セイタカアワダチソウ

背高泡立草 キク目/キク科/アキノキリンソウ属 花期/10月中旬~11月 結実期/11月~12月
学名/Solidago altissima L.

外来種駆除

外来生物法「要注意外来生物」(廃止)
生態系被害防止外来種リスト「重点対策外来種」
日本生態学会「日本の侵略的外来種ワースト100」

セイタカアワダチソウ 茅ヶ崎市西久保 2018/10/15

セイタカアワダチソウ 茅ヶ崎市西久保 2018/10/15

北米原産の多年草。秋になるとそこかしこで背高な雑草が群生しては黄色い花を咲かせてる、誰もが見て知っているアレ。侵略的外来種として必ずこの名が挙げられるほどの悪しき筆頭格で、荒れ地や河川敷などで大群落を形成していることが多い。昭和時代(-1989)は市街地の道端などにも多く生えていたが、それを思えば現在はこれでも”減った”方である。茎一本を分岐させることなく直立させて、草丈は環境により差異大きいがおよそ1mから2mを超えてくる。おもしろいことに、一つの群落では成長具合に差異が出ず、どの茎も同じ時期に同じ背丈に一斉に揃えて伸びてくる。多年草なので生命力が強く、刈っても刈っても復活して生えてきて、その場合は近似の在来種である野草アキノキリンソウ(秋の麒麟草)と紛らわしいやや小振りな姿で花まで咲かせてくる。名は、背高に育ち、むくむくと泡立つような様子で花を咲かせるまたは白い実を付けるものの意。前述の通り、近年はその侵略性に落ち着きがみられ、毎年毎年増殖するどころか、特に市街地ではかえって少しずつ数を減らしているかもしれないという印象さえ受けるようになってきた。在来種も外来種も区別することなく草地一切を丸禿げにせんとする容赦ない刈払い作業の成果の一つなのだろうか。『神奈川県植物誌2018』はさび病や、北米原産の帰化種セイタカアワダチソウヒゲナガアブラムシ(背高泡立草背高泡立草髭長油虫)、同じくアワダチソウグンバイ(泡立草軍配)といった害虫による影響が表れ始めたことを原因に挙げている。そうはいっても荒地等では今なお群生しており、よく見かける普通種。

セイタカアワダチソウの群生 平塚市・馬入水辺の楽校 2017/10/10

セイタカアワダチソウの群生(白い穂はオギ) 平塚市・馬入水辺の楽校 2017/10/10

セイタカアワダチソウの群生 茅ヶ崎市行谷 2018/10/20

セイタカアワダチソウの群生 茅ヶ崎市行谷 2018/10/20

セイタカアワダチソウの群生 茅ヶ崎市行谷 2018/10/20

セイタカアワダチソウの群生 茅ヶ崎市行谷 2018/10/20

幹線道路沿いの舗装隙間に生えたセイタカアワダチソウ 寒川町田端・湘南銀河大橋東側 2018/10/31

幹線道路沿いの舗装隙間に生えたセイタカアワダチソウ 寒川町田端・湘南銀河大橋東側 2018/10/31

花が咲いていないとそれとわかりづらいが、密に群生していて、草丈がおよそ揃っているのが特徴。

開花前のセイタカアワダチソウ 茅ヶ崎市萩園・相模川土手 2018/08/04

開花前のセイタカアワダチソウ 茅ヶ崎市萩園・相模川土手 2018/08/04

特に初夏、真っ赤な体色のアブラムシ(セイタカアワダチソウヒゲナガアブラムシ)が茎上部に密生するので、花がない時期に除草をする際はこれを目印にセイタカアワダチソウを引っこ抜くとよい。大きく成長してからでも、特に女性はやや難儀はするだろうが、いちおう手で引っこ抜くことは可能。

葉は互生で、茎に等間隔に多数付く。サメ肌のようにざらざら。特に葉先から基部側へ向けて撫でると強くざらつく。縁(ふち)も棘(とげ、植物学では「刺」と表記される)状の短い毛が密に葉先方向に向かって生えており、逆に撫でるとざらざらがりがり引っかかる。無柄(むへい)。アキノキリンソウであれば葉柄(ようへい)と葉身(ようしん)が分かれており、葉柄には明確な翼(よく)がある。

セイタカアワダチソウ(一度刈られた個体と思われる)の葉 茅ヶ崎市今宿・小出川 2020/09/17

セイタカアワダチソウ(一度刈られた個体と思われる)の葉 茅ヶ崎市今宿・小出川 2020/09/17

初秋のセイタカアワダチソウ、だいたい葉は荒れて傷んでいる 寒川町大曲 2020/09/15

初秋のセイタカアワダチソウ、だいたい葉は荒れて傷んでいる 寒川町大曲 2020/09/15

初秋のセイタカアワダチソウの痛み気味の葉 寒川町大曲 2020/09/15

初秋のセイタカアワダチソウの痛み気味の葉 寒川町大曲 2020/09/15

セイタカアワダチソウの葉の基部 藤沢市遠藤 2024/11/13

セイタカアワダチソウの葉の基部 藤沢市遠藤 2024/11/13

セイタカアワダチソウの花

近似種オオアワダチソウ(大泡立草)とほぼ同型の、お馴染みの黄色い花序を咲かせる。オオアワダチソウよりも花序はぴんと上向きに直立する傾向が強い。なお両者は混同しようがないレベルで開花時期がまったく異なり、オオアワダチソウは夏の花、セイタカアワダチソウは秋に咲く花。10月・11月に咲いていればセイタカアワダチソウである。

