千両 センリョウ目/センリョウ科/センリョウ属 花期/6月末~7月上旬 結実期/10月下旬~2月
学名/Sarcandra glabra (Thunb.) Nakai
赤い実の付いた#センリョウ 相模原市南区・相模原公園 2020/12/08
常緑の小低木で、雌雄同株(しゆうどうしゅ)。豊かに葉が広がるが、背丈は人の腰程度まで。神奈川県内でも自生がわずかにあるとかないとか、栽培逸出ではないかとか、よくわからない。例えばいま馬堀自然教育園の山内に自生がごとき顔をして多数のセンリョウあるも、古い記録では横須賀市馬堀にセンリョウが自生するとはされていない。『神奈川県レッドデータ生物調査報告書1995』では「絶滅危惧種(En-E)」指定だったが、栽培逸出の疑い強しとして『神奈川県レッドデータ生物調査報告書2006』では指定を解除されている。
#キミノセンリョウ(両脇はナリヒラヒイラギナンテン) 鎌倉市・大船フラワーセンター 2021/01/10
赤い実が正月を飾る縁起物として、マンリョウ(万両)と併せて寺などの庭に好まれる。林床に生えるため日陰でもよく育つ。万両だ千両だと冗談めかした名前だが、百両、十両、一両と呼ばれるものだって存在する。新年に向けて、一年お金に困らず暮らせるようにとの縁起ものとして販売される。赤い実の数のみならず、全体的なボリュームなども加味して万両から一両まで呼び分けられたようだ。万両と千両は鎌倉の寺境内に多く植えられている。
#キミノセンリョウと#センリョウ 茅ヶ崎市浜之郷 2015/11/09
#センリョウの葉 相模原市南区・相模原公園 2020/12/08
黄色い実のセンリョウはキミノセンリョウ(黄実千両)という。
センリョウの花
花びらはないので地味。何やら白っぽいものが現れてきたら花が咲いている状態である。
#センリョウ(キミノセンリョウの可能性も) 茅ヶ崎市浜之郷 2018/06/21
#センリョウ(キミノセンリョウの可能性も) 茅ヶ崎市浜之郷 2018/06/21
#センリョウと#キミノセンリョウの花 茅ヶ崎市浜之郷 2020/06/17
センリョウの花の構造
同じセンリョウ科に分類されるヒトリシズカ(一人静)やフタリシズカ(二人静)と併せて、花は珍妙な作りと見た目をしている。

柄(え)に直接付いている緑色の玉が雌蕊。肉眼ではわからないが、ルーペ等で覗けば先端には(花粉を受け止める器官である)柱頭がかろうじて確認できるだろう。
雌蕊の脇腹から生え出ている謎の白っぽいものが雄蕊。その先端近くには花粉を排出する葯(やく)がある。葯が汚れて変色してくる花期終わりの花を見れば構造が理解しやすいか。雄蕊はじきにぽろっと落下して終わる。
#センリョウ(キミノセンリョウの可能性も)の咲き終わり 茅ヶ崎市浜之郷 2018/06/24
センリョウの実
紅葉しない若々しい緑色の葉の上に赤い実をつける。クリスマスケーキに刺してあるセイヨウヒイラギ(西洋柊)っぽい印象を受けるのではないか。黒点は柱頭痕。
#センリョウ(キミノセンリョウの可能性も)の若い実 茅ヶ崎市浜之郷 2018/07/09
#センリョウの実 鎌倉市・瑞泉寺 2016/11/13
#センリョウの実 鎌倉市・瑞泉寺 2016/11/13
#センリョウの実 横浜市戸塚区・俣野園 2017/11/21
#センリョウの実 横浜市戸塚区・俣野園 2017/11/21
#キミノセンリョウの実 藤沢市片瀬・常立寺 2016/12/06
#キミノセンリョウ 横須賀市・馬堀自然教育園 2017/12/05
#キミノセンリョウ 横須賀市・馬堀自然教育園 2017/12/05
#キミノセンリョウ 鎌倉市・大船フラワーセンター 2021/01/10
センリョウの実をよく食べるのはヒヨドリ(鵯)やムクドリ(椋鳥)あたりと思うが、狙われてしまうとあっという間に丸禿げるほど実がなくなってしまうことも。実の観察は12月のうちに。
横浜市戸塚区・#俣野園(黄実も)
馬堀自然教育園(多い、黄実も)、#瑞泉寺、#報国寺(有料拝観区入ってすぐカエデの根元一帯)、#安国論寺(庫裏前)、#建長寺(天源院参道)、#佐助稲荷神社(黄実も)、鎌倉市坂ノ下・#御霊神社、大船・#常楽寺、#大船フラワーセンター(園外花壇=西端2株は赤実・他は黄実)
参考資料
『神奈川県レッドデータ生物調査報告書』 神奈川県立生命の星・地球博物館発行(1995)