イチヤクソウ

一薬草 ツツジ目/ツツジ科/イチヤクソウ属 花期/5月末~6月初旬 結実期/9月中旬~10月中旬

薬用自生種稀少保護

イチヤクソウ 大井町山田 2021/05/29

イチヤクソウ 大井町山田 2021/05/29

山地や丘陵地の、夏場は木漏れ日程度しか日照のない暗めな、あるいはほぼ真っ暗な広葉樹林内の、乾燥しない腐葉土と表面に落ち葉が豊富に堆積した林床に好んで生える、常緑の多年草。地下茎で増えるのでぽつりぽつりと生え出ては来るが、密には生えない、群落を作るというほど旺盛には茂らない。あまり強靭な生命力は感じられない儚げな植物である。ラン(蘭)の仲間のように、生きてゆくうえで必要な栄養の一部を菌根菌(きんこんきん)に依存している部分的菌従属栄養植物(混合栄養植物)なので、移植をすると長く持っても一二年で消滅してしまう。従って、栽培されることもない。とにかくいま生えている自生地を保全することが肝要である。神奈川県内、広域に分布はあり。湘南・鎌倉・三浦半島でも、三浦丘陵と大磯丘陵を中心に自生あり。但し自生地は多からず、野山を歩いても滅多にお目にかかれるものではなく、ハイキングコース沿いに生え出た一株二株に希に遭遇する程度。減少傾向にあるとも聞いている。

腐葉土が堆積した林床に生えたイチヤクソウ 大井町山田 2021/05/29

腐葉土が堆積した林床に生えたイチヤクソウ 大井町山田 2021/05/29

開花途中のイチヤクソウ 藤沢市・新林公園 2017/5/30

開花途中のイチヤクソウ 藤沢市・新林公園 2017/5/30

熟した実が残っているイチヤクソウ 横浜市戸塚区・小雀公園 2021/12/04

熟した実が残っているイチヤクソウ 横浜市戸塚区・小雀公園 2021/12/04

葉は根生葉(こんせいよう)のみ。厚め。よく見ると細かな鋸歯の名残りのようなものがある。

イチヤクソウの葉 大井町山田 2021/05/29

イチヤクソウの葉 大井町山田 2021/05/29

イチヤクソウの葉 藤沢市・新林公園 2017/05/30

イチヤクソウの葉 藤沢市・新林公園 2017/05/30

イチヤクソウの葉 藤沢市・新林公園 2019/11/16

イチヤクソウの葉 藤沢市・新林公園 2019/11/16

葉がまん丸で萼片がほぼ正三角形だったらマルバノイチヤクソウ(丸葉の一薬草)、丸葉が一個だけ目立って大きかったらヒトツバイチヤクソウ(一葉一薬草)、どちらも山地に分布するもので、湘南・鎌倉・三浦半島にはない。

イチヤクソウの花

花茎(かけい)を一本直立させてその上部に小花をいくつか付ける。エビネ(海老根)型に咲いたウメガサソウ(梅笠草)の花、とでもいった感じの、気品高い姿。小花の花弁は五枚で、若干黄緑がかった白色。小花はことごとく真下を向くので、観賞には難あり。花期は短く、きれいに咲いているタイミングでなかなか出遭えない。

イチヤクソウ 大井町山田 2021/05/29

イチヤクソウ 大井町山田 2021/05/29

イチヤクソウ 大井町山田 2021/05/29

イチヤクソウ 大井町山田 2021/05/29

イチヤクソウのカブトガニ形の小花 大井町山田 2021/05/29

イチヤクソウのカブトガニ形の小花 大井町山田 2021/05/29

イチヤクソウの萼 大井町山田 2021/05/29

イチヤクソウの萼 大井町山田 2021/05/29

イチヤクソウの実

イチヤクソウの花期まで残った前年の実の残骸 大井町山田 2021/05/29

イチヤクソウの花期まで残った前年の実の残骸 大井町山田 2021/05/29

イチヤクソウの春まで残った前年の実の残骸 東京都八王子市・陣馬山 2019/03/02

イチヤクソウの春まで残った前年の実の残骸 東京都八王子市・陣馬山 2019/03/02

イチヤクソウの春まで残った前年の実の残骸 秦野市・立野緑地 2017/04/06

イチヤクソウの春まで残った前年の実の残骸 秦野市・立野緑地 2017/04/06


横浜市都筑区・山崎公園、横浜市戸塚区・小雀公園

観音崎公園、武山、子安の里、三浦アルプス、新林公園(葉は丸いが萼片は長細、アオバハゴロモ(ハト)の蠟で汚れがち)、清水谷、高麗山公園、湘南平、大磯町・鷹取山

秦野市・葛葉緑地、秦野市・立野緑地、大井町・いこいの村あしがら

参考資料

『神奈川県植物誌2018』(電子版を含む) 神奈川県植物誌調査会編 神奈川県植物誌調査会発行(2018)

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