テイカカズラ

定家葛 リンドウ目/キョウチクトウ科/テイカカズラ属 花期/5月中旬~6月 結実期/11月中旬~12月中旬 紅葉/12月下旬~1月
学名/Trachelospermum asiaticum (Siebold & Zucc.) Nakai

有毒自生種

テイカカズラ 横須賀市・観音崎公園 2017/06/06

テイカカズラ 横須賀市・観音崎公園 2017/06/06

主に丘陵地の林内にたくさん生えている常緑の藤本(とうほん)。蔓植物の、草ではなく木。地面を這うか、スギ(杉)など他の樹木の幹に絡み付いて高所まで登る。幼木はツルマサキ(蔓柾)によく似て紛らわしい。湘南・鎌倉・三浦半島では大きな林がある地域でありきたりの普通種。市街地には自生なし。

テイカカズラ 横須賀市・観音崎公園 2017/06/06

テイカカズラ 横須賀市・観音崎公園 2017/06/06

道端に生えた丸葉型のテイカカズラ 大磯町大磯 2020/11/18

道端に生えた丸葉型のテイカカズラ 大磯町大磯 2020/11/18

ヤシの木を囲んだつやつや照葉丸葉型のテイカカズラ 藤沢市・江の島サムエル・コッキング苑 2019/03/15

ヤシの木を囲んだつやつや照葉丸葉型のテイカカズラ 藤沢市・江の島サムエル・コッキング苑 2019/03/15

テイカカズラとツルマサキの違い

ともに日陰の林床にあって、蔓性で、地面を這い、葉の形状もそっくり。花はまったく異質なものなので咲いているなら一目瞭然ながら、どちらも花付きがよろしくない。


テイカカズラ

葉に鋸歯がない。茎はふつうの木の幹の色(灰褐色、なお花期の若い枝は緑色)。

テイカカズラの葉 横須賀市・くりはま花の国 2018/02/08


ツルマサキ

マサキの仲間なので葉に鋸歯がある。茎は緑色。

ツルマサキの葉 鎌倉市・葛原岡ハイキングコース 2017/02/28


イタビカズラ

見慣れないうちはテイカカズラと紛らわしい、イタビカズラなるものもあり。ただしイタビカズラは葉が互生なので、しっかり確認すれば判別は容易。

イタビカズラ 大磯町・高麗山公園 2018/03/31

イタビカズラ 大磯町・高麗山公園 2018/03/31

株が若いうちは匍匐茎(走出枝、ランナー)を出して地面を這い、葉脈がやや白っぽく見える。葉は対生。地面を這う幼株の葉の裏は、ほぼ無毛。林床に無数に生えている。たまに妙な形状の葉を見かけることも。

