鵯上戸 ナス目/ナス科/ナス属 花期/8月中旬~9月上旬 結実期/10月~11月中旬
学名/Solanum lyratum Thunb.
有毒薬用自生種
ヒヨドリジョウゴの実 高麗山公園 2015/11/11
林縁などの直射日光があまり当たらない半日陰ないし明るい日陰に生える、蔓性の多年草。暗い林内でも幼株を見かけるので耐陰性は高いと思われる。茎は直線的に長く伸び、周囲の草木に寄りかかり、枝を引っかけつつ絡まって、高さ2mくらいは平気で登る。神奈川県内では、深山を除いて全域に多く分布するありふれた普通種。蔓植物なので人手が加わる場所では刈り払われてしまいやすい。別名ホロシ(保呂之、桯)。赤い実が、蕁麻疹(じんましん)などで皮膚にできた赤い発疹(ほっしん)を意味する疿子(ほろし、ほろせ)に見立てられたらしい。
ヒヨドリジョウゴの幼株 横須賀市・観音崎公園 2024/06/14
ヒヨドリジョウゴの若株 茅ヶ崎市・清水谷 2023/05/24
実が熟し始めたヒヨドリジョウゴ 横浜市緑区・JR横浜線「中山」駅~四季の森公園 2020/11/01
茎など全体的に腺毛(せんもう)に覆われており、見た感じけばけば。葉も多毛なので触るとふかふかでとってもやわらか、かつ、べたつく。というのが本種の大きな特徴。蔓性の近似種に山地に生えるマルバノホロシ(丸葉保呂之)とヤマホロシ(山保呂之)があるも共に基本的に無毛である。
ヒヨドリジョウゴの葉 茅ヶ崎市柳島・柳島キャンプ場周辺 2017/10/10
葉は互生。葉身の形状は安定せずに様々で、積極的に三裂ないし五裂する。
#ヒヨドリジョウゴの葉 大和市・泉の森 2023/06/13
#ヒヨドリジョウゴの葉 大和市・泉の森 2023/06/13
ヒヨドリジョウゴの花
花はナス科らしい姿ながら、花弁は強く反り返るものが多い。花色は薄紫ないし白。雄蕊が黄色一色ではなく濃い赤紫色を帯びるのが特徴(ほぼ黄色一色のものもある)。
ヒヨドリジョウゴ 茅ヶ崎市柳島 2016/09/12
ヒヨドリジョウゴ 茅ヶ崎市・神奈川県藤沢土木事務所汐見台庁舎海浜自然生態園 2019/09/25
ヒヨドリジョウゴ 茅ヶ崎市・小和田浜公園 2019/09/25
ヒヨドリジョウゴ 高麗山公園 2017/08/19
ヒヨドリジョウゴ 小田原市上曽我・須賀神社 2024/09/14
ヒヨドリジョウゴの実
秋にプチトマト(トマトも同じナス科)のような照りのある赤色のかわいらしい実を複数ぶら下げる。この小指の爪ほどの大きさの実を鳥のヒヨドリが好んで食べるとされる名だが、食べられることなく冬まで残る。
ヒヨドリジョウゴの若い実 茅ヶ崎市柳島・柳島キャンプ場周辺 2017/10/10
ヒヨドリジョウゴの実 茅ヶ崎市柳島 2015/11/27
ヒヨドリジョウゴの実 茅ヶ崎市柳島 2015/11/27
ヒヨドリジョウゴの実 辻堂海岸なぎさ散歩道 2015/11/21
似たような感じの赤い実にハダカホオズキ(裸酸漿)などもあるが、蔓植物でない。なお野良に生えているトマトのような赤い実は、本種も含めて有毒なものが多いので、食べてはいけない。
城ヶ島(ウミウ展望台~馬の背洞門)、観音崎公園(旧東京湾海上交通センター~観音埼灯台、など)、鎌倉中央公園、茅ヶ崎市柳島(海岸と柳島キャンプ場の間、キャンプ場北側)、高麗山公園
光明寺裏(内藤家墓地東向かいの山斜面やや高所に多数)、鎌倉市腰越・小動神社(白花)
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)