新鉄砲百合 ユリ目/ユリ科/ユリ属 花期/7月下旬~8月 結実期/11月
外来種改良種
生態系被害防止外来種リスト「総合対策外来種」
シンテッポウユリ 茅ヶ崎市西久保 2018/08/13
日本在来種であるテッポウユリと台湾原産の外来種タカサゴユリ(高砂百合)を交配させた園芸品種群(を元に更に交配・改良された園芸品種群)。別名ホソバテッポウユリ(細葉鉄砲百合)。テッポウユリの高い知名度および人気と純白で大輪になる花の美しさ、タカサゴユリの花期の遅さとタネを播(ま)いてからたった一年足らずで開花に至る圧倒的な成長の早さ(お盆向けに出荷する切花の生産にたいへん有利)、という双方のオイシイところを兼ね備えた製品である。その後も、花の見た目は日本人に長らく愛されてきたテッポウユリに限りなく近いものに、そしてタカサゴユリの花期の遅さ・成長の早さという特性は維持し、という路線をベースに更なる品種改良が続けられている。となると、どれがタカサゴユリで、どこからがシンテッポウユリなのか線引きすることが困難となってくる。
シンテッポウユリの見分け方
テッポウユリ
葉は幅広。
花は6月、横向きに咲く。花被片外側は白色。雄蕊(花粉)は黄色。芳香強い。
シンテッポウユリ
中間種で姿は様々。
花はやや上向きのものあり。
タカサゴユリ
葉は細い。
花は8月中旬~9月上旬、下向きに咲く。花被片外側は紫褐色(しかっしょく)を帯びる。雄蕊(花粉)は紫褐色(ないし黄色)。芳香弱い。
一昔前まではじつはすべてひっくるめてタカサゴユリと呼ばれていたが、今は逆転してすべてがシンテッポウユリと呼ばれる傾向に。
シンテッポウユリ 茅ヶ崎市西久保 2018/08/03
シンテッポウユリ(草丈1.8m) 茅ヶ崎市西久保 2018/08/13
シンテッポウユリは、テッポウユリより茎が太めで、葉が茎よりも細身なものが多い。
シンテッポウユリの葉 鎌倉市西御門・来迎寺 2017/08/19
シンテッポウユリは現在、神奈川県内のみならず全国的に帰化植物として道路沿いなどにたくさん生えてしまっている状況にある。民家で栽培されていたものが逸出したとか、ワイルドフラワー緑花工法に使われた名残りだとかいうが、そうなるに至った原因はよくわからない。保護すべき在来種など最早存在しないような都市部に多いので侵略的外来種として目の敵(かたき)にする必要は今更ないかもしれないが、他のユリと交雑してしまう可能性は問題視せざるを得ない。なおシンテッポウユリは連作に弱く、繁茂していた場所から忽然(こつぜん)と姿を消すことがあるとかないとか。
シンテッポウユリの花
シンテッポウユリ 茅ヶ崎市西久保 2018/08/03
シンテッポウユリ 茅ヶ崎市西久保 2018/08/03
シンテッポウユリ 茅ヶ崎市西久保 2018/08/03
シンテッポウユリ 茅ヶ崎市西久保 2018/08/13
#シンテッポウユリ 鎌倉市西御門・来迎寺 2017/08/19
#シンテッポウユリ 鎌倉市西御門・来迎寺 2017/08/19
#シンテッポウユリ 鎌倉市西御門・来迎寺 2017/08/19
交雑していない純粋なテッポウユリは明らかに(露地ものでは)花期が早いので(今のところ)見分けは容易。と思っていたらば、おそらくは”花が真っ白だから”という理由でだろうが、シンテッポウユリとオリエンタルユリ(オリエンタルハイブリッド、アジア原産のユリを元に作出された園芸種群)の交配種がテッポウユリとして(主に8月に)流通している模様。白くてきれいでテッポウユリと呼んでしまえばブランド力が高まってよく売れるものだからもうナンデモアリ。今後も人をあっといわせる改良品種が作出され続けるに相違ない。※本項ではテッポウユリではないテッポウユリらしき白いユリをまとめてシンテッポウユリとして掲載する。
#シンテッポウユリ 茅ヶ崎市・氷室椿庭園 2019/09/01
#シンテッポウユリ 茅ヶ崎市・氷室椿庭園 2019/09/01
シンテッポウユリの花に横向きではなくやや上向きのものがあるのは、切花用に生産された品種だから。お盆用の仏花(墓参り用の花束)にするのには上向きに咲いた方が都合がよいのだと。夏場の葬儀で祭壇を埋め尽くすよう密集させて飾り付けるのにも、お供え用あるいは観賞用のアレンジメント(生け花)としても、キク(菊)やバラ(薔薇)と合わせて非常に需要が高い。
暖秋の年は初冬(11月末~12月中旬)に狂い咲きすることがある。
シンテッポウユリの実
細身。特徴的な細い葉も残っているのではないか。
鎌倉市西御門・来迎寺、藤沢市鵠沼海岸・国道134号線沿い