ヒカゲイノコヅチ(イノコヅチ)

日陰猪子槌 ナデシコ目/ヒユ科/イノコヅチ属 花期/9月~10月 結実期/11月~12月

危険薬用自生種

ヒカゲイノコヅチ(イノコヅチ) 鎌倉市浄明寺・平成巡礼道入口 2018/09/29

ヒカゲイノコヅチ(イノコヅチ) 鎌倉市浄明寺・平成巡礼道入口 2018/09/29

暗い林内や林縁部に生えるやや大型な多年草。単体ではなく数株集まってあることが多い。(広義の)イノコヅチは細かく分けると、変種の関係にある暗い場所に生えるヒカゲイノコヅチと明るい場所に生えるヒナタイノコヅチ(日向猪子槌)の二種がある。多くの人の目に付きやすいのはヒナタイノコヅチの方であるが、単に(狭義の)イノコヅチといった場合はヒカゲイノコヅチの方をいう。特に丘陵地北側の日当たり悪い林の入口やハイキングコース沿いを探せば見つけられるだろう。秋になると個々の実が”ひっつき虫”となり、靴下やズボンにたくさんの小さな実がくっ付いてきてかなり鬱陶しい思いをさせられることになるので、(広義の)イノコヅチ周辺には近づかないよう注意を払う必要がある。※以下、本頁ではイノコヅチといった場合はヒナタイノコヅチを含む広義の意味で使用し、狭義の場合はヒカゲイノコヅチの名称を用いることとする。

ヒカゲイノコヅチ(イノコヅチ) 鎌倉市浄明寺・平成巡礼道入口 2018/09/29

ヒカゲイノコヅチ(イノコヅチ) 鎌倉市浄明寺・平成巡礼道入口 2018/09/29

全体的な姿はヒカゲイノコヅチの方が小型であるということはないが、日陰にあるだけあってこんもりふさふさ豊かに葉が茂るということはなく、徒長(とちょう、アンバランスを欠くほどに茎ばかりが長く伸びること)気味。葉は日陰にあるものらしく緑色が濃く、縁(ふち)は波打たない。暗い日陰に生えていること、葉の縁が波打たないことの二点をもってヒカゲイノコヅチを見分けるとよい。

ヒカゲイノコヅチ(イノコヅチ)の葉 鎌倉市浄明寺・平成巡礼道入口 2018/09/29

ヒカゲイノコヅチ(イノコヅチ)の葉 鎌倉市浄明寺・平成巡礼道入口 2018/09/29

神奈川県北部には葉が細身なヤナギイノコヅチ(柳猪子槌)なるものがあるらしい。湘南・鎌倉・三浦半島に分布なし。

ヒカゲイノコヅチの花

徒長気味の茎同様に、花序も妙に長いものが多い。ただし小花(粒々に見えるもの)はびっしりとは付かず、ややまばらな傾向がみられる。

ヒカゲイノコヅチ(イノコヅチ)ならではの長すぎる花序 鎌倉市浄明寺・平成巡礼道入口 2018/09/29

ヒカゲイノコヅチ(イノコヅチ)ならではの長すぎる花序 鎌倉市浄明寺・平成巡礼道入口 2018/09/29

蕾なのかもう実になっているのか外観からはよくわからない小花であるが、咲いているときは萼片がぱかっと開いて蕊を露出させる。白だピンクだの花弁はない。一斉には満開せず、開花している小花は皆無から多くとも三四個くらいのものである。

ヒカゲイノコヅチ(イノコヅチ) 鎌倉市浄明寺・平成巡礼道入口 2018/09/29

ヒカゲイノコヅチ(イノコヅチ) 鎌倉市浄明寺・平成巡礼道入口 2018/09/29

女子が小顔に見せるために顔の輪郭を隠さんとこめかみから垂らす髪を”触角”というが、イノコヅチの小花にもその触角のような姿の小苞(しょうほう)が付く。その基部に魚の鱗(うろこ)のようにも見える付属体と呼ばれるものあり。ヒカゲイノコヅチの付属体はヒナタイノコヅチのそれに比べて大きい。肉眼ではやや視認しがたいところながら、三点目の識別ポイントである。

ヒカゲイノコヅチ(イノコヅチ)の小花と、小苞の大きめな付属体 鎌倉市浄明寺・平成巡礼道入口 2018/09/29

ヒカゲイノコヅチ(イノコヅチ)の小花と、小苞の大きめな付属体 鎌倉市浄明寺・平成巡礼道入口 2018/09/29


鎌倉市浄明寺・平成巡礼道(衣張山入口)、清水谷(虫食い多い)

参考資料

『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)

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