丸葉保呂之 ナス目/ナス科/ナス属 花期/8月~9月 結実期/10月~12月
学名/Solanum maximowiczii Koidz.
有毒自生種稀少保護
マルバノホロシの赤い実 静岡県熱海市・姫の沢公園 2023/12/08
主に山地の林縁に生えるという、ヒヨドリジョウゴ(鵯上戸)によく似た蔓性の多年草。日本固有種。ヒヨドリジョウゴ同様に真夏の炎天下は苦手なようなので、短時間のみ日が当たる半日陰や乾燥しない明るい日陰を好むと思われる。茎は直立して生え出て来るも長く伸びすぎるせいで傾き、周囲の草木に寄りかかり、枝などがうまく引っかかれば上に上に伸びて登ってゆく。寄りかかるものなくば傾き倒れて這ったり、垂れたり。一般的な蔓植物のように茎頂部をくねくね巻き付けることもできるのだがその能力は低く、むしろ周囲に生えたオニドコロ(鬼野老)やヤマノイモ(山の芋)に巻き付かれている側になっていることもしばしば。神奈川県内では主に丹沢や箱根に分布。三浦半島でも希有ではあるも自生が確認されている。近似種と誤認される事例が多いので注意が必要。
#マルバノホロシの実生 茅ヶ崎市浜之郷 2024/05/24
蔓植物とは言っても、アサガオ(朝顔)などのように茎が支柱に積極的にぐるぐる捩(ねじ)れて巻き付くわけではなく、ただただ長く徒長(とちょう)して行きがち。
ふつうに直立して生える若いマルバノホロシ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/07/06
崖から垂れたマルバノホロシ 静岡県熱海市・姫の沢公園 2024/08/10
崖から垂れたマルバノホロシ 静岡県熱海市・姫の沢公園 2024/09/14
崖から垂れたマルバノホロシ 静岡県熱海市・姫の沢公園 2024/09/14
マルバノホロシ 静岡県熱海市・姫の沢公園 2024/08/10
マルバノホロシ 静岡県熱海市・姫の沢公園 2024/08/10
マルバノホロシ 静岡県熱海市・姫の沢公園 2024/08/10
マルバノホロシ 静岡県熱海市・姫の沢公園 2024/08/10
#マルバノホロシ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/08/18
ツツジを覆ったマルバノホロシ 静岡県熱海市・姫の沢公園 2024/09/14
開花中のマルバノホロシ 静岡県熱海市・姫の沢公園 2024/08/10
未熟な実がなったマルバノホロシ 箱根町・湖尻・神山通り 2024/09/17
赤い実がなったマルバノホロシ 静岡県熱海市・姫の沢公園 2023/12/08
赤い実がなったマルバノホロシ 静岡県熱海市・姫の沢公園 2023/12/08
赤い実がなったマルバノホロシ 静岡県熱海市・姫の沢公園 2023/12/08
湘南・鎌倉・三浦半島でよく見かける普通種はヒヨドリジョウゴである。全体的に腺毛(せんもう)に覆われており、ぱっと見でけばけばしている。触るとべたつく。葉は積極的に三裂ないし五裂する。マルバノホロシはふつう山地に生え、全草およそ無毛で、葉は裂けない。ヤマホロシ(山保呂之)はより深山に生え、全草およそ無毛で、葉は裂けないことが多いが三裂することがある。マルバノホロシとヤマホロシは特に紛らわしい。マルバノホロシは、若い葉に毛といえなくもないが線状の毛ではなく微細な無精髭のような棘(とげ)のような突起状の点々のようにしか見えないでもないものがあるのみ、花喉部(かこうぶ)は緑色。ヤマホロシは、若い葉には明らかな毛が生えている、花喉部は紫色。この他、茎が蔓性でないハダカホオズキ(裸酸漿)などとも誤認されることがある。
#マルバノホロシの若葉 茅ヶ崎市浜之郷 2024/08/27
#マルバノホロシの若葉 茅ヶ崎市浜之郷 2024/08/27
