ノジスミレ

野路菫 キントラノオ目/スミレ科/スミレ属 花期/(11月、)2月下旬~4月上旬
学名/Viola yedoensis Makino

自生種保護

ノジスミレの花 平塚市上吉沢 2025/03/26

ノジスミレの花 平塚市上吉沢 2025/03/26

名前の通り、日当たりの良いやや乾燥気味なその辺の道端に生えている多年草。野生の(総称としての広義の)スミレの一種。スミレの仲間なので多年草といっても一年程度で滅するものも多いと思われるが(種子をばら撒いて移動してまた生える)。神奈川県内では山地を除いて広域に分布がある普通種ながら、思いのほか出遭える機会は多くない。道路沿いのアスファルトの割れ目であるとか、駐車場、農地周辺、社寺境内、ひょんなところでやや希に遭遇する程度。都市部より農地が広がる里山地域に比較的あるか。

空き地に生えたノジスミレ 茅ケ崎里山公園 2018/03/28

空き地に生えたノジスミレ 茅ケ崎里山公園 2018/03/28

珍しくしゅっと立ち上がったノジスミレ 茅ケ崎里山公園 2017/04/03

珍しくしゅっと立ち上がったノジスミレ 茅ケ崎里山公園 2017/04/03

畑周辺に生えたノジスミレ 平塚市上吉沢 2025/03/26

畑周辺に生えたノジスミレ 平塚市上吉沢 2025/03/26

畑の土手に生えたノジスミレ 平塚市田村 2024/04/07

畑の土手に生えたノジスミレ 平塚市田村 2024/04/07

畑の土手に生えたノジスミレ 平塚市田村 2024/04/07

畑の土手に生えたノジスミレ 平塚市田村 2024/04/07

月極駐車場に生えたノジスミレ 茅ヶ崎市今宿 2024/03/28

月極駐車場に生えたノジスミレ 茅ヶ崎市今宿 2024/03/28

月極駐車場に生えたノジスミレ 茅ヶ崎市今宿 2024/03/28

月極駐車場に生えたノジスミレ 茅ヶ崎市今宿 2024/03/28

月極駐車場に生えたノジスミレ 茅ヶ崎市今宿 2024/03/28

月極駐車場に生えたノジスミレ 茅ヶ崎市今宿 2024/03/28

月極駐車場に生えたノジスミレ 茅ヶ崎市今宿 2024/03/28

月極駐車場に生えたノジスミレ 茅ヶ崎市今宿 2024/03/28

月極駐車場に密生したノジスミレ 茅ヶ崎市今宿 2024/03/28

月極駐車場に密生したノジスミレ 茅ヶ崎市今宿 2024/03/28

珍しく多くの花を付けたノジスミレ 鎌倉市・貞宗寺 2019/03/18

珍しく多くの花を付けたノジスミレ 鎌倉市・貞宗寺 2019/03/18

日当たりの良いところに生え、紫系統の色の花が咲く、という意味で(狭義の)スミレ(ホンスミレ(本菫))とやや紛らわしい。が、ノジスミレは全体的に細かな毛が多く生えているのが特徴。花柄(かへい)が多毛、葉にも毛が生えているので葉の色がやや白っぽく粉を吹いたような鮮やかでない緑色をしている。株は大型化しないものが多く、花色が濃い紫色でなくやや色褪せ気味。

ノジスミレの特徴 平塚市上吉沢 2025/03/26

ノジスミレの特徴 平塚市上吉沢 2025/03/26

畑周辺に生えたノジスミレ 平塚市上吉沢 2025/03/26

畑周辺に生えたノジスミレ 平塚市上吉沢 2025/03/26

スミレ(ホンスミレ)とノジスミレの見分け方
スミレ(ホンスミレ) ノジスミレ
生えている場所 日当たり良い道端など 日当たり良い道端など
株の大きさ 大型化する 大型化しない傾向
花色 濃い紫色 やや色褪せた紫色
側弁の毛 ふつう有毛 ふつう無毛
花の距 太くてやや長い 太からず長い
花柄 無毛 多毛
無毛 有毛
葉の色 緑色 やや白っぽい緑色

葉柄の翼 大きい 小さい

本種の特徴の一つとして、やたら小さな株もふつうにある。

早春から花をよく咲かせたノジスミレの小型個体 鎌倉市・浄妙寺 2025/02/27

早春から花をよく咲かせたノジスミレの小型個体 鎌倉市・浄妙寺 2025/02/27

早春から花をよく咲かせたノジスミレの小型個体 鎌倉市・浄妙寺 2025/02/27

早春から花をよく咲かせたノジスミレの小型個体 鎌倉市・浄妙寺 2025/02/27

ノジスミレにしては大型な株 鎌倉市・浄妙寺・足利直義公の墓入口 2023/02/26

ノジスミレにしては大型な株 鎌倉市・浄妙寺・足利直義公の墓入口 2023/02/26

ノジスミレにしては大型な株 鎌倉市・浄妙寺・足利直義公の墓入口 2023/02/26

ノジスミレにしては大型な株 鎌倉市・浄妙寺・足利直義公の墓入口 2023/02/26

スミレ(ホンスミレ)のように大株になって花を十も二十も立ち上げて群落を作っている、という光景は目にしない。株はむしろやや小型で、花数少なく、そのうち何個かは咲き終わって傷んでいようから、見た感じちょっとちんちくりんで華やかさを欠く地味な姿でありがち。観賞価値はやや低め。従って、公園や民家で好んで栽培されることはまずない。人為的に栽培すると大株に育つのだが。

