木茘枝 ニシキギ目/ニシキギ科/モクレイシ属 花期/2月下旬~3月上旬 結実期/1月中旬~2月上旬
学名/Microtropis japonica (Franch. & Sav.) Hallier f.
自生種
#モクレイシの実 松田町・寒田神社 2016/02/05
林内に生える常緑の小高木で、雌雄異株(しゆういしゅ)。やや幅広の葉は十字対生(横に二枚、縦に二枚、横に二枚、縦に二枚‥、の順で付く)で、葉脈が目立たずサカキ(榊)のようにつるっとしていて美しい。分布は九州の一部から沖縄にかけてと相模湾周辺のみと偏っている。もしかしたら南方の島々からもたらされたものかもしれない(伊豆諸島は北上を続けて神奈川県に衝突している)。相模湾周辺とは、房総半島南端、神奈川県、伊豆半島、伊豆諸島。神奈川県内では大磯丘陵周辺(平塚市西部から大磯町・二宮町、北は大井町・中井町)にのみ自生がみられる。局地的な分布がモクレイシの大きな特徴。二宮町の吾妻山公園にも生えているので、ナノハナ(菜の花)ウォッチングのついでにでも探してみたい。稀少種ではないが、”つるっとした十字対生の葉”以外にこれといった目印がないので見つけるのは案外難しいが。
実が熟して裂開しかけている#モクレイシ 二宮町・吾妻山公園 2021/01/21
実が熟した#モクレイシ 松田町・寒田神社 2016/02/05
#モクレイシの葉(粒々は雌株の蕾) 二宮町・吾妻山公園 2021/01/21
#モクレイシの葉 二宮町・吾妻山公園 2017/02/02
#モクレイシの葉裏 二宮町・吾妻山公園 2017/02/02
モクレイシの花
花は葉腋(ようえき)から出て、緑白色。華やかでなく、少し離れただけで常緑の葉の緑色にかき消されてしまって花が咲いていることさえ気づけないような小さなもの。黄色い葯(やく)が確認できるものが雄花。緑色の子房が目立つものが雌花。花弁は五枚とされるが、四枚のものもときどき混じる。
#モクレイシの雄花 大磯運動公園 2018/02/19
#モクレイシの雄花 大磯運動公園 2018/02/19
#モクレイシの雄花 大磯運動公園 2018/02/19
#モクレイシの雄花 大磯運動公園 2018/02/19
モクレイシの雌花 平塚市・高麗山公園 2018/02/27
モクレイシの雌花 平塚市・高麗山公園 2018/02/27
モクレイシの実
花が咲いてから一年近くかかって、翌年の花が開花する直前になってようやく実が熟す。
#モクレイシの実(小さな粒は花の蕾) 茅ヶ崎市萩園 2019/12/26
#モクレイシの熟して裂開しかけている実 二宮町・吾妻山公園 2021/01/21
#モクレイシの熟して裂開しかけている実 二宮町・吾妻山公園 2021/01/21
#モクレイシの熟して裂開しかけている実 二宮町・吾妻山公園 2021/01/21
実の表皮が裂けて、中から鮮やかな赤色の種子が登場。
#モクレイシの種子 松田町・寒田神社 2016/02/05
#モクレイシの種子 松田町・寒田神社 2016/02/05
#モクレイシの熟した種子 二宮町・吾妻山公園 2017/02/02
#モクレイシの熟した種子 二宮町・吾妻山公園 2017/02/02
見た感じは赤い部分が果肉でその中に黒色の硬いタネが入っているような気がするが、この赤いものが種子。野山であれば意外と残っているが、市街地に植栽された木では赤く露出したならたちまち鳥(ヒヨドリ(鵯)か)にもぎ取られてしまうだろう。
モクレイシの熟した種子 2017/02/04
この赤い種子がレイシ(茘枝、ライチ)の種子に似ているとされる樹木、がモクレイシ。ツルレイシ(蔓茘枝)といったら沖縄のゴーヤのこと。ゴーヤも鮮やかな赤いタネができる。
高麗山公園(多からず点在、自生北限)、#吾妻山公園
#大磯運動公園、大磯町・鷹取山(県指定天然記念物「鷹取神社の社叢林」)
大井町篠窪・三嶋社(社殿背後の町指定天然記念物「椎の木森」に少々=「椎ノ木杜 巨木巡り 順路」あり)、松田町・#寒田神社(本殿向かって左に雌雄各1本の優良木あり、平成29年(2017)・平成30年(2018)実なし=雌株強剪定か枯死か)、小田原市前川・近戸神社(市指定天然記念物「前川近戸神社の社叢」に、境内への車道沿いや門前道路沿い民家生垣にも少々)