深山樒 ムクロジ目/ミカン科/ミヤマシキミ属 花期/3月中旬~下旬 結実期/11月中旬~12月
学名/Skimmia japonica Thunb. var. japonica
有毒自生種稀少保護
#ミヤマシキミの実 南足柄市・大雄山最乗寺(道了尊) 2021/01/05
丘陵地や山地のやや薄暗い林床(りんしょう)に生える常緑の低木で、雌雄異株(しゆういしゅ)。タチバナモッコク(橘木斛)とも。名前が紛らわしいだけでシキミ(樒)やモッコク(木斛)とはまったくの別種。タチバナ(橘)は同じミカン科ながら、本種の実はミカンではなくモチノキ(黐の木)とかシロダモ(白梻)のような赤い玉。神奈川県内では丹沢や箱根に分布あり。なぜか飛び地として三浦丘陵の付け根部分にも自生がある。それ以外の湘南・鎌倉・三浦半島で見かける機会は栽培ものも含めてほとんどなかろう。近隣では、東京都八王子市・高尾山のものが人目に付きやすいか。南足柄市の大雄山最乗寺(道了尊、曹洞宗)境内には茎が地面を這う変種のツルシキミ(蔓樒)が、奥の院へ直通する裏参道沿いには多くのミヤマシキミが生えている。自生なのか、自生を元にした植栽なのかは不明。スギ(杉)の巨木で薄暗い鬱蒼とした境内ながら、初詣客の目を赤い実で楽しませようとあちこち植えたのではないか。
#ミヤマシキミ 南足柄市・大雄山最乗寺(道了尊) 2021/01/05
#ミヤマシキミ(雄株) 南足柄市・大雄山最乗寺(道了尊)奥の院 2021/01/05
スギの林縁に生えた#ミヤマシキミ(背後にアオキがある) 南足柄市・大雄山最乗寺(道了尊) 2021/01/05
#ミヤマシキミ(雌株) 南足柄市・大雄山最乗寺(道了尊)奥の院 2021/01/05
僅かに這い気味なミヤマシキミ 南足柄市・大雄山最乗寺(道了尊)~明神ヶ岳 2021/01/05
#ミヤマシキミ(雌株)の良株 南足柄市・大雄山最乗寺(道了尊)駐車場 2021/01/05
開花中の#ミヤマシキミ(雄株) 南足柄市・大雄山最乗寺(道了尊) 2021/04/02
開花中の#ミヤマシキミ(雄株) 南足柄市・大雄山最乗寺(道了尊) 2021/04/02
開花中の#ミヤマシキミ(雄株) 南足柄市・大雄山最乗寺(道了尊) 2021/04/02
実を付けたミヤマシキミ 熱海市・姫の沢公園 2023/12/08
葉は互生で、鋸歯(きょし)ない全縁(ぜんえん)。葉脈(支脈)はサカキ(榊)などと同様に不明瞭で、はっきりとは視認できないもの。よくよく見れば、支脈は葉の縁(ふち)に達しない環結脈(Brochidodromous)。葉の縁は、ゲッケイジュ(月桂樹)のように葉裏側へ少し隆起する。ミカン科なので葉には油点(ゆてん)が無数にあり、光にかざして見れば白く点々が見える。千切ると僅かながらミカン科らしい芳香がしないでもない。
#ミヤマシキミ(雌株)の葉 南足柄市・大雄山最乗寺(道了尊)奥の院 2021/01/05
#ミヤマシキミ(雌株)の葉 南足柄市・大雄山最乗寺(道了尊) 2021/01/05
#ミヤマシキミの葉 南足柄市・大雄山最乗寺(道了尊) 2021/01/05
#ミヤマシキミの葉裏の特徴 南足柄市・大雄山最乗寺(道了尊) 2021/01/05
#ミヤマシキミの葉を光にかざすと見える油点 南足柄市・大雄山最乗寺(道了尊) 2021/01/08
ミヤマシキミの花
冬のうちから蕾を蓄えており、かわいらしくちょっと気になる存在。咲いて少しばかり華やかなのは(雄株の)雄花。(雌株の)雌花はやや地味ながら、赤い実を付けてくれるのは雌株の方である。花柄(かへい)や花弁外側がよく赤く染まるものをアケボノミヤマシキミ(曙深山樒)と呼び分けることがある。
#ミヤマシキミ(雄株)の蕾 南足柄市・大雄山最乗寺(道了尊) 2021/01/05
#ミヤマシキミの雄花 南足柄市・大雄山最乗寺(道了尊) 2021/04/02
#ミヤマシキミの雄花 南足柄市・大雄山最乗寺(道了尊) 2021/04/02
#ミヤマシキミの雄花 南足柄市・大雄山最乗寺(道了尊) 2021/04/02
#ミヤマシキミの雄花 南足柄市・大雄山最乗寺(道了尊) 2021/04/02
#ミヤマシキミ(雌株)の蕾 南足柄市・大雄山最乗寺(道了尊) 2021/01/05
#ミヤマシキミの雌花 南足柄市・大雄山最乗寺(道了尊) 2021/04/02
#ミヤマシキミの雌花 南足柄市・大雄山最乗寺(道了尊) 2021/04/02
#ミヤマシキミの雌花 南足柄市・大雄山最乗寺(道了尊) 2021/04/02
ヨーロッパに渡って改良された園芸種がスキミアの名前で流通している。
ミヤマシキミの実
正月向けにうってつけな赤い実を付ける。やや大きめで、直径はモチノキの実と同程度の約1cm。この実が(ツルシキミの実と併せて)センリョウ(千両)やマンリョウ(万両)を凌ぐオクリョウ(億両)の名で珍重されることがあるとかどうとか。といっても知名度はずば抜けて低く、完全に滑っているのが現状。株を玉造りのように育てて豊かに実をならせることができれば、確かに億両の名に恥じない姿にもなろう。
#ミヤマシキミの実 南足柄市・大雄山最乗寺(道了尊) 2021/01/05
#ミヤマシキミの実 南足柄市・大雄山最乗寺(道了尊) 2021/01/05
#ミヤマシキミの春まで残った実 南足柄市・大雄山最乗寺(道了尊) 2021/04/02
東京都文京区・#小石川植物園(E13本館裏に雄株)、東京都八王子市上恩方町・夕やけ小やけふれあいの里(散策路(3号路・4号路)頂上から黒ドッケ方面への山道沿いに多数 ※「登山のため通り抜けたい」旨を告げれば夕やけ小やけふれあいの里の入場料200円は不要、4月20日頃か)、横浜市南区・#こども植物園(生垣園に雄株、雌株は滅失か)、横浜市金沢区・横浜自然観察の森(天園への道沿い左側に雄株、ツルシキミもある?)、横浜市緑区・#新治市民の森(にいはる-、駐車場(土日祝のみ開場)周囲に植栽、3月20日頃に雌花、白実も)
南足柄市・#大雄山最乗寺(道了尊、駐車場周辺、慧春尼堂周辺に多い、奥の院にまずまずの良株多め=日当たりあるため若干早い、花=3月下旬~4月上旬、実=11月中旬)
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)
見つけました。
2012年11月13日に大雄山最乗寺で、赤い実と、蕾の写真を撮っていました。