倉市・報国寺 2017/01/15
なんとなく高級感を感じるマツ。葉は短く、五本一組。盆栽や庭木に好まれる。
刈り込まれたゴヨウマツ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2016/10/16
ゴヨウマツ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2016/10/16
ゴヨウマツ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2016/10/16
葉は密生しているため五枚葉なのか確認が難しいので、落ち葉を見るとよい。明らかに五枚一組だ。
ゴヨウマツの落ち葉 鎌倉市・大船フラワーセンター 2016/12/17
人為的に選定しなければ普通のマツっぽい姿になる。
ゴヨウマツ 横浜市金沢区・金沢自然公園 2017/02/06
横浜市金沢区・金沢自然公園(なんだろ坂、チョウセンゴヨウマツも)
報国寺(本堂前鉢植え)、大船フラワーセンター
大宝寺(庫裏玄関前)
ダイオウショウ
大王松 マツ目/マツ科/マツ属 結実期/12月
外来種
三宝の松 藤沢市・遊行寺 2017/11/25
北米原産。ダイオウマツ(大王松)とも。大王の名にふさわしい巨木になる。葉も長く、三本一組。長過ぎるためしなって垂れることがある。葉は枝先にまとまってふっさふさに付く傾向あり。松ぼっくりも大きく、やや細長い。
ダイオウショウ 藤沢市・長久保公園 2017/01/01
ダイオウショウの幹 藤沢市・長久保公園 2017/01/01
ダイオウショウの花
ダイオウショウの実
ダイオウショウの実 藤沢市・長久保公園 2017/01/01
鎌倉市植木・龍宝寺(本堂向かって左)、遊行寺(中雀門前の「三宝の松」)、藤沢市・長久保公園(三本一組ないし二本一組)
スラッシュマツ
スラッシュ松 マツ目/マツ科/マツ属
外来種
北中米原産。ダイオウショウ(大王松)のように高木になる。葉は三本一組。松ぼっくりはテーダマツ(テーダ松)のような棘(とげ)がある。
幸せの松 平塚市・前鳥神社 2017/11/25
幸せの松 平塚市・前鳥神社 2017/11/25
幸せの松の実(松ぼっくり) 平塚市・前鳥神社 2017/11/25
幸せの松の実(松ぼっくり) 平塚市・前鳥神社 2017/11/25
前鳥神社(社殿前「幸せの松」は本種か、基本三本一組ときに四本一組、低所に枝なし)
テーダマツ
テーダ松 マツ目/マツ科/マツ属 花期/4月 結実期/12月
外来種
北米原産。葉は三本一組という。日本で見られるふつうのマツに比べて明らかに葉は長くて太く、断面はU字形、葉先も硬いため手によく刺さりとても痛い。さすがに箸にはならないが、楊枝(ようじ)代わりには使えそうだ。見ただけでは違いはよくわからないが、手に取って触れてみれば明らかに葉が”何か違う、硬い”と感じられるだろう。
テーダマツの幹 藤沢市・長久保公園 2017/01/01
松ぼっくりには強烈な棘(とげ)がある。
藤沢市・長久保公園(基本的に二本一組)