茗荷 ショウガ目/ショウガ科/ショウガ属 ミョウガタケ旬/4月中旬~下旬 ハナミョウガ旬/7月中旬~10月上旬 花期/(夏ミョウガ)7月下旬~8月上旬、(秋ミョウガ)9月下旬~10月上旬 結実期/10月下旬~11月上旬
学名/Zingiber mioga (Thunb.) Roscoe
食用駆除
#ミョウガ 茅ケ崎里山公園 2017/10/05
中国原産の多年草。いわゆる里山近隣のやや湿った林の中に帰化しよく群生している。乾燥しない明るい日陰が大好き。
冷奴(ひややっこ)や素麺(そうめん)などの薬味として用いられるあのミョウガで、あれは夏から初秋に採れるミョウガの花の蕾(を刻んだもの)で「花みょうが」ともいう(ハナミョウガ(花茗荷)という名の別の植物もある)。収穫は花が開く前。夏が終わってからのものが「秋みょうが」として特に香り高く美味とされる。春には若い茎である「みょうがたけ」も食用にされる。
ショウガ?ミョウガ?
ショウガとミョウガは食べると風味が異なるので明らかな別種であるが、近似種。葉を見比べても違いがよくわからない程。
ショウガ
本来は多年草だが日本の冬を越せないため現実的には一年草の扱い。従って、毎年畑に植え直して丁寧に栽培される。草丈はミョウガより小型で人の膝(ひざ)上くらい。葉は細めで、千切るとショウガならではの辛みを伴った芳香がある。
ミョウガ
多年草。日陰でもよく育ち、(タケやササに次ぐレベルで)繁殖力旺盛。従って畑の中では栽培せず、家の裏っかたや庭の外れ、林の中や隅、道路脇など、ちょっと扱いが悪い感じの場所で放って置かれる。道端で毎年群生している、ハイキングをしていると毎年同じ場所で見かける、そういったものはすべてショウガでなくミョウガということになる。逆にいうと、日当たりの良い畑でご丁寧に手入れされて栽培されることはふつうはない。市民農園で見かけることはあるが、隅っことか倉庫の脇とか道路っ縁(ぷち)とかに植えられている。雑な扱いをされていればミョウガだ。地下茎を広範囲に伸ばしてどんどん増えるため、ミョウガを畑の真ん中なんぞに植えてしまったら他に栽培している野菜の邪魔になってしまう。いくら好きな人だってミョウガなどは大量に食べるものではない。ミョウガは、育てるよりも、増えすぎちゃったものを駆除する作業の方がたいへん。それがミョウガ。葉を千切ってみても芳香はすぐにミョウガとわかるような癖の強いものでなし。
ミョウガの葉は同属のショウガ(生姜)より明らかに幅広で大きい。葉がきれいなのは初夏、夏ミョウガの蕾が出てくる時期の前。花後は葉が傷んできてしまうようだ。
ミョウガのやや傷んだ葉 平塚市・相模川・八幡子供球場 2018/07/26
ヤブミョウガ(薮茗荷)は葉の雰囲気が似ているだけでまったくの別種。
ミョウガの若い葉(みょうがたけ)
ミョウガの葉の若芽はミョウガタケ(茗荷茸、茗荷筍、茗荷竹)ないしミョウガダケといい、数10センチほど成長したら収穫し食用にする。青々した葉はもう硬くなっていて食べられないので、その付け根の茎の(ように見える)部分を食べる。日陰で育ったものがよい。料亭などで使われるものは室(むろ)の中で栽培され、ほんのり紅色を付けるために一時的に日光を当てるなど手間をかけた高級品である。味噌を付けてそのまま、刻んで薬味に、用途は様々。ミョウガは、一般的には夏以降の「花みょうが」を食用にする。
#ミョウガの葉の新芽(ミョウガタケ)の生え始め 茅ヶ崎市浜之郷 2018/04/12