テイカカズラの幼木の斑が入る葉 横須賀市・前田川源流 2017/01/03

テイカカズラの幼木の斑が入る葉、左上はキヅタ 横須賀市・前田川源流 2017/01/03

テイカカズラの若木の斑が消えかかっている葉 横須賀市・前田川源流 2017/01/03

テイカカズラの若木の斑が消えかかっている葉 横須賀市・前田川源流 2017/01/03

テイカカズラの珍しい細葉型の葉 茅ケ崎里山公園 2018/02/17

テイカカズラの珍しい細葉型の葉 茅ケ崎里山公園 2018/02/17

テイカカズラは他の樹木や壁面を登ってこそ成木となる。茎からこまめに気根を出してがっしりへばり付く。巻き付いて登る能力もあり。

苔むした岩壁を登るテイカカズラから伸びた気根(白色矢印) 横須賀市・くりはま花の国 2018/02/08

苔むした岩壁を登るテイカカズラから伸びた気根(白色矢印) 横須賀市・くりはま花の国 2018/02/08

テイカカズラの成木の葉 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2019/02/01

テイカカズラの成木の葉 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2019/02/01

テイカカズラの成木の葉 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2019/02/01

テイカカズラの成木の葉 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2019/02/01

テイカカズラの成木の葉、やや黄葉中 小田原市・石垣山農道 2017/01/05

テイカカズラの成木の葉、やや黄葉中 小田原市・石垣山農道 2017/01/05

テイカカズラの丸葉型の葉 大磯町大磯 2020/11/18

テイカカズラの丸葉型の葉 大磯町大磯 2020/11/18

テイカカズラの照葉丸葉型の葉 藤沢市・江の島サムエル・コッキング苑 2019/03/15

テイカカズラの照葉丸葉型の葉 藤沢市・江の島サムエル・コッキング苑 2019/03/15

テイカカズラの照葉丸葉型の葉 藤沢市・江の島サムエル・コッキング苑 2019/11/21

テイカカズラの照葉丸葉型の葉 藤沢市・江の島サムエル・コッキング苑 2019/11/21

テイカカズラの照葉丸葉型の葉 藤沢市・江の島サムエル・コッキング苑 2019/11/21

テイカカズラの照葉丸葉型の葉 藤沢市・江の島サムエル・コッキング苑 2019/11/21

葉裏に見える緑色の毛細血管のような細脈の模様が特徴的。

テイカカズラの照葉丸葉型の葉裏 藤沢市・江の島サムエル・コッキング苑 2019/03/15

テイカカズラの照葉丸葉型の葉裏 藤沢市・江の島サムエル・コッキング苑 2019/03/15

葉をもいだり枝を切るなどすると、イタビカズラの仲間同様にべったべたになる白色の乳液が出る。

丸葉型テイカカズラの葉をもいだ後に出てきた乳液(白色矢印) 藤沢市・江の島 2019/11/21

丸葉型テイカカズラの葉をもいだ後に出てきた乳液(白色矢印) 藤沢市・江の島 2019/11/21

自然豊かな地域の林内に自生しているものであるが、壁面緑化に、民家の塀やフェンスを隠すのに、栽培されることがある。神奈川県内で見かけるテイカカズラらしきものの野生種はテイカカズラでよいのだが、栽培されているものは外来種や正体不明の園芸品種も含めて特に近年はいろいろと出回っているので注意が必要。幼株の葉裏が有毛で、萼筒(がくとう)と萼片の形態がテイカカズラと異なって、花柄(かへい)が有毛、葉柄(ようへい)も有毛、であれば西国に分布があるケテイカカズラ(毛定家葛)ないしその系統の園芸種の可能性。ケテイカカズラはテイカカズラの単なる多毛品ではなく、別種である。ケテイカカズラに似て葉裏は有毛であるが、花柄が無毛で、花の香りが強ければ中国原産のスタージャスミンことトウキョウチクトウ(唐夾竹桃)の可能性。若葉がピンクだ白色だを帯びる斑入りのハツユキカズラ(初雪葛)はケテイカカズラ系の園芸品種らしい。他にも黄色の掃け込み斑が入るもの、覆輪となるもの、散り斑が入るもの、などの園芸品種がある。※テイカカズラっぽい風体で民家等で栽培されているものは、ケテイカカズラなどの他種を思わせる性質が一部に表れているものが多々見受けられるため、本頁には掲載せず別頁を設ける。

神奈川県内では横須賀市・猿島に限定して、近似種のサカキカズラ(栄木葛)なるものあり。神奈川県レッドリスト2006「絶滅危惧IA類」、神奈川県レッドリスト2020「絶滅危惧IA類」指定の希少種。

テイカカズラの花

送風ファン形の白花。テイカカズラはふつう林の中の日陰に分布するが、花は日当たりある場所に生えた株で多く見かける。日陰に生えるのに日陰ではなかなか花が咲かないという妙な性質。人目に触れやすいテイカカズラはハイキングコース沿いのもっぱら日陰の地表を這う育ちの悪い、あるいは若い株なので、花や実が付いていることはまずないだろう。スギに絡みついて大きく成長した株では日陰でも花を見るが今度はかなりの高所で咲くことになり、やはり観察に難がある。テイカカズラの花を観察できる機会は意外と少ない。

