ひっつき虫

被害時期/10月~2月

スニーカーにひっつき虫 秦野市・葛葉緑地 2019/11/10

スニーカーにひっつき虫 秦野市・葛葉緑地 2019/11/10

荒地や草地にずけずけ足を踏み入れるとズボンや靴下に大量にひっついて(くっついて)来る厄介な雑草の実やタネを俗に”ひっつき虫(くっつき虫)”などという。地方によっては”泥棒”や”泥棒草”と呼ぶこともあるらしい。無意識ながら勝手に持って来てしまった様子を手癖の悪い泥棒に喩(たと)えて揶揄(やゆ)した呼び名か。

衣服にひっついてとにかく迷惑を被るが、本来は動物の体毛に付着してタネを広範に運ばせるための仕組みである。この仕組みは実際によく機能していて、あちこちで旺盛に繁る迷惑雑草になっている。

荒地や草地に近づかない、毛糸生地などけばけばした靴下やズボンを着用しない、植物観察する際にはひっつき虫を除去するための強力なガムテープを持参する、など対策は講じられるも、結局最後は一粒一粒ちまちまと指で摘まんで取り去る以外にはない。

オオオナモミの実

大葈耳 キク目/キク科/オナモミ属 花期/7月中旬~9月 結実期/8月~10月

外来種駆除

外来生物法「要注意外来生物」(廃止)
生態系被害防止外来種リスト「総合対策外来種」
日本生態学会「日本の侵略的外来種ワースト100」

昭和時代(-1989)のひっつき虫の代表格。一般的にオナモミ(葈耳)と呼ばれているものは正しくはオオオナモミ(大葈耳)という植物の実である。子供の頃にこれを投げ合って遊んだ子供も多いだろう。セーターなどを着ているとぴとっとよくくっついて楽しい。実が大きくて付着する個数も少ないため取り除くのは比較的容易で、”嫌われ度”は低め。とげとげした見た目ながらつまんでも痛いものではない。

コセンダングサの実

小栴檀草 キク目/キク科/センダングサ属 花期/7月~12月 結実期/10月~1月

危険外来種駆除

外来生物法「要注意外来生物」(廃止)

緑色の若い実はオオオナモミ(大葈耳)同様子供のおもちゃとなっていいのだが、棘の一本一本に”かえし”があるため、口に釣り針が突き刺さって抜けなくなった魚と同じで、茶色く完熟すると衣服や靴下にぶすりと刺さって簡単には抜けなくなってかなり厄介。靴下などに棘のかすが残存してしまうといつまでもちくちくして痛い。

コセンダングサの実に翅が刺さってしまったトンボ、ある意味ほんとのひっつき虫 茅ヶ崎市浜之郷 2018/11/27

コセンダングサの実に翅が刺さってしまったトンボ、ある意味ほんとのひっつき虫 茅ヶ崎市浜之郷 2018/11/27

チヂミザサの実

縮み笹 イネ目/イネ科/チヂミザサ属 花期/8月下旬~10月 結実期/9月~11月

危険自生種

なんだか足元がちくちくするなぁ、と思ったら毛足の長い芒(のぎ、ちょろ毛)があるイネ科のタネが靴の紐(ひも)から靴下からズボンの裾(すそ)から上着の袖(そで)からカバンに至るまでびっしり付着していて手で払ってもぜんぜん落ちないわ指で一粒一粒つまみ取るとか面倒臭いことこの上ないわ粘着物質が出ているせいで服も指もべったべたになるわ芒は結局服に刺さったまま取れずに残るわ、残った芒はいつまでもちくちくちくちく気になるわで、もう最低最悪なひっつき虫がこのチヂミザサ。

いつの間にかズボンにひっついていたチヂミザサの実 茅ヶ崎市・清水谷 2016/10/25

いつの間にかズボンにひっついていたチヂミザサの実 茅ヶ崎市・清水谷 2016/10/25

ズボンの裾にひっついたコチヂミザサの実 藤沢市・新林公園 2019/11/16

ズボンの裾にひっついたコチヂミザサの実 藤沢市・新林公園 2019/11/16

チヂミザサは丈が低く人の足首から脛(すね)程度。従って草地では他の大型雑草に隠れてチヂミザサがそこにあったことさえ気づかないまま、餌食に。ガムテープで引っぺがすと良い。