葉は互生。名前に丸葉とあるが、丸くはない。ヒヨドリジョウゴのように葉が三裂することはない、の意として丸葉が使われているようである。葉は触ると細かなざらざら感(サメ肌感)あり。葉柄(ようへい)に翼(よく)あり。
マルバノホロシの葉 静岡県熱海市・姫の沢公園 2024/08/10
マルバノホロシの葉 静岡県熱海市・姫の沢公園 2024/08/10
マルバノホロシの葉裏 静岡県熱海市・姫の沢公園 2024/08/10
#マルバノホロシの葉 茅ヶ崎市浜之郷 2024/08/27
#マルバノホロシの葉(白い点々はハダニの影響) 茅ヶ崎市浜之郷 2024/08/27
#マルバノホロシの葉裏 茅ヶ崎市浜之郷 2024/08/27
マルバノホロシの茎と葉柄 静岡県熱海市・姫の沢公園 2024/09/14
マルバノホロシの茎 静岡県熱海市・姫の沢公園 2024/09/14
マルバノホロシの木質化した茎(巻き付いている細い方) 静岡県熱海市・姫の沢公園 2024/09/14
湿原に生えるオオマルバノホロシ(大丸葉保呂之)は神奈川県内になし。姿もやや似てはいるものの差異は大きいので混同することはないか。
マルバノホロシの花
ヒヨドリジョウゴ同様の花が咲く。花色は白から紫で、生育環境に左右されるようである。花冠は五裂(花弁は五枚)で、花冠裂片(花弁)は後方に強く反る傾向がある。が、さほど反らないものもふつうにある。ヒヨドリジョウゴ同様に花冠裂片基部に緑色の斑紋あり。斑紋以外の花喉部も緑色である。紫色だったらヤマホロシを疑いたい。
マルバノホロシの蕾 静岡県熱海市・姫の沢公園 2024/08/10
マルバノホロシ 静岡県熱海市・姫の沢公園 2024/08/10
マルバノホロシ 静岡県熱海市・姫の沢公園 2024/08/10
マルバノホロシ 静岡県熱海市・姫の沢公園 2024/08/10
マルバノホロシ 静岡県熱海市・姫の沢公園 2024/08/10
マルバノホロシの緑色の花喉部 静岡県熱海市・姫の沢公園 2024/08/10
マルバノホロシ 静岡県熱海市・姫の沢公園 2024/08/10
マルバノホロシ 静岡県熱海市・姫の沢公園 2024/09/14
マルバノホロシ 静岡県熱海市・姫の沢公園 2024/09/14
#マルバノホロシの蕾 茅ヶ崎市浜之郷 2024/08/27
#マルバノホロシ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/08/26
#マルバノホロシ 茅ヶ崎市浜之郷 2024/08/28
マルバノホロシの花
ヒヨドリジョウゴ同様の実がなる。未熟なうちは緑色で、赤色に熟す。
マルバノホロシの若い実 静岡県熱海市・姫の沢公園 2024/09/14
マルバノホロシの未熟な実 静岡県熱海市・姫の沢公園 2024/09/14
マルバノホロシの未熟な実 静岡県熱海市・姫の沢公園 2024/09/14
マルバノホロシの未熟な実 静岡県熱海市・姫の沢公園 2024/09/14
マルバノホロシの未熟な実の萼 静岡県熱海市・姫の沢公園 2024/09/14
マルバノホロシの赤い実 静岡県熱海市・姫の沢公園 2023/12/08
マルバノホロシの赤い実 静岡県熱海市・姫の沢公園 2023/12/08
マルバノホロシの赤い実 静岡県熱海市・姫の沢公園 2023/12/08
箱根町・湖尻・神山通り(箱根九頭龍の森セラピーロード、少ない)、静岡県熱海市・姫の沢公園(アスレチックコースAB㊲「水楽器」を北北東に上って(石組み彫刻「平成之大馬鹿門」を過ぎ)橋手前左手の小屋(倉庫)周辺 ※害獣除けの電気柵に注意)
厚木市・あつぎこどもの森公園(ヤマビル対策で沿道は丸刈りされて見るものなし)
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)
『日本の固有植物』 加藤雅啓・海老原淳編 東海大学出版会発行(2011)