咲き始めのセイタカアワダチソウ 静岡県熱海市上多賀・頼朝ライン 2016/10/04

咲き始めのセイタカアワダチソウ 静岡県熱海市上多賀・頼朝ライン 2016/10/04

セイタカアワダチソウ 平塚市・馬入水辺の楽校 2017/10/10

セイタカアワダチソウ 平塚市・馬入水辺の楽校 2017/10/10

セイタカアワダチソウ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2017/10/12

セイタカアワダチソウ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2017/10/12

セイタカアワダチソウ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2016/10/16

セイタカアワダチソウ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2016/10/16

セイタカアワダチソウ 茅ヶ崎市西久保 2018/10/15

セイタカアワダチソウ 茅ヶ崎市西久保 2018/10/15

セイタカアワダチソウ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2016/10/16

セイタカアワダチソウ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2016/10/16

セイタカアワダチソウ(の遅れ花)の小花 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2017/11/12

セイタカアワダチソウ(の遅れ花)の小花 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2017/11/12

暖秋・暖冬だと、12月上旬などにも第二陣の花が咲くことも。その場合は草丈は低い貧相な姿で見かけることになるだろう。

アキノキリンソウみたいな姿で生えていた、刈払いから復活したセイタカアワダチソウ 茅ヶ崎市 2020/12/12

アキノキリンソウみたいな姿で生えていた、刈払いから復活したセイタカアワダチソウ 茅ヶ崎市 2020/12/12

アキノキリンソウみたいな姿で生えていた貧相なセイタカアワダチソウ 横浜市金沢区・金沢自然公園 2020/12/15

アキノキリンソウみたいな姿で生えていた貧相なセイタカアワダチソウ 横浜市金沢区・金沢自然公園 2020/12/15

アキノキリンソウみたいな姿のセイタカアワダチソウ 藤沢市遠藤 2024/11/13

アキノキリンソウみたいな姿のセイタカアワダチソウ 藤沢市遠藤 2024/11/13

本種がブタクサと呼ばれてしまうことがあるが、完全な誤解。花粉症の原因にもなる外来種として悪名高いブタクサ(豚草)ないしオオブタクサ(大豚草)は本種でない。姿もぜんぜん似ていない。セイタカアワダチソウは(花粉症の季節に目立って咲いているだけで)花粉症の原因にはならない。セイタカアワダチソウは虫媒花(ちゅうばいか、花粉は虫に運ばせる型の花)なので花粉を風に乗せて飛ばすことはないといわれ、これがセイタカアワダチソウの花粉だとされる顕微鏡写真も見たことがあるのだが、はて、そもそも私はセイタカアワダチソウの花粉とやらを見たことがない。花を揺らしてみても手で掴(つか)んでごにょごにょ揉みほぐしてみても、花粉と思しき粉ないし粒は一個たりとも見つからないのである。

侵略的外来種として駆除されるべき植物だが、秋の蜜源として重宝していると、養蜂家(ようほうか)だけはセイタカアワダチソウを擁護する。

セイタカアワダチソウの実

種子(のように見える痩果(そうか))に白っぽい冠毛が付いたもの、が無数に密集している。

セイタカアワダチソウの実 茅ヶ崎市行谷 2018/11/24

セイタカアワダチソウの実 茅ヶ崎市行谷 2018/11/24

セイタカアワダチソウの実 茅ヶ崎市浜之郷 2020/12/12

セイタカアワダチソウの実 茅ヶ崎市浜之郷 2020/12/12

セイタカアワダチソウの実 茅ヶ崎市西久保 2020/12/12

セイタカアワダチソウの実 茅ヶ崎市西久保 2020/12/12

セイタカアワダチソウの実 茅ヶ崎市西久保 2020/12/12

セイタカアワダチソウの実 茅ヶ崎市西久保 2020/12/12

セイタカアワダチソウの実 茅ヶ崎市西久保 2020/12/12

セイタカアワダチソウの実 茅ヶ崎市西久保 2020/12/12

セイタカアワダチソウの実 茅ヶ崎市行谷 2018/11/24

セイタカアワダチソウの実 茅ヶ崎市行谷 2018/11/24

セイタカアワダチソウの実 茅ヶ崎市行谷 2018/11/24

セイタカアワダチソウの実 茅ヶ崎市行谷 2018/11/24


馬入水辺の楽校

参考資料

『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)

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オオアワダチソウ

アキノキリンソウ

ブタクサ

オオブタクサ