チカラシバの実

力芝 イネ目/イネ科/チカラシバ属 花期/9月中旬~10月 結実期/11月~12月

危険自生種

毛が長いのが大きな特徴。毛糸生地の衣服に大量に絡まると非常に厄介であるが、そうでもない限りは意外と払えば簡単に落ちる。

ヌスビトハギの実

盗人萩 マメ目/マメ科/ヌスビトハギ属 花期/8月下旬~9月上旬 結実期/9月~10月

危険自生種稀少保護

意外と迷惑なのがヌスビトハギ。見た目は何てことはなさそうな姿だが表面がマジックテープのようになっておりぴとっとくっ付いて離れない。貼り付き能力は強力。十個ニ十個まとめて付くこともあるが、勝手に自然にぽろっと落ちてなくなることはあまり期待できないので一つ一つ丁寧につまんで剥ぎ取ってやらなければならない。タオルに付着したものを適当に剥ぎ取るとパイル抜けの原因にも。気づかず家まで付いてくる、洗濯しても落ちずに付いたまま。

靴に付着していたヌスビトハギの実 秦野市・葛葉緑地 2019/11/10

靴に付着していたヌスビトハギの実 秦野市・葛葉緑地 2019/11/10

ズボンのポケットに突っ込んでいたタオルに付着したヌスビトハギの実 茅ヶ崎市・清水谷 2016/10/25

ズボンのポケットに突っ込んでいたタオルに付着したヌスビトハギの実 茅ヶ崎市・清水谷 2016/10/25

イノコヅチの実

猪子槌 ナデシコ目/ヒユ科/イノコヅチ属 花期/8月~9月

自生種

靴下やズボンの裾(すそ)に芒(のぎ、ちょろ毛)のない小さな実が多数付着していたら犯人はイノコヅチだろう。繊維に絡みついたり靴の中にまで入り込んだりして厄介だが、突き刺さる力は弱く粘着物質も出さないので払えば落ちる。取り除くのは比較的容易な方。

ジャージに引っ付いたヒカゲイノコヅチ(イノコヅチ)の実 秦野市・葛葉緑地 2019/11/10

ジャージに引っ付いたヒカゲイノコヅチ(イノコヅチ)の実 秦野市・葛葉緑地 2019/11/10

ガンクビソウの実

雁首草 キク目/キク科/ガンクビソウ属 花期/9月中旬~10月 結実期/10月~11月

薬用自生種保護

種子(のように見える痩果(そうか))が粘液で少々べたつくため、衣服などにぺとっとくっ付いてくることがある。しつっこい強力な粘性はないので手で払えば落ちるだろう。またガンクビソウ自体、その辺に多く生えているわけではない。

ズボンに付着したガンクビソウの種子 藤沢市・新林公園 2019/11/16

ズボンに付着したガンクビソウの種子 藤沢市・新林公園 2019/11/16

ミズヒキの実

水引 ナデシコ目/タデ科/イヌタデ属 葉の斑紋/5月~7月 花期/8月~10月 見頃/8月末~9月上旬 結実期/10月中旬~11月

自生種

実から突き出た花柱の残骸が鉤(かぎ、フック)状になっており、これが衣服に引っかかる。手で払えば簡単に落ちてくれるだろう。

ジャージに引っかかったミズヒキの実 秦野市・葛葉緑地 2019/11/10

ジャージに引っかかったミズヒキの実 秦野市・葛葉緑地 2019/11/10

ハエドクソウの実

蠅毒草 シソ目/ハエドクソウ科/ハエドクソウ属 花期/7月~8月

有毒危険自生種

指に張り付いたハエドクソウの若い実 横浜市戸塚区・俣野園 2017/08/19

指に張り付いたハエドクソウの若い実 横浜市戸塚区・俣野園 2017/08/19

オカダイコンの実

丘大根 キク目/キク科/ヌマダイコン属 花期/10月~11月上旬 結実期/11月

自生種稀少保護

種子(のように見える痩果(そうか))が粘液まみれで、強力にべったべった貼り付きよく粘る。棘で刺さるわけではないので素肌にも平気でひっつく。あくどいやり口で付着してくるかなり迷惑なやつながら、オカダイコンそのものがそこいらに生えていないので被害に遭うことはまずなかろう。

オカダイコンの種子 横須賀市・衣笠山公園 2016/11/06

オカダイコンの種子 横須賀市・衣笠山公園 2016/11/06

よく粘るオカダイコンの種子 横須賀市・衣笠山公園 2016/11/06

よく粘るオカダイコンの種子 横須賀市・衣笠山公園 2016/11/06

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