ブタクサ

豚草 キク目/キク科/ブタクサ属 花期/8月中旬~9月中旬 結実期/10月~11月
学名/Ambrosia artemisiifolia L.

花粉症外来種駆除

外来生物法「要注意外来生物」(廃止)

ブタクサ 逗子市・池子の森自然公園 2023/08/12

ブタクサ 逗子市・池子の森自然公園 2023/08/12

河川敷や荒地など日当たりの良いやや乾いたところに特に好んで生える、あるいは草地の縁(ふち)に生える、北米原産の一年草。侵略的外来種に位置付けられる帰化雑草である。戦後(1946-)日本に広まってしまったらしい。名は、英名ホグウィード(ホッグウィード、Hogweed、ブタの草)を直訳したもの。大きなブタが好んで食べる大型の草の意であるが、ホグウィードはふつうハナウド(花独活)の仲間をいうものであって、本種の英名はラグウィード(Ragweed、葉がぼろ切れのような形に見える草)という。外観などにブタっぽい要素はない。「花粉症の原因になる植物」として絶大な知名度を誇るが、逆に、どれがブタクサという植物であるのかを正確に知っている人はほとんどいない切望的な理解度の低さも併せ持っている、変なやつ。世間一般がブタクサと信じて嫌っているそれは本種とは縁もゆかりも似てもないセイタカアワダチソウ(背高泡立草)である。また、泥が堆積した川の中州など湿った場所を特に好んで大群生している巨大草で、俗にブタクサと呼ばれてしまうこともあるそれは同属の別種オオオブタクサ(大豚草)であって、本種ではない。在来の生態系に悪影響を及ぼす侵略性はオオブタクサの方が格段に上で、それに比べれば本種は”たいしたことない”という認識になったのか(要注意外来生物を解消し発展させた)生態系被害防止外来種リストからは除外された。神奈川県内では丹沢などの深山(みやま)を除いてほぼ全域に分布があるも、湘南・鎌倉・三浦半島では、市街地で、道路沿いで、空き地で、丘陵地を通るハイキングコース沿いで、ぜんぜん見かけない。ひょんなところに珍しく数本生えていることはあるもだいぶ希。ただ、もしかしたら夏の前後に実施される機械を使った刈払いで徹底して刈られて人目に付かなくなっているだけという可能性も。なお大群生地あり、草地の縁、通路の際という植物にとって絶好の場所を占拠してしまうので、希少植物の生息地では問題が極めて大きいことに変わりない。

園路沿いに生えたブタクサ 横浜市緑区・四季の森公園 2023/07/21

園路沿いに生えたブタクサ 横浜市緑区・四季の森公園 2023/07/21

成長途中のブタクサ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2023/08/06

成長途中のブタクサ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2023/08/06

ブタクサの小さな株 逗子市・池子の森自然公園 2023/08/12

ブタクサの小さな株 逗子市・池子の森自然公園 2023/08/12

ブタクサの小さな株 箱根町・仙石原すすき草原 2023/08/04

ブタクサの小さな株 箱根町・仙石原すすき草原 2023/08/04

やや小さめなブタクサ 逗子市・池子の森自然公園 2017/08/27

やや小さめなブタクサ 逗子市・池子の森自然公園 2017/08/27

満開のブタクサ 逗子市・池子の森自然公園 2017/08/27

満開のブタクサ 逗子市・池子の森自然公園 2017/08/27

草丈は、生育環境などにより個体差甚だ大きく、貧弱なもので高さ10cm程度、すくすく育って巨大化すれば女性の背丈近く1.5mにも成長する。良く生育すると長い枝をたくさん伸ばしてこんもりとした姿になるので、一株で鬱蒼(うっそう)とした雰囲気を醸し出す。この植物の恐ろしいところは、たかだか10cmにしかならなかった個体でさえ時期になればしっかり花を咲かせてタネを作らんとする繁殖力の高さかもしれない。

花を付けた貧相な(人に踏まれて汚い)ブタクサ 箱根町・仙石原すすき草原 2023/08/04

花を付けた貧相な(人に踏まれて汚い)ブタクサ 箱根町・仙石原すすき草原 2023/08/04

大きく成長したブタクサ 逗子市・池子の森自然公園 2023/08/12

大きく成長したブタクサ 逗子市・池子の森自然公園 2023/08/12

ブタクサの大株(一株)、高さ1.4m×幅1.4m 茅ヶ崎市浜之郷 2023/09/07

#ブタクサの大株(一株)、高さ1.4m×幅1.4m 茅ヶ崎市浜之郷 2023/09/07

葉は、下部で対生、上部で互生。一回ないし二回羽状に深裂する。ぱっと見はヨモギ(蓬)と紛らわしい。キバナコスモス(黄花秋桜)にも似るか。オオブタクサは葉の形状が全く異なるので見分けは簡単。

