ウメガサソウ

梅笠草 ツツジ目/ツツジ科/ウメガサソウ属 花期/5月末~6月上旬 結実期/10月
学名/Chimaphila japonica Miq.

自生種稀少保護

ウメガサソウ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2021/05/30

ウメガサソウ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2021/05/30

山地や丘陵地のやや乾燥した林床に生える常緑の小低木で、雌雄同株(しゆうどうしゅ)。神奈川県内では丹沢から中井町や大井町方面にかけて分布がある模様。湘南・鎌倉・三浦半島でも見つかることがあるようながら、極めて希。地下茎を伸ばすので、あるところには複数株がちょこちょこと生え出ているはず。

林床に生えたウメガサソウ(白色矢印) 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2021/05/23

林床に生えたウメガサソウ(白色矢印) 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2021/05/23

開花中のウメガサソウ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2021/05/30

開花中のウメガサソウ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2021/05/30

ウメガサソウ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2021/05/23

ウメガサソウ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2021/05/23

ウメガサソウ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2020/09/11

ウメガサソウ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2020/09/11

葉は一枚から五枚程度が輪生、鋸歯あり。ツルマサキ(蔓柾)の幼木の葉に酷似し、ぱっと見では株全体もその貧相なものにしか見えない。葉は全縁のテイカカズラ(定家葛)ともたいへん紛らわしい。ウメガサソウがその辺にちらほら生えていたとて、花や実がない限りは、どうせツルマサキかテイカカズラだろうと無意識に判断して素通りしてしまうこと必至だろう。ウメガサソウは、新しい本年枝にへばりつくように生える小さな鱗片葉(りんぺんよう)がある。

ウメガサソウの葉 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2021/05/23

ウメガサソウの葉 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2021/05/23

鋸歯ないテイカカズラとさえたいへん紛らわしいウメガサソウ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2021/05/23

鋸歯ないテイカカズラとさえたいへん紛らわしいウメガサソウ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2021/05/23

鋸歯ないテイカカズラとさえたいへん紛らわしいウメガサソウ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2021/05/23

鋸歯ないテイカカズラとさえたいへん紛らわしいウメガサソウ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2021/05/23

名前を混同しやすいものにウメバチソウ(梅鉢草)がある。まったくの別種。

ウメガサソウの花

茎の先端から花柄(かへい)を直立させ、その頂上で下向きの花をふつう一個付ける。草丈は10cm程度、花径は1cm程度、しかない。地面近くで下向きに咲くので、花見は難。花弁は五枚で白色。見頃は5月末。きれいに咲いている期間は短い。例えば令和3年(2021、例年より開花早まっていたはず)では、5月23日 数輪のみが開花し始め、5月30日 多数が既にピーク過ぎ。

ウメガサソウの蕾 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2021/05/23

ウメガサソウの蕾 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2021/05/23

ウメガサソウ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2021/05/30

ウメガサソウ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2021/05/30

ウメガサソウ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2021/05/30

ウメガサソウ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2021/05/30

ウメガサソウ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2021/05/30

ウメガサソウ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2021/05/30

ウメガサソウ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2021/05/30

ウメガサソウ 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2021/05/30

咲き始めのウメガサソウ、の萼(茶色は実の残骸) 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2021/05/23

咲き始めのウメガサソウ、の萼(茶色は実の残骸) 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2021/05/23

ウメガサソウの萼 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2021/05/30

ウメガサソウの萼 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2021/05/30

一本の柄(え)から分岐して花が複数個付いていたら、東北地方から茨城県にかけて分布があるオオウメガサソウ(大梅笠草)。花はピンク色を帯びる。神奈川県内に自生はないので、もし見つけたら新産(しんさん)となる。栽培されていることもないのでは。

ウメガサソウの実

下向きだった花は咲き終わると上向きに変わり、実を付ける。実は、漫画『ゲゲゲの鬼太郎』(水木しげる著)に出てくる”目玉おやじ”のような姿。黒目の部分は、柱頭の痕。

ウメガサソウの未熟な実 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2020/09/11

ウメガサソウの未熟な実 横浜市栄区・横浜自然観察の森 2020/09/11


横浜市栄区・横浜自然観察の森

参考資料

『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)

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