タカサゴユリ

高砂百合 ユリ目/ユリ科/ユリ属 花期/8月中旬~9月上旬

外来種改良種稀少

生態系被害防止外来種リスト「総合対策外来種」

タカサゴユリ 箱根町総合体育館「星槎レイクアリーナ箱根」 2017/09/09

タカサゴユリ 箱根町総合体育館「星槎レイクアリーナ箱根」 2017/09/09

台湾原産のユリの仲間。高砂(たかさご)は、かつての台湾を表す高山国(たかさんぐん)という呼び名が転じたものに由来。タカサゴユリはすなわちタイワンユリの意である。日本在来のテッポウユリ(鉄砲百合)に似て非なるもの。背丈はより高くなるも花はやや小さめで、花被片外側が紫褐色(しかっしょく)を帯びる。雄蕊の葯(やく)に付いている花粉は(黄色のものもあるらしいが)赤みを帯びる。

タカサゴユリ 箱根町総合体育館「星槎レイクアリーナ箱根」 2017/09/09

タカサゴユリ 箱根町総合体育館「星槎レイクアリーナ箱根」 2017/09/09

タカサゴユリ 鎌倉市・円覚寺 2017/08/27

タカサゴユリ 鎌倉市・円覚寺 2017/08/27

タカサゴユリ 鎌倉市・円覚寺 2017/08/27

タカサゴユリ 鎌倉市・円覚寺 2017/08/27

成長が遅いテッポウユリと違って、タカサゴユリは種を播(ま)いてから一年足らずで開花するため切花用として生産性が高いこと。初夏咲きのテッポウユリと違ってタカサゴユリは真夏に開花するため、8月のお盆用切花として高い需要が見込めること。以上の二点からタカサゴユリが日本に導入されたのだろうが、テッポウユリの純白の美しい清楚な花が頭にある日本国内では紫褐色の筋(すじ)が入ってしまうタカサゴユリは商品価値がやや低いものとなった。そこで編み出されたのがテッポウユリとタカサゴユリの長所を兼ね備えた交配種シンテッポウユリ(新鉄砲百合)である。以後切花用栽培はシンテッポウユリに取って代わられ、タカサゴユリ(の原種とその園芸種)は急速に廃れてゆく。近年、帰化植物として道路沿いなどにたくさん生えてくるテッポウユリらしきラッパ咲きの白色ユリもおそらくシンテッポウユリだろうといわれている。本項では、背丈がやや高く、葉は細く、花期が遅めで、花はやや小さめで、やや下向きに咲き、花被片外側に紫褐色が入り、花粉が赤みを帯び、香りが弱めであるもの、ないしそれに準ずるものをタカサゴユリ(っぽいもの)として挙げる。厳密にはタカサゴユリの園芸種ないし交配種シンテッポウユリである可能性は排除しようにでもできるものではないが、原種タカサゴユリであると断定できる株が身近に(おそらくまったく)ないことも事実である。

タカサゴユリの葉 箱根町総合体育館「星槎レイクアリーナ箱根」 2017/09/09

タカサゴユリの葉 箱根町総合体育館「星槎レイクアリーナ箱根」 2017/09/09

タカサゴユリの葉 鎌倉市・円覚寺 2017/08/27

タカサゴユリの葉 鎌倉市・円覚寺 2017/08/27


円覚寺(仏殿前庭、8月上旬~中旬、背丈低い)

