フウトウカズラ

風藤葛 コショウ目/コショウ科/コショウ属 花期/5月中旬~6月上旬 結実期/12月~3月
学名/Piper kadsura (Choisy) Ohwi

薬用自生種

フウトウカズラの実 横須賀市・観音崎公園 2015/12/16

フウトウカズラの実 横須賀市・観音崎公園 2015/12/16

海に近い地域の直射日光が当たらない薄暗い林床に生える常緑の蔓性の樹木で、雌雄異株(しゆういしゅ)。地べたを這って広がるか、他の大きな木の幹や石垣などをよじ登る、あるいは崖から垂れ下がる。この手の蔓植物に共通する性質として、地面を這っている株には花や実はできない。香辛料として使われるコショウ(胡椒、日本に自生しない)の仲間で実の形状はよく似ているが、風味も辛さもほとんどない割に少々青臭いため食用にはならない。神奈川県内では三浦半島と江の島にたくさん自生。湯河原・真鶴方面にも分布。

樹木の幹を登って覆ったフウトウカズラ 三浦市・城ケ島公園 2024/11/09

樹木の幹を登って覆ったフウトウカズラ 三浦市・城ケ島公園 2024/11/09

蕾をぶら下げたフウトウカズラ 三浦市・小網代の森・引橋入口 2023/05/01

蕾をぶら下げたフウトウカズラ 三浦市・小網代の森・引橋入口 2023/05/01

斜面を這って広がったフウトウカズラ 横須賀市・観音崎公園 2022/06/13

斜面を這って広がったフウトウカズラ 横須賀市・観音崎公園 2022/06/13

壁から垂れたフウトウカズラ 藤沢市・江の島・辺津宮(へつのみや)参道 2024/06/12

壁から垂れたフウトウカズラ 藤沢市・江の島・辺津宮(へつのみや)参道 2024/06/12

エノキの高木を登ったフウトウカズラ 横須賀美術館 2020/10/25

エノキの高木を登ったフウトウカズラ 横須賀美術館 2020/10/25

未熟な実がなったフウトウカズラ 横須賀美術館 2020/10/25

未熟な実がなったフウトウカズラ 横須賀美術館 2020/10/25

未熟な実がなったフウトウカズラ 横須賀美術館 2020/10/25

未熟な実がなったフウトウカズラ 横須賀美術館 2020/10/25

擁壁を覆ったフウトウカズラ 横須賀美術館 2020/10/25

擁壁を覆ったフウトウカズラ 横須賀美術館 2020/10/25

岩崖から垂れたフウトウカズラ 藤沢市・江の島・裏参道 2023/12/29

岩崖から垂れたフウトウカズラ 藤沢市・江の島・裏参道 2023/12/29

実が赤く熟しかけているフウトウカズラ 三浦市・城ケ島公園 2025/01/31

実が赤く熟しかけているフウトウカズラ 三浦市・城ケ島公園 2025/01/31

樹木の幹を登って覆ったフウトウカズラ 横須賀市・観音崎公園 2018/02/08

樹木の幹を登って覆ったフウトウカズラ 横須賀市・観音崎公園 2018/02/08

実が熟したフウトウカズラ 横須賀市・観音崎公園 2023/03/20

実が熟したフウトウカズラ 横須賀市・観音崎公園 2023/03/20

葉は互生。地面を這っている個体の葉身(ようしん)は丸っこい心形、他の樹木の幹などを登った個体の葉はやや細身な披針形(ひしんけい)になる傾向。縁(ふち)がちょっとでも角ばっているならキヅタ(木蔦)である疑い。

地面を這うフウトウカズラの心形の葉 横須賀市・馬堀自然教育園 2017/12/05

地面を這うフウトウカズラの心形の葉 横須賀市・馬堀自然教育園 2017/12/05

フウトウカズラの心形と披針形の葉 横須賀市馬堀 2017/12/05

フウトウカズラの心形と披針形の葉 横須賀市馬堀 2017/12/05

フウトウカズラの心形の葉 横須賀美術館 2020/10/25

フウトウカズラの心形の葉 横須賀美術館 2020/10/25

フウトウカズラの心形から披針形の葉 横須賀美術館 2020/10/25

フウトウカズラの心形から披針形の葉 横須賀美術館 2020/10/25

フウトウカズラの披針形の葉 横須賀美術館 2020/10/25

フウトウカズラの披針形の葉 横須賀美術館 2020/10/25

樹木を登ったフウトウカズラの披針形の葉 横須賀市・観音崎公園 2017/12/05

樹木を登ったフウトウカズラの披針形の葉 横須賀市・観音崎公園 2017/12/05

フウトウカズラのこれといった特徴のない葉裏 藤沢市・江の島 2019/03/15

フウトウカズラのこれといった特徴のない葉裏 藤沢市・江の島 2019/03/15

フウトウカズラの虫こぶ

虫こぶまたは虫癭(ちゅうえい)とは、植物に小さな虫の幼虫などが寄生することによってできる不思議なこぶ状の膨らみのこと。英語からゴール(Gall)とも。


フウトウカズラハチヂミフシ

フウトウカズラの葉に、気色の悪い伝染病にでも罹患(りかん)しているかのような多数の疣(いぼ)状の突起が出来て、葉が縮れる(丸まる)ことがある。フウトウカズラクダアザミウマという小さな虫が寄生して作り出した虫こぶらしい。中には幼虫も成虫も入り混じってお住まいになられている。そしてこの虫こぶにはフウトウカズラヤドリクダアザミウマなる別種が侵入して居候するという。