ブタクサの葉 逗子市・池子の森自然公園 2023/08/12

ブタクサの葉 逗子市・池子の森自然公園 2023/08/12

ブタクサの葉 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2023/07/18

ブタクサの葉 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2023/07/18

ブタクサの大株の、成人男性の親指くらいの太さがある茎、枝は細い 茅ヶ崎市浜之郷 2023/09/07

#ブタクサの大株の、成人男性の親指くらいの太さがある茎、枝は細い 茅ヶ崎市浜之郷 2023/09/07

ブタクサの花

茎や枝の先端(最上部)で咲く。穂状(すいじょう)に目立つものが大量の花粉を飛散させ花粉症の問題を引き起こす雄花序。スギ(杉)、ヒノキ(檜)に次いで、(オオブタクサを含めた)ブタクサ類は花粉症の原因第三位。雌花はまったく目立たないが、雄花序の直下にある葉の葉腋(ようえき)にひっそりとあり、よく見ると長めの二裂した雌蕊がにょろっと飛び出ている。

ブタクサ 逗子市・池子の森自然公園 2017/08/27

ブタクサ 逗子市・池子の森自然公園 2017/08/27

ブタクサ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2023/08/06

ブタクサ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2023/08/06

ブタクサ 逗子市・池子の森自然公園 2023/08/12

ブタクサ 逗子市・池子の森自然公園 2023/08/12

ブタクサ 逗子市・池子の森自然公園 2017/08/27

ブタクサ 逗子市・池子の森自然公園 2017/08/27

ブタクサの雄花(開花直前)と雌花 逗子市・池子の森自然公園 2023/08/12

ブタクサの雄花(開花直前)と雌花 逗子市・池子の森自然公園 2023/08/12

ブタクサの雄花(開花直前) 箱根町・仙石原すすき草原 2023/08/04

ブタクサの雄花(開花直前) 箱根町・仙石原すすき草原 2023/08/04

雄花は咲きそうでなかなか咲かず、花粉を放出するようになるのは9月に入ってから。花粉の量は思ったほど多くない。といっても多数の株がまとまって生えた群落ならば花粉の総量は相当なものになるだろうが。

ブタクサの花粉放出中の雄花 茅ヶ崎市浜之郷 2023/09/07

#ブタクサの花粉放出中の雄花 茅ヶ崎市浜之郷 2023/09/07

ブタクサの花粉放出中の雄花 茅ヶ崎市浜之郷 2023/09/07

#ブタクサの花粉放出中の雄花 茅ヶ崎市浜之郷 2023/09/07

ノギクに降り注いだブタクサの花粉 茅ヶ崎市浜之郷 2023/09/07

#ノギクに降り注いだ#ブタクサの花粉 茅ヶ崎市浜之郷 2023/09/07

ブタクサの雌花 逗子市・池子の森自然公園 2023/08/12

ブタクサの雌花 逗子市・池子の森自然公園 2023/08/12

ブタクサの雌花 逗子市・池子の森自然公園 2023/08/12

ブタクサの雌花 逗子市・池子の森自然公園 2023/08/12

ブタクサ 逗子市・池子の森自然公園 2017/08/27

ブタクサ 逗子市・池子の森自然公園 2017/08/27

雌花しかない個体が出現するようで、メブタクサ(雌豚草)と呼び分けられることがある。


横浜市栄区・横浜自然観察の森(ピクニック広場に多い、刈られる)

横浜市緑区・四季の森公園(春の草原、刈られる)

池子の森自然公園(北側出入口付近に多い、刈られる)

茅ヶ崎市矢畑・千ノ川(県道45号線新千ノ川橋以東、護岸のコンクリート化工事で滅したか)

箱根町・台ヶ岳・仙石原高原「すすき草原」(遊歩道沿いに多い)

参考資料

『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)

関連記事 – 仲間・似ている・紛らわしい

メブタクサ

オオブタクサ

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ヨモギ

ブタナ