シンテッポウユリ

新鉄砲百合 ユリ目/ユリ科/ユリ属 花期/7月下旬~8月

外来種改良種

生態系被害防止外来種リスト「総合対策外来種」

シンテッポウユリ 鎌倉市西御門・来迎寺 2017/08/19

シンテッポウユリ 鎌倉市西御門・来迎寺 2017/08/19

日本在来種であるテッポウユリと台湾原産の外来種タカサゴユリ(高砂百合)を交配させた園芸品種群(を元に更に交配・改良された園芸品種群)。別名ホソバテッポウユリ(細葉鉄砲百合)。テッポウユリの高い知名度および人気と純白で大輪になる花の美しさ、タカサゴユリの花期の遅さとタネを播(ま)いてからたった一年足らずで開花に至る圧倒的な成長の早さ(お盆向けに出荷する切花の生産にたいへん有利)、という双方のオイシイところを兼ね備えた作品である。その後も、花の見た目は日本人に長らく愛されてきたテッポウユリに限りなく近いものに、そしてタカサゴユリの花期の遅さ・成長の早さという特性は維持し、という路線をベースに更なる品種改良が続けられている。となると、どれがタカサゴユリで、どこからがシンテッポウユリなのか線引きすることが困難となってくる。

シンテッポウユリの見分け方


テッポウユリ

葉は幅広。
花は6月、横向きに咲く。花被片外側は白色。雄蕊(花粉)は黄色。芳香強い。

シンテッポウユリ

中間種で姿は様々。
花はやや上向きのものあり。

タカサゴユリ

葉は細い。
花は8月中旬~9月上旬、下向きに咲く。花被片外側は紫褐色(しかっしょく)を帯びる。雄蕊(花粉)は紫褐色(ないし黄色)。芳香弱い。

一昔前まではじつはすべてひっくるめてタカサゴユリと呼ばれていたが、今は逆転してすべてがシンテッポウユリと呼ばれる傾向に。

シンテッポウユリ 鎌倉市西御門・来迎寺 2017/08/19

シンテッポウユリ 鎌倉市西御門・来迎寺 2017/08/19

シンテッポウユリ 鎌倉市西御門・来迎寺 2017/08/19

シンテッポウユリ 鎌倉市西御門・来迎寺 2017/08/19

シンテッポウユリ 鎌倉市西御門・来迎寺 2017/08/19

シンテッポウユリ 鎌倉市西御門・来迎寺 2017/08/19

シンテッポウユリ 鎌倉市西御門・来迎寺 2017/08/19

シンテッポウユリ 鎌倉市西御門・来迎寺 2017/08/19

シンテッポウユリは、テッポウユリより茎が太めで、葉が茎よりも細身なものが多い。

シンテッポウユリの葉 鎌倉市西御門・来迎寺 2017/08/19

シンテッポウユリの葉 鎌倉市西御門・来迎寺 2017/08/19

交雑していない純粋なテッポウユリは明らかに(露地ものでは)花期が早いので(今のところ)見分けは容易。と思っていたらば、おそらくは”花が真っ白だから”という理由でだろうが、シンテッポウユリとオリエンタルユリ(オリエンタルハイブリッド、アジア原産のユリを元に作出された園芸種群)の交配種がテッポウユリとして(主に8月に)流通している模様。白くてきれいでテッポウユリと呼んでしまえばブランド力が高まってよく売れるものだからもうナンデモアリ。今後も人をあっといわせる改良品種が作出され続けるに相違ない。

シンテッポウユリは現在、神奈川県内のみならず全国的に帰化植物として道路沿いなどにたくさん生えてしまっている状況にある。民家で栽培されていたものが逸出したとか、ワイルドフラワー緑花工法に使われた名残りだとかいうが、そうなるに至った原因はよくわからない。保護すべき在来種など最早存在しないような都市部に多いので侵略的外来種として目の敵(かたき)にする必要は今更ないかもしれないが、他のユリと交雑してしまう可能性は問題視せざるを得ない。なおシンテッポウユリは連作に弱く、繁茂していた場所から忽然(こつぜん)と姿を消すことがあるとかないとか。

シンテッポウユリの花に横向きではなくやや上向きのものがあるのは、切花用に生産された品種だから。お盆用の仏花(墓参り用の花束)にするのには上向きに咲いた方が都合がよいのだと。夏場の葬儀で祭壇を埋め尽くすよう密集させて飾り付けるのにも、お供え用あるいは観賞用のアレンジメント(生け花)としても、キク(菊)やバラ(薔薇)と合わせて非常に需要が高い。


鎌倉市西御門・来迎寺、藤沢市鵠沼海岸・国道134号線沿い

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