フウトウカズラハチヂミフシ 三浦市・城ヶ島 2024/11/09

フウトウカズラハチヂミフシ 三浦市・城ヶ島 2024/11/09

フウトウカズラハチヂミフシ 横須賀市・観音崎公園 2023/03/20

フウトウカズラハチヂミフシ 横須賀市・観音崎公園 2023/03/20

フウトウカズラハチヂミフシ 横須賀市・観音崎公園 2023/03/20

フウトウカズラハチヂミフシ 横須賀市・観音崎公園 2023/03/20

フウトウカズラハチヂミフシ 三浦市・城ヶ島 2024/11/09

フウトウカズラハチヂミフシ 三浦市・城ヶ島 2024/11/09

フウトウカズラハチヂミフシ 三浦市・城ヶ島 2024/11/09

フウトウカズラハチヂミフシ 三浦市・城ヶ島 2024/11/09

葉が大きく(葉身11cm以上)、葉裏に毛があるものをオオバフウトウカズラ(大葉風藤葛)と呼ぶことがあるらしい。フウトウカズラと同様、三浦半島沿岸部などに生える。なお東京都・小笠原諸島の母島に一株のみの自生が残るタイヨウフウトウカズラ(大葉風藤葛、環境省レッドリスト2018「絶滅危惧IA類(CR)」、種の保存法「希少野生動植物種」)とは別種。

オオバフウトウカズラの葉 藤沢市・江の島 2017/12/16

オオバフウトウカズラの葉 藤沢市・江の島 2017/12/16

普通のフウトウカズラにも葉裏の脈に毛が生えており、ただ単に大きく成長した株の生育優良な葉でしかないような気もするが──

オオバフウトウカズラのうっすら毛が生えた葉裏 藤沢市・江の島 2017/12/16

オオバフウトウカズラのうっすら毛が生えた葉裏 藤沢市・江の島 2017/12/16

参考)フウトウカズラと紛らわしい生え方をしたヘクソカズラ 三浦市・金田 2023/05/25

参考)フウトウカズラと紛らわしい生え方をしたヘクソカズラ 三浦市・金田 2023/05/25

フウトウカズラの花

フウトウカズラの雄花の咲き始め 横須賀美術館 2022/06/13

フウトウカズラの雄花の咲き始め 横須賀美術館 2022/06/13

フウトウカズラの雄花 横須賀美術館 2022/06/13

フウトウカズラの雄花 横須賀美術館 2022/06/13

フウトウカズラの雄花 横須賀市・観音崎公園 2022/06/13

フウトウカズラの雄花 横須賀市・観音崎公園 2022/06/13

フウトウカズラの雌花 横須賀美術館 2022/06/13

フウトウカズラの雌花 横須賀美術館 2022/06/13

フウトウカズラの雌花 横須賀美術館 2022/06/13

フウトウカズラの雌花 横須賀美術館 2022/06/13

フウトウカズラの実

赤く染まって見頃になるのは12月下旬。

フウトウカズラの若い実 横須賀美術館 2022/06/13

フウトウカズラの若い実 横須賀美術館 2022/06/13

フウトウカズラの若い実 横須賀市・くりはま花の国 2016/06/04

フウトウカズラの若い実 横須賀市・くりはま花の国 2016/06/04

フウトウカズラの未熟な実 横須賀美術館 2020/10/25

フウトウカズラの未熟な実 横須賀美術館 2020/10/25

フウトウカズラの未熟な実 横須賀市・観音崎公園 2017/12/05

フウトウカズラの未熟な実 横須賀市・観音崎公園 2017/12/05

フウトウカズラの実 横須賀市・観音崎公園 2015/12/16

フウトウカズラの実 横須賀市・観音崎公園 2015/12/16

フウトウカズラの実 横須賀市・観音崎公園 2015/12/16

フウトウカズラの実 横須賀市・観音崎公園 2015/12/16

フウトウカズラの実 三浦市・城ケ島公園 2025/01/31

フウトウカズラの実 三浦市・城ケ島公園 2025/01/31


東京都小平市・東京都薬用植物園(温室にコショウ、別種コショウノキもあるので混同しないこと)

猿島、横須賀美術館(観音崎公園側)、観音崎公園(花の広場のうみの子とりで側、など各所)、大善寺(衣笠城址)、横須賀市芦名・十二所神社~淡島神社、三浦市金田・金田漁港(県道215号線沿い京急バス「鋒(とがり)」バス停西側の石垣)、城ケ島公園(緑陰広場入口南側に実がなる雌株)、小網代の森(各入口に)

馬堀自然教育園(花・実ほとんどなし)、横須賀市東浦賀・叶神社(東叶神社、裏山の県指定天然記念物「叶神社の社叢林」に)、くりはま花の国、城ヶ島(安房崎、崖上の水仙ロード(城ヶ島ハイキングコース))、神武寺(裏参道、花・実なし)、#浄妙寺(石窯ガーデンテラス東側のサクラに、雄株か、咲く)、江の島(非常に多く分布するが花・実なし)

参考資料

『神奈川県植物誌2001』 神奈川県植物誌調査会編集 神奈川県立生命の星・地球博物館発行(2001)

『日本原色虫えい図鑑』 湯川淳一・桝田長編著 全国農村教育協会発行(1996)