大崖石榴 バラ目/クワ科/イチジク属 花期/9月下旬~10月 結実期/10月~4月
学名/Ficus pumila L.
自生種改良種稀少保護
#オオイタビの大きな花嚢(雄花か) 茅ヶ崎市浜之郷 2019/01/10
林内の半日陰の崖などを覆うように生える常緑の藤本(とうほん)で、雌雄異株(しゆういしゅ)。蔓性のイヌビワ(犬枇杷)、とでもいったような植物である。オオイタビカズラとも。神奈川県内でも三浦半島周辺などに自生があるようだが、見かける機会はほとんどない。ふつう目にするのは壁面緑化を目的に人為的に植栽されたもの。学名のフィカス・プミラあるいは単にプミラの名で白色の斑(ふ)が入る園芸品種も含めて市中に出回っており、ブロック塀等を覆い隠すのに、あるいはポットにちょい植えして室内置きの観葉植物として、一般の民家でも利用がある。カタカナ名で売り出した方が女性に受けるのか、正体は中国などから輸入したものなのか、そのあたりの売り手事情は知らない。従って野良で見かけたものであっても外国から持ってきた株の逸出帰化である可能性は否定しない。
#オオイタビの植え込み 藤沢市・江の島サムエル・コッキング苑 2018/12/19
#オオイタビの植え込み 藤沢市・江の島サムエル・コッキング苑 2018/12/19
#オオイタビの植え込み 藤沢市・江の島サムエル・コッキング苑 2018/12/19
民家外壁を覆った#オオイタビ 鎌倉市・海蔵寺道 2019/08/27
#オオイタビの紅葉 藤沢市・江の島サムエル・コッキング苑 2019/11/21
近似種にイタビカズラ(崖石榴)とヒメイタビ(姫崖石榴)あり。イタビカズラを基準に、葉が小さめなのがヒメイタビ、大きめなのがオオイタビ。オオイタビは特にヒメイタビと姿が似ているものがあり紛らわしい。単にイタビといったらイヌビワの異名である。石造の板碑(いたび)とは無関係。
#オオイタビの若い枝 藤沢市・江の島サムエル・コッキング苑 2018/12/19
若いうちの枝にはうっすらと短い毛あり。ヒメイタビは長い毛が目立つ。
#オオイタビの葉 藤沢市・江の島サムエル・コッキング苑 2018/12/19
イタビカズラの仲間はすべて、葉は互生。イタビカズラの葉は細身で長め、幅広で丸っこい感じがするのはオオイタビはヒメイタビ。オオイタビとヒメイタビは葉の大きさで単純に見分けられるものでないのが少々厄介。オオイタビの幼葉は切れ込みが入らない点でヒメイタビと異なる。
#オオイタビの葉 藤沢市・江の島サムエル・コッキング苑 2018/12/19
#オオイタビの、ハツユキカズラのように斑が入った葉 藤沢市・江の島サムエル・コッキング苑 2019/11/21
#オオイタビの幼葉 藤沢市・江の島サムエル・コッキング苑 2019/03/15
#オオイタビの幼葉 藤沢市・江の島サムエル・コッキング苑 2019/03/15
#オオイタビの幼葉 鎌倉市・海蔵寺道 2019/08/27
葉裏の葉脈は、他のイタビカズラの仲間と同様に硬くて浮き上がったマスクメロン状。オオイタビは、主脈から支脈がやや鋭角に伸びる。主脈に対する支脈の角度は四十五度未満。ヒメイタビでは四十五度以上になる。
#オオイタビの葉裏の特徴 藤沢市・江の島サムエル・コッキング苑 2018/12/19
枝を傷つけたりするとべったべたな白色の乳液を出す。この手の汁気は触れてしまうと人によってはかぶれることがあるので注意したい。なお水で洗っても簡単には落ちない。
蔓性の木で混同しうるものに、テイカカズラ(定家葛)やフウトウカズラ(風藤葛)がある。
オオイタビの花
果物のイチジク(無花果)と同様、花嚢(かのう)と呼ばれる袋の内側で花を咲かせる特殊な形態を採用。花粉の運搬や受粉は特定の昆虫がその袋の中に潜り込むことで実現させる。袋のまま名を果嚢(かのう)と改めて実となるため、外見上は花が咲いているのかもう実になっているのかよくわからない。壁面緑化の植栽もので丁寧に刈り込みされていると果嚢は付けにくい。
#オオイタビの若い花嚢 鎌倉市・海蔵寺道 2019/08/27
#オオイタビの若い花嚢 鎌倉市・海蔵寺道 2019/08/27
#オオイタビの若い花嚢 鎌倉市・海蔵寺道 2019/08/27
#オオイタビの越冬花嚢か 藤沢市・江の島サムエル・コッキング苑 2018/12/19
花嚢は、丸形の小さなものと、釣鐘形の大きなものの二種がある。(雌株の)雌花と(雄株の)雄花ということか。釣鐘形のものは出来始めから球形でない。ココナッツのような甘い香りがしているときが開花中か。
#オオイタビの大きな花嚢(雄花か) 茅ヶ崎市浜之郷 2019/01/10
#オオイタビの大きな花嚢(雄花か) 茅ヶ崎市浜之郷 2019/01/10
#オオイタビの大きな花嚢(雄花か)の中身 茅ヶ崎市浜之郷 2019/02/10
#野比海岸公園(南側および西側の壁面に雄株、花嚢多い)、江の島サムエル・コッキング苑(入口外)
逗子市・#業務スーパー逗子店(南向かいの月極駐車場の塀)、センペル逗子クリニック(少ない)、海蔵寺(門前の民家塀、葉が小さいもの多くヒメイタビと紛らわしい)
参考資料
『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)
横須賀中央から坂をあがって上町通りへ。ひといきついたあたりのT字路を右に曲がれば、まるで密林のように樹木に覆われた3階建ての商店。なんだこの木は…と、ついふらふら、その《松坂屋肉店》へ。お店の若夫婦に聞けば「何年か前に小さな鉢植えをもらって植えたら見る間に大きくなっちゃって」。「何の木かわからないけど、実がなるのよ」ともらいました。
もう、通りの向かいから見ると、まるでホームレスのボウボウと繁り放題の頭のようで、笑ってしまいます。
写真を撮り(メンチカツを買って)帰宅し調べました。花はつかないけど…というので、ガジュマルかなあ、イチジクの仲間だろうなあ、と思いつつ、でもへそが出ているのは?とネットで調べたところ《オオイタビ》のようです。さらに調べる辿り着いた貴サイト。ここまで伸ばして建物を覆ったものは珍しくないですか? ぜひ一度現地でご覧ください。
(写真、ご所望あれば送ります。)