裸酸漿、裸鬼灯 ナス目/ナス科/ハダカホオズキ属 花期/7月下旬~9月 結実期/10月中旬~12月上旬
学名/Tubocapsicum anomalum (Franch. & Sav.) Makino
有毒自生種稀少保護
ハダカホオズキ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2020/09/11
丘陵地や山地の、日陰あるいは半日陰の林内や林縁に生える多年草。あまり日当たりの良くない場所を好む故か、枝を横に横に広げて葉が日光に当たる可能性を高めるような姿に育つ。草丈は1m超くらいまで。前述の通り、高さ以上に横幅があり、とにかく場所を取る。それ故に人の手がよく入る場所では邪魔な大型雑草として刈払いの被害に遭うこともしばしば。そうでなくとも(多年草でありながら)数年で姿を消す怪事件を多発させている。前来たときはこの辺にあったはずなのに翌年再訪したらばどこへ行ってしまったのだろう姿が見えない、なんていうことはよくある話。もしかしたら連作障害を起こしているのかも。実が赤く熟していれば人目に留まるが、そうでなければ一般の人にとってはまさにでかいだけの雑草で、特に目立った特徴はないため見付け出すのは意外と難しいかも。よく見れば花も実もかわいらしいため山野草好きな人からは、イガホオズキ(毬酸漿)などの近似種と併せて人気が高い植物の一つ。神奈川県内広域に分布はあるようながら数はさほど多くなく、湘南・鎌倉・三浦半島ではまずまず希少な部類に入るか。イガホオズキよりかはぜんぜん多い。なお、よく”林縁に生える”とされるが、ヤブカ(藪蚊)飛び交うような薄暗い林内(のハイキングコース沿いなどのひょんな場所)で見かけることがほとんどではないかと感じられる。栽培されることなし。
林道沿い空き地に生えた小型なハダカホオズキ 松田町・松田山 2019/10/23
林道沿いの荒れ気味な空き地に生えたハダカホオズキ 松田町・松田山 2019/10/23
ハダカホオズキの全体図 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2020/09/11
ハダカホオズキ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2020/09/11
ハダカホオズキ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2020/09/11
ハダカホオズキ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2020/09/11
ハダカホオズキの熟した実、葉がないのは虫による食害か 逗子市・蘆花記念公園 2018/10/25
ハダカホオズキの熟した実 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2020/11/30
ハダカホオズキの熟した実 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2020/11/30
ハダカホオズキの熟した実 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2020/11/30
葉の大きさはまちまち。葉柄(ようへい)込みで長さ20cmを超えるものもあるが、平均15cmくらいか。全草無毛で、柔らかい印象。葉身(ようしん)は葉柄に流れて翼(よく)となる。
ハダカホオズキの葉 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2020/09/11
ハダカホオズキの葉 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2020/09/11
ハダカホオズキの葉 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2020/09/11
ハダカホオズキの葉 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2020/09/11
ハダカホオズキの葉 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2020/09/11
ハダカホオズキの花
葉腋(ようえき)から長めの柄(え)を伸ばし、斜め下に向かって垂れるように咲く。花弁(花冠裂片)がくるりんと外側に巻いているのが特徴。花径は(花冠が巻いたそのままの状態で)約1cm。小さいのであまり目立ちはしないかも。花色は淡く黄ばんだ白色とされるが、少しばかり黄緑色を帯びているものも。
ハダカホオズキ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2020/09/11
ハダカホオズキ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2020/09/11
ハダカホオズキ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2020/09/11
ハダカホオズキ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2020/09/11
ハダカホオズキの萼 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2020/09/11
ハダカホオズキの萼 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2020/09/11
ハダカホオズキの萼 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2020/09/11
ハダカホオズキの実
緑色から、秋に入って、濃いオレンジ色を経て赤っぽく熟す。長さ8mm程度。実がホオズキのように袋状の萼に包まれることはなく露出していることが、名前の由来。
ハダカホオズキの若い実 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2020/09/11
ハダカホオズキの熟しかけた実 葉山町・三浦アルプス 2018/11/23
ハダカホオズキの熟した実 逗子市・神武寺 2018/10/25
ハダカホオズキの熟した実 松田町・松田山 2019/10/23
ハダカホオズキの熟した実 松田町・松田山 2019/10/23
ハダカホオズキの熟した実、葉がないのは虫による食害か 逗子市・蘆花記念公園 2018/10/25
ハダカホオズキの熟した実、葉がないのは虫による食害か 逗子市・蘆花記念公園 2018/10/25
液果で、中にピーマンのような白色の種子がたくさん入っている。果汁はオレンジ色で、ピーマンくさい。
ハダカホオズキの熟した実 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2020/11/30
ハダカホオズキの熟した実 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2020/11/30
ハダカホオズキの成れの果て 横須賀市・衣笠山公園 2020/12/15
ハダカホオズキの成れの果て 横須賀市・衣笠山公園 2020/12/15
赤い実だけを見ると、ヒヨドリジョウゴ(鵯上戸)やマルバノホロシ(丸葉疿子)、ヤマホロシ(山疿子)あたりとよく似ていて紛らわしい。ただしこれらは蔓植物なので混同のしようはなし。葉の形状、萼(実と果柄(かへい)の接合部)の形状、毛の有無あたりの違いも、念のため確認しておきたい。
横浜市金沢区・金沢自然公園(しだの谷)、横浜市栄区・横浜自然観察の森
衣笠山公園、三浦アルプス、神武寺、蘆花記念公園、高麗山公園
松田町・松田山
こんにちは。私も「怪事件」を体験しました。去年まであった場所で今年は全く姿が消えてしまったのです。森のような公園の沢の奥で、草を刈られるような場所ではないのに、不思議な出来事でした。