水引 ナデシコ目/タデ科/イヌタデ属 葉の斑紋/5月~7月 花期/8月~10月 見頃/8月末~9月上旬 結実期/10月中旬~11月
学名/Persicaria filiformis (Thunb.) Nakai ex W.T.Lee
自生種
ミズヒキ 茅ヶ崎市柳島 2016/09/12
林床に生える多年草。日当たり良い方が生育も良いとのことだが、自然界では林内の日陰に生えている。水引というのは祝儀袋などを縛るように付けられている紅白の飾り紐(ひも)のこと。植物のミズヒキも茎が細い一直線の紐状で、そこに小さいながら紅白の花を咲かせる。神奈川県内では丘陵地や山地の林の中、ハイキングコース沿いなどでたくさん見られる普通種。鎌倉の社寺境内にも多い。
ミズヒキ 横浜市緑区・四季の森公園 2021/07/10
ミズヒキ 大磯町・高麗山公園 2017/08/19
ミズヒキの、茎上部まで一定の間隔を空けて付く互生の葉 鎌倉市浄明寺 2019/08/11
ミズヒキの葉 鎌倉市浄明寺 2019/08/11
ミズヒキの初夏の葉には八の字形(V字形)に斑紋が入ることがある。
ミズヒキの葉の斑紋 横須賀市・くりはま花の国 2017/05/02
斑紋は紫褐色と聞いているが、濃い緑色に染まっているものがあるのは何者か。
ミズヒキの葉の斑紋 鎌倉市・妙本寺 2016/09/12
ミズヒキの茎の切断面、茎は硬くて中実 鎌倉市浄明寺 2019/08/11
近似種にシンミズヒキ(新水引)なるものあり。葉が短い間隔にまとまって付き、葉両面の毛は少なく、葉先端は長めに尖り、八の字形(V字形)斑紋は入らず、茎は中空。花が密に数多くびっしり付いている、といわれるが見分けの決定打にならない。湘南・鎌倉・三浦半島にも自生がまったくないわけではないらしいが、それっぽいのは数多あれど、決定的にシンミズヒキであると断定できるものに出会えた試しがない。県北部には多くあるらしい。
ミズヒキの花
ミズヒキ自体は珍しいものではまったくないのだが、ちょうど花開いているものは意外と見ない。晩夏に咲く傾向が強いか。
珍しく多くの花を咲かせているミズヒキ 茅ヶ崎市柳島 2016/09/12
人間目線で上から観察しているとなかなか気づかないが、5mmほどの小花を一つ一つよく見ると上半分が赤で下は白色と、紅白になっている。
赤が入らない白花種をギンミズヒキ(銀水引)と呼ぶ。キンミズヒキ(金水引)はまったくの別種。赤花と白花が混じって咲くならゴショミズヒキ(御所水引)という。
ミズヒキの実
丸っこい蕾らしきものの先端から花柱がちょろっと出ているものは、もう花が咲き終わった実だろう。実は外観からはわからないが、中で種子が形成されて硬いものに変わってゆく。実の色はふつう赤。
ミズヒキの紅白に色づいた実 箱根町・湖尻・箱根ビジターセンター・ツツジの花壇に 2017/09/09
実はやや膨らんで熟す。花柱の残骸が鉤(かぎ、フック)状になっており、ひっつき虫となる。ちょこっと引っかかっているだけなので払えば簡単に落ちてくれる。
実が熟してきた頃のミズヒキ 秦野市・葛葉緑地 2019/11/10
横浜市栄区・横浜自然観察の森(ミズキの道15~16に白)
#荏柄天神社(社頭)、#安国論寺、#海蔵寺(白も)、#光則寺(白も)、#成就院、#常楽寺、高麗山公園
はやま三ヶ岡山緑地(あじさいコース)、鎌倉中央公園(山崎口入って東へ)
参考資料
『神奈川県植物誌2001』 神奈川県植物誌調査会編集 神奈川県立生命の星・地球博物館発行(2001)