ノジスミレのサイズ感 平塚市田村 2024/04/07

ノジスミレのサイズ感 平塚市田村 2024/04/07

葉は長めで披針形(ひしんけい)。葉身基部は切形(せっけい)ないしやや心形(ハート形)。肉眼ではよく見えない程度の細かな毛がたくさん生えており、やや白っちゃけて見える。葉柄(ようへい)にはあると言われればあると言えるのかもしれないという程度の翼(よく)あり。葉裏は赤紫色を帯びることがある。スミレ(ホンスミレ)の葉は鮮やかな(やや光沢を感じないでもない)緑色。葉の形状だけを見ればアリアケスミレ(有明菫)もやや似てはいる。

ノジスミレの小型個体の葉 鎌倉市・浄妙寺 2025/02/27

ノジスミレの小型個体の葉 鎌倉市・浄妙寺 2025/02/27

ノジスミレの葉 茅ケ崎里山公園 2017/04/03

ノジスミレの葉 茅ケ崎里山公園 2017/04/03

ノジスミレの葉 鎌倉市・貞宗寺 2019/03/18

ノジスミレの葉 鎌倉市・貞宗寺 2019/03/18

ノジスミレの葉 平塚市田村 2024/04/07

ノジスミレの葉 平塚市田村 2024/04/07

ノジスミレの葉 平塚市田村 2024/04/07

ノジスミレの葉 平塚市田村 2024/04/07

ノジスミレの三角形になる夏葉 茅ヶ崎市浜之郷 2021/11/15 ※生育状態が良いと11月に咲くことがある

#ノジスミレの三角形になる夏葉 茅ヶ崎市浜之郷 2021/11/15 ※生育状態が良いと11月に咲くことがある

ノジスミレの根 茅ヶ崎市浜之郷 2021/03/01

#ノジスミレの根 茅ヶ崎市浜之郷 2021/03/01

例外的に、全草無毛の品種ケナシノジスミレ(毛無野路菫)、側弁基部に毛が生える品種オトコノジスミレ(男野路菫)、花が白色の品種シロノジスミレ(白野路菫)、なるもの希にあり。

ノジスミレの花

日当たりの良い場所に生える野生のスミレの仲間としては一番の早咲きで、2月末には見頃を迎えるものが現れる。花の大きさはタチツボスミレ(立坪菫)やスミレ(ホンスミレ)と同程度。花色はスミレ(ホンスミレ)に比べればだいぶ色薄い、色褪せたように感じる紫色。上弁の二枚が左右に開かず、やや重なり合うように真上に反る、傾向。

ノジスミレの花 平塚市田村 2024/04/07

ノジスミレの花 平塚市田村 2024/04/07

上弁二枚が反らずに立つと、ウサギ(兎)の耳のように感じられるかもしれない。

ノジスミレの花 平塚市田村 2024/04/07

ノジスミレの花 平塚市田村 2024/04/07

ノジスミレの花 平塚市上吉沢 2025/03/26

ノジスミレの花 平塚市上吉沢 2025/03/26

花喉部(かこうぶ)、側弁の基部はふつう無毛、軽く覗き込んでも写真を撮っても花柱はよく見えない。スミレ(ホンスミレ)の側弁基部はふつう有毛である。

ノジスミレの花 茅ケ崎里山公園 2018/03/28

ノジスミレの花 茅ケ崎里山公園 2018/03/28

距(きょ、後方に突き出た部分)は、太からず、まあまあ長め。スミレ(ホンスミレ)の距は太い。

ノジスミレの距(白色矢印) 鎌倉市・浄妙寺 2025/02/27

ノジスミレの距(白色矢印) 鎌倉市・浄妙寺 2025/02/27

ノジスミレの距 平塚市田村 2024/04/07

ノジスミレの距 平塚市田村 2024/04/07

ノジスミレの距と花柄と紫色の蕾 茅ヶ崎市今宿 2024/03/28

ノジスミレの距と花柄と紫色の蕾 茅ヶ崎市今宿 2024/03/28

ノジスミレの距と花柄 茅ケ崎里山公園 2017/04/03

ノジスミレの距と花柄 茅ケ崎里山公園 2017/04/03

花柄に白く短い毛が多く生えている、というのがノジスミレのわかりやすい特徴。

ノジスミレの距と花柄 茅ヶ崎市今宿 2024/03/28

ノジスミレの距と花柄 茅ヶ崎市今宿 2024/03/28


浄妙寺(墓地西側~石窯ガーデンテラスの通路、散策路には葉形が異なり花柄無毛のコスミレもあるので混同注意)、鎌倉市・貞宗寺(庭)、茅ケ崎里山公園、茅ヶ崎市今宿(セブン-イレブン茅ヶ崎今宿東店南東向かいの月極駐車場)、平塚市田村(平塚湘風高校南方)、平塚市上吉沢

厚木市・神奈川県自然環境保全センター

参考資料

『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)

『スミレハンドブック』 山田隆彦著 文一総合出版発行(2010)

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