#ミョウガの葉の新芽(ミョウガタケ)のまだ若いもの 茅ヶ崎市浜之郷 2018/04/12
#ミョウガの葉の新芽(ミョウガタケ) 茅ケ崎里山公園・谷の家 2018/04/19
#ミョウガタケ 茅ヶ崎市浜之郷 2018/04/21
ミョウガの芽は、必ず千枚通し状に細長く上に向かって伸びている。これなきものは身近な雑草ツユクサ(露草)の芽である疑い。葉が二枚程度しかない段階では両者は意外と似ていて混同しがち。
#ミョウガの葉の新芽(ミョウガタケ) 鎌倉市今泉・称名寺 2017/04/29
#ミョウガの葉の新芽(ミョウガタケ) 鎌倉市今泉・称名寺 2017/04/29
新たに栽培を始めたい人向けに、ホームセンターの園芸コーナーで一苗三百円程度で市販されていて驚いた。高い。ミョウガは増えて増えてしょうがないものなので、既に生えているところの方にお願いすれば地下茎を一本二本といわず無償で譲っていただけるのではないか。ましてや食べない人からしたらミョウガなんてドクダミ(蕺草)と双璧をなす迷惑雑草以外の何物でもないのである。ミョウガを駆除する際は、(およそ地下20cmくらいの浅い)一帯に張り巡らされた地下茎をすべてシャベルで掘り起こして完全に除去する必要あり(5cmの切れ端一個さえ取り残してはいけない)。
土中に僅かに残存していた地下茎の切れ端から発芽した#ミョウガ 茅ヶ崎市浜之郷 2020/06/14
こんな小さなかすのような地下茎からも発芽する#ミョウガ 茅ヶ崎市浜之郷 2020/07/09
参考)ヤブミョウガの芽 茅ヶ崎市・清水谷 2018/05/12
ミョウガの花(夏ミョウガ)
夏本番を迎えるちょっと前に花が咲く。その蕾(7月中旬~下旬)が「花みょうが」として食用になる。「花みょうが」を細かく刻んだものが薬味としてお馴染みのアレ。夏のものなので「夏みょうが」とも。蕾は葉が茂るミョウガ本体から地下茎を伸ばしてその先端に付く。地面から蕾(ないし花)だけがひょこり顔を出すおもしろい咲き方をする。花はおしとやかな薄山吹色。
#ミョウガの蕾(夏ミョウガ) 茅ヶ崎市浜之郷 2018/07/09
#ミョウガの蕾(夏ミョウガ) 茅ヶ崎市浜之郷 2018/07/09
引っこ抜かれた#ミョウガと蕾(夏ミョウガ) 茅ヶ崎市浜之郷 2018/07/09
#ミョウガの茎 茅ヶ崎市浜之郷 2018/07/18
花はふつう一日一つ咲く。今日一つ、また明日一つ、明後日また‥と、一つの蕾から四つ程度の花が咲く。きれいにぱっと開くのは午後遅く(陽が傾く前の夕方)か。夜のうちに咲いて、朝にはしぼむ。
#ミョウガ(夏ミョウガ) 茅ヶ崎市浜之郷 2018/07/14
#ミョウガ(夏ミョウガ) 茅ヶ崎市浜之郷 2018/07/14
ミョウガの花(秋ミョウガ)
夏の終わりにもまた花が咲く。その蕾もまた「花みょうが」で、この季節のものは「秋みょうが」とも。
#ミョウガの蕾(秋ミョウガ) 茅ケ崎里山公園 2017/10/05
#ミョウガ 茅ケ崎里山公園 2017/10/05
ミョウガの実
咲き終わったミョウガの花が真っ赤な実になることがごく希にある。
11月にもなればミョウガは枯れて消滅するが、多年草なのでまた来春生えてくる。なおショウガ(生姜)は寒さに弱く、ふつう越冬できずに腐って終わり(なので、掘り返して人為的に保存してやらないといけない)。野良でショウガを見かけないのはこのためである。
横浜市戸塚区・#俣野園
鎌倉市西御門・#来迎寺、#海蔵寺(底脱の井周辺、花期にすべて刈払う)、清水谷、#茅ケ崎里山公園(谷の家(やとのいえ)前庭)