テイカカズラ 横浜市戸塚区・俣野園 2017/05/17

#テイカカズラ 横浜市戸塚区・俣野園 2017/05/17

テイカカズラ 横浜市戸塚区・俣野園 2017/05/17

#テイカカズラ 横浜市戸塚区・俣野園 2017/05/17

テイカカズラの特徴 横浜市戸塚区・俣野園 2017/05/17

#テイカカズラの特徴 横浜市戸塚区・俣野園 2017/05/17

テイカカズラ 横須賀市・観音崎公園 2017/06/06

テイカカズラ 横須賀市・観音崎公園 2017/06/06

テイカカズラの実

実は細長すぎるインゲンマメ(隠元豆)のようなものが一対。あの花がどうなればこんな実に変わるというのか。

テイカカズラの実 小田原市・石垣山農道 2017/09/09

テイカカズラの実 小田原市・石垣山農道 2017/09/09

テイカカズラの実 小田原市・石垣山農道 2017/09/09

テイカカズラの実 小田原市・石垣山農道 2017/09/09

テイカカズラの虫こぶ

虫こぶまたは虫癭(ちゅうえい)とは、植物に小さな虫の幼虫などが寄生することによってできる不思議なこぶ状の膨らみのこと。


テイカカズラミサキフクレフシ

テイカカズラの実の先端が(融合し)膨れて節になるもの、の意。テイカカズラっぽい謎の蔓性の木に未熟で緑色のち赤色の丸いヒメリンゴ(姫林檎)の実のようなものがぶら下がっていたらきっとコレ。テイカカズラミタマバエの幼虫が寄生している。

テイカカズラミサキフクレフシ 鎌倉中央公園 2017/11/16

テイカカズラミサキフクレフシ 鎌倉中央公園 2017/11/16

テイカカズラミサキフクレフシ 鎌倉中央公園 2017/11/16

テイカカズラミサキフクレフシ 鎌倉中央公園 2017/11/16

テイカカズラミサキフクレフシ 鎌倉中央公園 2017/11/16

テイカカズラミサキフクレフシ 鎌倉中央公園 2017/11/16

テイカカズラミサキフクレフシ 鎌倉市十二所・吉沢川源流入口 2017/11/21

テイカカズラミサキフクレフシ 鎌倉市十二所・吉沢川源流入口 2017/11/21

実が熟せば、中から綿毛付きの種子が放出され風に乗って遠くへ遠くへ飛んでゆく。

テイカカズラの実 横須賀市東浦賀・叶神社の社叢林 2017/12/05

テイカカズラの実 横須賀市東浦賀・叶神社の社叢林 2017/12/05

空から降ってきたテイカカズラの種子 鎌倉中央公園 2016/12/23

空から降ってきたテイカカズラの種子 鎌倉中央公園 2016/12/23

テイカカズラの種子 鎌倉中央公園 2016/12/23

テイカカズラの種子 鎌倉中央公園 2016/12/23

テイカカズラの紅葉

種子を放出し終えたあたりで紅葉する。

テイカカズラの紅葉 秦野市・葛葉緑地 2018/12/29

テイカカズラの紅葉 秦野市・葛葉緑地 2018/12/29


横浜市戸塚区・#俣野園

観音崎公園(三軒家砲台跡上、第1駐車場や海岸園地外周路沿いなどに照大丸葉の海岸型)、三浦アルプス(乳頭山周辺)、江の島(通常の観光路沿いに異様に照りの強い葉、裏参道に丸葉型)、江の島サムエル・コッキング苑(入園口外広場のヤシの木に照大丸葉の海岸型)、高麗山公園

横須賀市秋谷・前田川団地(大楠山ハイキングコース入口への車道分岐の川側、やや遠い)、逗子中学校(テニスコートの駐車場側フェンス、虫こぶ多い)、#逗子市役所、吉沢川源流入口、#光則寺(山門入って左前)

小田原市・石垣山農道(海蔵寺北側)

参考資料

『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)

上町あずさ・下村孝「緑化用および鑑賞用植物として流通しているテイカカズラ属(Trachelospermum Lem.)園芸品種の分類」 - 『日本緑化工学会誌』 日本緑化工学会編集・発行(2009)

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