カラタチバナ(百両)

唐橘 ツツジ目/サクラソウ科/ヤブコウジ属 花期/6月下旬~7月上旬 結実期/10月下旬~4月
学名/

自生種改良種稀少保護

シロミタチバナとカラタチバナ(百両)の実 鎌倉市・成就院 2017/01/15

#シロミタチバナと#カラタチバナ(百両)の実 鎌倉市・成就院 2017/01/15

日当たりの良くない林床や林縁に生える常緑の小低木。全体的な姿は同属のマンリョウ(万両)に非常によく似て紛らわしい。湘南・鎌倉・三浦半島ではマンリョウの自生は多いがカラタチバナは希。そこいらの林に生えていたってよさそうなものだが、人嫌いなのか気難しいのか、地元民もハイカーもあまり踏み込まない丘陵地の錆びれた場所にこっそり生えていることがあるくらい。ホームセンターの園芸コーナーでは赤実も白実もふつうに安価で売られているため、その逸出が生えてきたに過ぎない可能性も排除できず。鎌倉の寺境内ではマンリョウが人気で、なぜかカラタチバナはほとんど見かけない。夏の直射日光と強い乾燥、多肥は厳禁。

カラタチバナ(百両)、左の一株はマンリョウ 鎌倉市・成就院 2017/01/15

#カラタチバナ(百両)と#シロミタチバナ、左の一株は#マンリョウ 鎌倉市・成就院 2017/01/15

カラタチバナ(百両) 鎌倉市二階堂・永福寺跡遊歩道 2018/01/10

カラタチバナ(百両) 鎌倉市二階堂・永福寺跡遊歩道 2018/01/10

マンリョウの葉は、丸っこい鋸歯があり縁(ふち)が波打つ。カラタチバナの葉は、縁に腺点が並ぶため細かい鋸歯があるように感じるがよく見れば葉先を除いて切れ込みはほとんどなく、カールすることもなく横にぴーんと伸びて広がる。カラタチバナは枝を出さず、幹から直接葉が生えるのも大きな特徴。マンリョウは幹頂上部の若葉は幹から直接生えるが、その下方になってくると幹から枝が伸びて葉は枝に付く、という違いあり。葉は春に少数しか生え出て来ないので、安易に切ったりもいだりしないよう。

シロミタチバナの葉 鎌倉市・成就院 2017/01/15

#シロミタチバナの葉 鎌倉市・成就院 2017/01/15

シロミタチバナの葉 鎌倉市・成就院 2017/01/15

#シロミタチバナの葉 鎌倉市・成就院 2017/01/15

カラタチバナ(百両)の葉 東京都調布市・神代植物公園植物多様性センター 2018/11/10

#カラタチバナ(百両)の葉 東京都調布市・神代植物公園植物多様性センター 2018/11/10

マンリョウとカラタチバナ(百両)の葉の比較

マンリョウとカラタチバナ(百両)の葉の比較

カラタチバナの花

花もマンリョウに似る。但し、マンリョウの花序は枝先(葉は落ちてなくなり花序柄(かじょへい)にしか見えないことも多いが)に付くのに対し、カラタチバナは専用の花序柄(はじめから葉は付かない)を葉腋(ようえき)から伸ばす。

カラタチバナ(百両) 茅ヶ崎市浜之郷 2021/06/11

#カラタチバナ(百両) 茅ヶ崎市浜之郷 2021/06/11

カラタチバナ(百両)の花 鎌倉市・成就院 2017/07/01

#カラタチバナ(百両)の花 鎌倉市・成就院 2017/07/01

カラタチバナ(百両)の花 鎌倉市・成就院 2017/07/01

#カラタチバナ(百両)の花 鎌倉市・成就院 2017/07/01

カラタチバナの実

実もマンリョウに似る。冬によく赤く染まるため正月を彩る縁起物として寺境内や民家の庭で、マンリョウやセンリョウ(千両)ほど一般的ではないにせよ栽培されることがないでもない。通称ヒャクリョウ(百両)。なおジュウリョウ(十両)イチリョウ(一両)と呼ばれる植物もある。

カラタチバナ(ヒャクリョウ)の実 大磯町生沢 2017/12/14

カラタチバナ(ヒャクリョウ)の実 大磯町生沢 2017/12/14

カラタチバナ(ヒャクリョウ)の実 大磯町生沢 2017/12/14

カラタチバナ(ヒャクリョウ)の実 大磯町生沢 2017/12/14

カラタチバナ(百両)の実 東京都調布市・神代植物公園植物多様性センター 2018/11/10

#カラタチバナ(百両)の実 東京都調布市・神代植物公園植物多様性センター 2018/11/10

実が白色のものはシロミタチバナ(白実橘)ないしシロミノカラタチバナ(白実の唐橘)、黄色いものはキミタチバナ(黄実橘)と呼ばれる。園芸用に出回っているものは白いといわれれば白っぽいし、よく見ればうっすら黄色っぽくもある、というもの。これがどちらの名で称されるべきものかよくわからないが、シロミノマンリョウ(白実万両)と同色なので本項ではシロミタチバナとしておく。園芸店でも白実として販売している。純白ないしキミノセンリョウ(黄実千両)のような濃い黄色の実というものは見たことはない。

シロミタチバナ* 秦野市・葛葉緑地 2018/12/29

#シロミタチバナ 秦野市・葛葉緑地 2018/12/29

シロミタチバナの実 鎌倉市・成就院 2017/01/15

#シロミタチバナの実 鎌倉市・成就院 2017/01/15

自然界では、そもそも個体数少なく、そして実付き悪く、更にきれいに赤く色付けば鳥か何かに食べられてしまうのだろうあったはずの実もなくなってしまう。実の観察は12月のうちに。


#報国寺(拝観受付正面、有料エリア入ってすぐカエデの根元一帯)、#覚園寺(愛染堂前・萬世太平の鐘後方)、#成就院(手水の水盤周辺=ミズヒキに埋もれ花は観察不適、白も)、大磯町生沢、高麗山公園(花期はマダニに注意)

大楠山、馬堀自然教育園(平成29年(2017)12月5日なし)、池子の森自然公園、#長久保公園(名札のみで物はないか)、鎌倉市・桔梗山、#氷室椿庭園

秦野市・#葛葉緑地、南足柄市三竹・御嶽神社

関連記事 – 仲間・似ている・紛らわしい

ミヤマシキミ(億両)

マンリョウ(万両)

センリョウ(千両)

ヤブコウジ(十両)

アリドオシ(一両)